映画「ヘレディタリー/継承」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|アリ・アスター

映画「ヘレディタリー/継承」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|アリ・アスター

監督:アリ・アスター 日本公開2018年11月30日に日本配給ファントム・フィルムから配給

ヘレディタリー/継承の主要登場人物

アニー・グラハム(トニ・コレット)
ミニチュアジオラマ作家で、グラハム家の母親。娘の死で精神に異常を来すが、家族を守るため奮闘する。

スティーブ・グラハム(ガブリエル・バーン)
アニーの夫。家族を第一優先に考える良き父親。家族の中でも、特にアニーを心配している。

ピーター・グラハム(アレックス・ウルフ)
遊びたい盛りの普通の高校生。妹のチャーリーを死なせてしまったことで苦しんでおり、身の回りで起こる怪現象に徐々に追い詰められる。

ヘレディタリー/継承 の簡単なあらすじ

「ミッドサマー」で知られる、アリ・アスター監督の長編映画デビュー作です。

アニーは、母親のエレンの葬式を執り行った直後、身の回の奇妙な出来事に悩まされます。

エレンの墓が何者かに掘り起こされ、アニーの娘・チャーリーが奇行を繰り返すなど、アニーは家族間の悩みに苦しむ毎日でした。

そんな時、娘のチャーリーが急死し、家族間の絆にヒビが入り始めます。

ヘレディタリー/継承 の起承転結

【起】ヘレディタリー/継承 のあらすじ①

母親エレンと娘アニーの関係

ある日、4人家族の母親・アニーの母・エレンが息を引き取り、その葬儀が執り行われます。

アニーは、変わり者であった母親に対して複雑な感情を抱いており、生前も決して親子関係が良好だったわけではありません。

アニーには、解離性同一性障害で苦しんだ母親以外にも、精神分裂病で餓死した父親、被害妄想が原因で自殺した兄など、これまで家族が精神疾患に掛かっており、自身も夢遊病であることから、これらの疾患が息子のピーターと娘のチャーリーに遺伝しないかが心配でした。

チャーリーは、家族の中でも祖母・エレンと特に仲が良く、チャーリーもまた変わり者です。

ハトの死骸の首を切断し持ち歩く、口の中で舌を打ち付け音を鳴らすなど、奇行が目立つ女の子です。

アニーは、そんな彼女の行動を心配してか、ピーターが学校の友人同士で行うパーティーに参加するため車を貸して欲しいというお願いを、ピーター自身が飲酒しないこと・チャーリーを連れていくことを条件に承諾します。

パーティー会場に到着した二人ですが、チャーリーは知り合いが一人もいないため、ピーターの側から離れようとしません。

ピーターは、気になる女の子に接近したり、別室でマリファナを吸いたいため、一端チャーリーから離れたそうな様子です。

【承】ヘレディタリー/継承 のあらすじ②

娘の死

半ば強引に別行動を取り、チャーリーは会場で配られていたケーキを口にし、アレルギー発作を起こして倒れてしまいます。

チャーリーはナッツアレルギーで、ケーキに含まれたナッツを知らず知らずに口にしてしまったのです。

呼吸困難で悶絶している彼女にピーターが駆け寄り、急いで車で病院に運びますが、ここで悲劇が起こります。

後部座席で寝転がっていたチャーリーですが、もっと酸素を取り込もうと走行中の車内の窓から首を出したところに、チャーリーが道路の中央で発見した動物の死骸を避けるためにハンドルを切ったタイミングが合わさり、チャーリーは道路脇の電柱に顔から衝突してしまいます。

突然の妹の死に放心状態のピーターは、そのまま帰宅後、家族には何も告げずにそのまま自室のベッドで朝を迎えます。

朝を迎え、ピーターは一睡もできなかったのか、ベッド上で疲れきったような表情です。

チャーリーの首の無い死体を発見したアニーは悲鳴を上げ、切断された首は血だらけでアリにたかられている、目も当てられない状態でした。

この件がきっかけとなり、アニーとピーターの関係は悪くなり、アニーもチャーリーが死んだ状況が再現されたジオラマを無意識に作成してしまうなど、精神的にかなりまいっている様子です。

