監督:三木孝浩 2020年10月にGAGAから配給
きみの瞳が問いかけているの主要登場人物
篠崎塁(横浜流星)
元キックボクサーで、過去の犯罪から夢を諦め、今はフリーターでその日暮らしをしている。
柏木明香里(吉高由里子)
大学生の時、交通事故に遭い、両親と視力を失った女性。塁と知り合い、惹かれあっていく。
大浦美恵子(風吹ジュン)
塁が育った修道院のシスター。塁にとっては母親的な存在。<佐々木恭介>(町田啓太)
塁と同じく修道院で育った幼馴染で、半グレ集団・ウロボロスのリーダー。
きみの瞳が問いかけている の簡単なあらすじ
元キックボクサーの塁は、バイト先の駐車場で盲目の女性・明香里と出会います。
最初は、彼女が楽しみにしているドラマを見せてあげるだけでしたが、一緒に食事に出かけたり、徐々に仲良くなっていきます。
その後、上司のセクハラを理由に仕事を辞めた明香里と同棲を始めた塁は、バイトをしながら、キックボクシングにも復帰します。
ですが、自分が犯罪者だった頃の幼馴染・恭介が突然現れ、また闇試合に出るよう、脅されます。
さらに、明香里の失明が自分のせいだと知った塁は、彼女の元を去り、手術費を稼ぐために、闇試合に出る決意をするのでした。
きみの瞳が問いかけている の起承転結
【起】きみの瞳が問いかけている のあらすじ①
元キックボクサーの篠崎塁は、酒の配達と駐車場の管理人の仕事を掛け持ちしながら、その日暮らしをしていました。
ある日、管理人室に突然盲目の女性・柏木明香里が乱入し、塁は戸惑いますが、彼女のお気に入りのドラマ『LAST LOVE』の鑑賞に付き合ってあげます。
彼女に興味を持った塁は、いつの間にか彼女に会う日を楽しみにするようになっていました。
後日、別れ際に転んで足をくじいた明香里を、塁は病院に連れて行き、家まで送ります。
そのお礼に、明香里は職場の上司・尾崎にもらったチケットでジャズコンサートに誘いました。
明香里は塁をおじさんだと思い込んでいましたが、年下だったと知り、少し気まずい思いをしながらも、少しずつ彼に惹かれていくのを感じていました。
ですが、その一方で、尾崎の明香里に対する執着はどんどん酷くなり、ついには家にまで押しかけてきます。
そこで、尾崎に襲われそうになった明香里を、偶然家にやってきた塁が助けますが、こんな思いをしてもまだ仕事を続けようとする彼女と塁は言い合いになり、ふたりは喧嘩別れをしてしまうのでした。
【承】きみの瞳が問いかけている のあらすじ②
もう二度と会うことはないと思っていた塁の前に、明香里が突然現れ、会社を退職したと告げました。
ふたりは海へドライブデートに出かけ、そこでシーグラスを拾います。
明香里は、塁に「シーグラスは角が取れているから誰も傷つけない。
人も傷ついた分だけ優しくなれる」と話し、二人を繋ぐお守りだと言ってシーグラスを渡しました。
その後、ふたりは明香里の住むアパートで同棲を始め、塁は昔いた大内キックボクシングジムの会長・大内とコーチの原田に謝り、キックボクサーとしての復帰を果たします。
塁は明香里のために家をリフォームし、街で見かけた盲導犬を見て、明香里にも子犬をプレゼントします。
塁はスクと名付け、ふたりと1匹の新しい生活がスタートしました。
明香里はマッサージ師の勉強と陶芸を始め、塁は自分のファイトマネーで明香里が陶芸をする工房を作ろうと夢を語りました。
そんな中、試合も順調に勝ち進み、順風満帆だった塁の前に、突然、幼馴染の佐々木恭介と子分の久慈充が現れます。
恭介は、かつて同じ修道院で育った兄弟のような存在でしたが、半グレ集団・ウロボロスのリーダーとなり、塁をキックボクシングの闇試合に出場させたり、オレオレ詐欺などに加担させていました。
恭介は、塁にもう一度だけ闇試合に出て欲しいと頼みますが、塁はその誘いを突っぱねるのでした。
【転】きみの瞳が問いかけている のあらすじ③
恭介と再会した翌日、塁は明香里の両親のお墓参りに付き合います。
そこで、ふたりの命日を見て、塁はハッとします。
