映画「マネーボール」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|ベネット・ミラー

映画「マネーボール」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|ベネット・ミラー

監督:ベネット・ミラー 2011年11月にソニー・ピクチャーズ エンタテインメントから配給

マネーボールの主要登場人物

ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)
主人公。新人の発掘からチーム編成までを精力的にこなすGM。選手としては無名のままで終わった。

ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)
ビリーの補佐役。アイビー・リーグの名門校を卒業して統計学に強い。

アート・ハウ(フィリップ・シーモア・ホフマン)
アスレチックスの監督。古き良き時代のベースボールを愛する。

シャロン(ロビン・ライト)
ビリーの元妻。再婚相手は裕福で生活には困っていない。

ケイシー(ケリス・ドーシー)
ビリーの娘。趣味はギターを弾くこと。

マネーボール の簡単なあらすじ

メジャーリーグで結果を出せずに現役生活を終えたビリー・ビーンは、球団スタッフとして再チャレンジします。

万年最下位に甘んじていた弱小チームが生まれ変わる原動力となったのは、緻密なデータ分析と積極的な人材起用です。

チームが球史に残る快挙を成し遂げたためにビリーは他球団からも魅力的な誘いを受けますが、残留を選ぶのでした。

マネーボール の起承転結

【起】マネーボール のあらすじ①

貧乏チームが金満軍団に勝つためには

ビリー・ビーンは現役時代はぱっと振るわなかった成績の野球選手でしたが、アメリカ西海岸のオークランド・アスレチックスに拾ってもらいました。

このチームはずば抜けたエースや4番バッターがいる訳でもなく、限られた予算でやりくりするしかありません。

せっかく無名の選手をスカウトしてきてファームで時間をかけて育てても、資金力のあるライバル球団にフリーエージェントで持っていかれてしまいます。

巨大戦力を有するヤンキースの総額年俸は1億2000万ドル、対するアスレチックスはわずか3800万ドル。

一部のオーナーなどは、「野球はスポーツではなく金銭ゲーム(マネーボール)」などと言い出す始末です。

シーズンオフにはジオンビ・デーモン・イズリングハウゼンを放出するなど、アスレチックスは相変わらず財政難にあえいでいました。

主力の3選手の替わりを探すために、ビリーはクリーブランド・インディアンスの担当者と面会を取り付けます。

交渉の場に現れたのはイエール大学で経営学を専攻していた25歳で、野球経験のまったくないピーター・ブランドです。

【承】マネーボール のあらすじ②

寄せ集めで一発逆転を狙え

ピーターが言うには野球の勝ち負けは1球1球が計算式で動いていて、ギャンブルのように偶然に左右されている訳ではありません。

独自の理論にひかれたビリーは、彼をインディアンスから引き抜いてフロントに迎え入れました。

私生活が乱れていて守備も下手なジェレミー、引退間際で足も遅いジャスティス、ヒジの神経が断裂して思うように投げられないハッテバーグ。

ピーターがピックアップしてきた3人に共通するのは、選球眼に優れていて異様なほど出塁率が高いことです。

右の下手投げで球速は130キロ台という変則フォームのブラッドフォードも、リリーフとして起用します。

よそのチームをお払い箱になったり過小評価されている者ばかりで、格安の年俸で雇うことができました。

ピッチャーは速球派ではなくコントロール重視タイプ、相手にワンアウトを与える送りバントや盗塁は禁止。

ヒットは打たなくてもいいからファーボールを狙えという指示に、バッターは戸惑いを隠せません。

【転】マネーボール のあらすじ③

絶体絶命の指揮官を救った応援歌

ビリーが打ち出した選手の起用方法に対して、チームの指揮を執るアート・ハウは真っ向から反発していました。

前々から不満を抱いていたビリーを失脚させて、監督として球団と長期契約を結ぶ思惑もあります。

2002年4月1日の開幕戦を迎えたもののビリーの意図はチーム内に浸透せず、アスレチックスは借金生活から抜け出せません。

長年に渡って足と直感を頼りにしてきた現場組、ノートパソコンを使いこなすピーターのような背広組。

両者の溝も深まっていく一方で、ヘッドスカウトもチームを去っていきます。

シーズン途中でのゼネラルマネジャーの入れ替え案もささやかれていた時、ビリーに電話をかけてきたのは12歳になったばかりの娘・ケイシーです。

仕事にひと筋でシャロンとの結婚生活もすれ違いが多かったですが、離れて暮らす今でも彼女の声だけが励みになっていました。

テレビは見るな、スポーツ新聞は読むな、インターネットにも接続するな。

父へのバッシングに心を痛めていたケイシーに対して、ビリーはアドバイスを送ります。

そのお返しにとケイシーが披露してくれたのは、最近になって習い始めたというギターの弾きがたりです。

【結】マネーボール のあらすじ④

マネーよりも大切なもの

試合に負けてもロッカールームでヘラヘラと笑っていた若手たちに、ビリーは喝を入れました。

ベテラン勢には敬意を払いつつ、かつて自分がフィールドでプレーをしていた時の経験を熱心に伝えていきます。

ハウ監督のお気に入りは次々とマイナーに降格させるかトレードに出したために、ビリーの言う通りにスターティングメンバーを組むしかありません。

息を吹き返したアスレチックスが20連勝というアメリカンリーグの新記録を打ち立てたのは、レギュラーシーズンも佳境に入った9月です。

プレーオフの先にあるワールドシリーズを見据えていたビリーに、東部の強豪ボストン・レッドソックスからオファーが舞い込んできます。

相手が提示した移籍金は1250万ドルと破格で、どこまで自分の理論が通用するのか絶好のチャンスでしょう。

ビリーが高校生だった1979年、高額の契約金を片手に自宅まで訪ねてきたのはニューヨークメッツのスカウトです。

スタンフォード大学の奨学生を断ってまで入団したことを、今でも後悔しています。

金に目がくらんで二度と同じ過ちを繰り返さないと誓ったビリーは、レッドソックスに断りの電話を入れるのでした。

マネーボール を観た感想

情を挟まないために遠征には同行しない、キレるバットを振り回してクーラーボックスを破壊、優勝がかかった大一番でもスタンドでは見ない。

常識にとらわれない頭脳と行動力で旧態依然とした球界に挑戦する、ビリー・ビーンを応援したくなりました。

日本のプロ野球のような、「名選手=名指導者」といったお約束も通用しません。

完全無欠のコンピューターのような人物かと思いきや、プライベートでは別れた妻とのあいだに授かった娘のことを気遣う人間らしい一面も見え隠れしています。

道に迷ったお父さんに小さな勇気を与えた、ケイシーの歌声が感動的です。

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