【転】ヘレディタリー/継承 のあらすじ③

崩壊する家族

アニーは、旦那のスティーブに心配を掛けないよう「映画に行く。」

と言いつつ、同じように家族を亡くした人達が集うグループセラピーに参加します。

すると、そこで息子と孫を亡くしたジョーンという中年女性と出会い、ジョーンは娘を亡くしたショックから立ち直れないアニーに、自分の連絡先を渡します。

別の日、ショッピングモールの駐車場で二人は再会し、「見せたいものがある。」

と、ジョーンはアニーを自宅に連れていきます。

ジョーンは、降霊術で亡くなった孫をその場に召喚し、ジョーンが指示した通りの行動をする様子を目の当たりにしたアニーは、自分でも実行しようと試みます。

一方で、ピーターはチャーリーの幻覚を見たり、夢の中でアニーに襲われるなど、精神的にかなり消耗している様子です。

アニーはスティーブとピーターを交えて、降霊術でチャーリーを呼ぼうとします。

しかし、二人はアニーがイカれてしまっているためこのような言動を起こしているのだと思い、まともに取り合おうとはしません。

非協力的な二人を何とかなだめ、チャーリーが生前愛用していたスケッチブックを用いて儀式を行うと、アニーの呼び掛けに反応し、姿の見えないチャーリーがコップを動かすなどの超常現象が起こり、スティーブとピーターは恐怖し、儀式は中断されます。

しかし、母親・エレンの遺品を整理している際、アルバムにエレンとジョーンが一緒に写っている写真を発見し、悪魔「ペイモン」を崇拝するカルト教団のメンバーであることを知ります。

アニーは、真相を確めるためジョーンの自宅まで急ぎますが応答もなく、中では何やら儀式が執り行われた後でした。

ジョーンが儀式を行ったからか、学校にいたピーターは激しい幻覚に襲われ、机に何度も頭を打ちつけ、気を失います。

【結】ヘレディタリー/継承 のあらすじ④

悪魔「ペイモン」の復活

学校から連絡が入り、ピーターを迎えに行ったスティーヴ達は帰宅後、実はエレンがカルト教団の長で降霊術を教わったジョーンと繋がっていたことに加え、屋根裏で発見したエレンの首なし遺体のことなど、一連の怪現象や家族に危険が迫っていることを一気にまくし立てます。

そして、アニーはチャーリー降霊の際に使用したスケッチブックを燃やす必要があり、スティーブが帰宅する前にアニーが実践したところ、スケッチブックが燃えるのと連動して自分も炎に包まれるため、スティーヴに代わりにやって欲しいとお願いしますが、アニーの精神状態を疑っている彼は信じません。

仕方なくアニー自身で暖炉にスケッチブックを放り投げると、燃えあがったのはスティーブで、その直後アニーに異変が起こります。

夜になり、ピーターが目覚めると家の中は静まり返っていました。

一階に降りると暖炉の前に焼死したスティーブを発見し、ショックで立ち尽くしているところに、何かに取り付かれたアニーが襲ってきます。

豹変したアニー以外にも、家の中にはカルト教団の信者が侵入しており、パニックになったピーターは屋根裏へと逃げ込みます。

屋根裏では何らかの儀式が行われた跡があり、それに気を取られている内に、中に侵入してきたアニーがワイヤーで自身の首を切断する姿を目の当たりにし、ピーターは恐怖します。

屋根裏にもカルト教団の信者が侵入しており、全裸の男女が暗闇の中から薄ら笑いを浮かべピーターを見つめており、追い詰められた彼は窓から外へと飛び出します。

すると、ピーターの頭上から霊魂のようなものが降臨し、彼の体に憑依します。

起き上がり、自宅敷地内のツリーハウスへと向かうと、中にはジョーンを含むカルト教団信者達やアニー、首の無いエレンの遺体が頭を垂れた状態でピーターが来るのを待っていました。

彼らは、悪魔ペイモンが憑依したチャーリーに王冠を被らせ、その復活を祝うのでした。

ヘレディタリー/継承 を観た感想

心霊現象がメインのホラー映画は多々存在しますが、この作品はCGを活用した超常現象だけで恐怖させる安っぽいものではありません。

家族の死をきっかけに家庭が崩壊する様も描かれており、ストーリーが進むにつれてその描写も色濃く発展し、観るものに緊張感を与えてくれます。

主演のトニ・コレットの演技が凄まじく、「ヴェルベット・ゴールドマイン」出演時とはまるで違う印象で、母親との確執や娘の惨たらしい死で、徐々に精神が崩壊していく様を見事に演じ切り、身近な者の死と家庭崩壊の恐ろしさを体現しています。

心霊現象による恐怖の描写も伝わりやすく、特にクライマックスでの怒濤の展開は、分かりやすいホラーが好きな方も満足することでしょう。

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