映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|アダム・マッケイ

映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|アダム・マッケイ

監督:アダム・マッケイ 2016年3月に東和ピクチャーズから配給

マネー・ショート 華麗なる大逆転の主要登場人物

マイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)
主人公。医学博士から金融業界に転身。ハードロックと孤独を愛する。

マーク・バウム(スティーヴ・カレル)
モルガン・スタンレー系列のヘッジファンドに勤務。自分にも他人にも厳しい倫理観を求める。

ベン・リカート(ブラッド・ピット)
野菜の自家栽培と自然食品の愛好家。以前は有名証券会社に勤務していた。

ジェイミー・シプリー(フィン・ウィットロック)
ベンの隣人。ゲーム感覚でベンチャービジネスを始める。

チャーリー・ゲラー(ジョン・マガロ)
ジェイミーのビジネスパートナー。かなりの資産を保有しているが実家で母親とふたり暮らし。

マネー・ショート 華麗なる大逆転 の簡単なあらすじ

住宅ローンが不良債権に転じることを予測したマイケル・バーリは、市場が暴落した場合に巨額の利益が出るクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に目を付けます。

CDSの空売りによって利益を得たのはマイケルの他には、数人の個人投資家や一部の金融関係者だけです。

多くのアメリカ国民が住む場所や仕事に老後の資金を失う中で、銀行や政府機関は再び危険な金融商品の販売を再開するのでした。

マネー・ショート 華麗なる大逆転 の起承転結

【起】マネー・ショート 華麗なる大逆転 のあらすじ①

アメリカ国民の住まいを支える土台がぐらぐら

2005年3月、投資銀行は収益力をアップするために低所得者層をターゲットにしたサブプライムローンを売り出していました。

債権は安全だという銀行側の説明を、カリフォルニア州サンノゼの投資家マイケル・バーリは疑問視しています。

マイケルが協力を持ちかけたのは、ヘッジファンド「フロントポイント」で成功しているマーク・バウムです。

マークはありとあらゆる企業や個人客に対してコンプライアンスを求めていて、どんな小さな不正でも許せません。

ふたりは住宅ローンが暴落した場合に巨額の保険金が手に入る「CDS」という契約を結んでいきますが、銀行の担当者たちはこのまま好景気が続くことを信じています。

政府の保証が付いている住宅ローンはAAAクラス、利回りが高いがリスクも高いローンはB、焦げ付きやすく信用度が最低なサブプライムローンはBB。

3つにランクが分かれたローンはそれぞれがお互いに寄りかかっているジェンガのようなもので、どれかひとつのブロックに亀裂が生じた場合にはタワー全体が崩れ去るでしょう。

【承】マネー・ショート 華麗なる大逆転 のあらすじ②

ふたりの若者の船出を見送るベテラン

チャーリー・ゲラーとジェイミー・シプリーは11万ドルを元手にヨットの運搬事業を始めて、4年間で3000万ドルの資産を稼ぎ出していました。

大手銀行の同意書があればよりハイレベルな取引が可能ですが、東海岸のガレージで開業した若いふたりはなかなか相手にしてもらえません。

ある日の朝にジェイミーが犬を連れて散歩をしていると、隣に住んでいる愛犬家のベン・リカートと知り合います。

今でこそのんびりと自給自足の生活を送っているベンですが、かつてはJPモルガンでトレーダーをしていて銀行業界を熟知している切れ者です。

2006年の5月、CDSに関する資料を入手したジェイミーとチャーリーはベンに今後の見通しを立ててもらいました。

ウォール街に嫌気がさして引退したというベンは自分が直接的に取引に関わらないことを条件にして、ジェイミーたちに協力します。

CDSを大量に購入して大喜びをするふたりに対して、ベンはローンが払えなくなり住む場所を失う人たちのことを思うと気持ちが晴れません。

【転】マネー・ショート 華麗なる大逆転 のあらすじ③

ラスベガスで不正を糾弾

住宅ローンの滞納や債務不履行が100万件を突破したのは年が明けた2007年1月のことですが、債権の価格は上がっていました。

この不思議な現象についての情報を収集するために、マークはラスベガスで開催される証券フォーラムに参加します。

会場には大勢のサブプライム業界の人間が詰めかけていますが、空売りの件を知っているのはジャレドなどごく数名だけです。

サブプライムローンの損害が5パーセント程度で済むと楽観している講演者に、マークはその場で猛反論しますが相手にしてもらえません。

間もなく不動産市場が崩壊することを確信してラスベガスから帰ってきたマークを、妻のシンシアは優しく出迎えました。

世界中の不正を告発しようとしているかのような夫を見ていると、シンシアの胸には不安がよみがえります。

マークが仕事ひと筋になったのは兄のポールが飛び降り自殺をしてからで、それ以来カウンセリングや転職を勧めていましたが聞き入れてくれません。

【結】マネー・ショート 華麗なる大逆転 のあらすじ④

マネーゲームの終わりと懲りない面々

個人の住宅ローンを担保にするモーゲージ債の不当を訴えるために、マイケルはすべての投資家にメッセージを送りました。

2008年9月、リーマン・ブラザーズの株価がゼロを記録する前にマイケルは世紀の空売り(ビッグ・ショート)によって保険金を回収して出資者たちに分配します。

経済危機をいち早く察知していたマイケルは連邦捜査局に4回ほど尋問を受けますが、今では飲料水のビジネスに小さな投資を続けているだけです。

マークは相変わらず多忙を極めていましたが、シンシアによれば幾分かは人間的に穏やかになったそうです。

ジェイミーは自身のファンドを立ち上げて運営、ベンは妻とともに広大な果樹園でオーガニックの種をまいています。

5兆ドル分の消えた年金、800万人の失業者、600万戸の持ち家の差し押さえ。

その全てのツケを払わされることになったのは一般の人たちで、大手銀行はほとぼりが冷めた2015年頃からハイリスクなデリバティブ商品を売り出すのでした。

マネー・ショート 華麗なる大逆転 を観た感想

孤高の金融マン・マイケル・バーリ役を、アメコミヒーローのイメージが強いクリスチャン・ベールが演じていました。

スーツ姿の男たちがひしめき合うオフィスの中でも半袖のTシャツにショートパンツのラフな格好で、常にヘッドフォンを装着していてドラムのスティックを手放さない姿は目立ちます。

早々と引退を宣言してロハスな暮らしを送っているベン・リカート役、ブラッド・ピットの達観したような表情もいい味わいです。

アメリカの金融制度をひっくり返すほどの反撃は痛快でしたが、社会的な弱者が犠牲になることを考えるとハッピーエンドとは言えませんね。

コメント