その日、塁はウロボロスの仕事から抜けようとしていた債務者・坂本を追い込んでいて、良心の呵責に耐え切れなくなった彼は、自分の体にガソリンをかけてライターで火をつけ、ビルの一室から飛び降り、焼身自殺を図りました。
その様子を、偶然車で通りがかった旅行帰りの明香里が目撃してしまい、一瞬気を取られた隙に、後続車に追突されてしまいました。
その事故で両親は即死、明香里は視力を失いました。
塁は、遠目からその事故を目撃していたのですが、自分のせいで明香里の人生が大きく変わってしまったことを知り、大きなショックを受けます。
その矢先、明香里が自宅で転び、病院に運ばれます。
大事には至らなかったものの、塁は明香里が網膜剥離を起こしかけていると医師から告げられます。
まだ明香里が完全に失明していないことを知った塁は、彼女に手術を勧めました。
最初は気乗りしなかった明香里ですが、塁との未来を想像し、手術を受けることを了承しました。
塁は、家にある自分の荷物だけでなく、自分に繋がる書類や写真を全て焼き捨て、明香里が自分を探せないようにした上で、ファイトマネーを前借りし、明香里の手術費に充てました。
原田は二度と表舞台に戻れなくなると制しましたが、塁は命がけでリングに上がるのでした。
【結】きみの瞳が問いかけている のあらすじ④
恭介の策略で巨漢の相手と戦うことになった塁は、死を覚悟しますが、ギリギリのところで何とか勝利を収めました。
傍で見守っていた原田は涙を流して喜びますが、塁を試合で死なせるつもりでいた恭介は、怒りを抑えきれませんでした。
塁は、原田にファイトマネーを明香里と坂本の妻に振り込むように電話で頼みますが、その直後、塁をつけていた恭介の車が彼を後ろから撥ね、さらに車から降りてきた久慈が背中にナイフを突き立てます。
車が走り去った後、塁はゆっくりと意識を失いました。
一方、手術が成功した明香里は、塁の帰りを待ちますが、住んでいたアパートが取り壊されることになってしまいます。
引っ越し当日に、塁宛のオルゴールを受け取った明香里は修道院のシスターを訪ね、そこで、塁が明香里の事故を気に病んで姿を消したことを知り、思わず涙を流しました。
月日は流れ、明香里は新居で陶芸をしながら雑貨店を開き、病院でマッサージのボランティアをしていました。
そこに偶然、奇跡的に一命を取り留めていた塁が入院してきました。
突然の再会に戸惑う塁でしたが、偽名のため、明香里には正体がバレずに済みました。
その塁の手にはシーグラスが握られていました。
その後、何とか歩けるように回復した塁は、偶然自分の洗礼名のアントニオという雑貨店を見つけました。
それが、明香里の店だと確信した塁は、キンモクセイの苗を買い、シスターのオルゴールの音色に涙しました。
店を出た塁は、スクを連れた明香里とまた再会しましたが、慌ててそのまま姿を消します。
店に戻った明香里は、それが塁だったと悟り探しに行きますが、塁の姿はすでになく、その頃、彼はかつて母親が無理心中しようとした海に、ひとりで入っていこうとしていました。
そこに現れた明香里は塁を呼び止め、「あなたが帰る場所はここだよ。
お帰り」と彼を優しく抱きしめ、塁も「ただいま」と彼女を抱きしめ返すのでした。
きみの瞳が問いかけている を観た感想
盲目の女性との恋愛という特殊な環境の上に、それが出会うべくして出会ったふたりだったというところに、不思議な因縁を感じました。
恭介のこともそうですが、良くも悪くも深い縁がある相手とは、いくら離れようとしてもまた出会ってしまうものなんだなと改めて感じました。
韓国映画のリメイクではありますが、オリジナルを極限まで再現しながら、塁と明香里の心理をさらに深く掘り下げることで、よりドラマチックなラブストーリーに仕上がっていると思いました。
車に轢かれた上に刺されても生きている塁の生命力の強さなど、多少突っ込みどころはありますが、「涙で溺れる」という触れ込み通り、中盤から一気に涙腺崩壊して、最後まで涙が止まりませんでした。
何より、命までかけても明香里に見返りを求めない、塁の無償の愛に胸が熱くなりました。
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