映画「マディソン郡の橋」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|クリント・イーストウッド

映画「マディソン郡の橋」

監督:クリント・イーストウッド 1995年6月にワーナー・ブラザースから配給

マディソン郡の橋の主要登場人物

ロバート・キンケイド(クリント・イーストウッド)世界を旅するカメラマン。家庭を持たない独り身の男。フランチェスカ・ジョンソン(メリル・ストリープ)田舎の農場に家族とともに住んでいるありふれた主婦。イタリア出身。キャロライン・ジョンソン(アニー・コーリー)ジョンソン家の娘。夫婦問題をかかえている。マイケルの妹。マイケル・ジョンソン(ヴィクター・スレザック)ジョンソン家の長男。キャロラインの兄。

マディソン郡の橋 の簡単なあらすじ

母フランチェスカの葬儀の相談に、ジョンソン家の兄マイケルと妹キャロラインは、再会しました。

母の遺書より、残されていた日記を見つけます。

そこには生前の母の激しい恋愛が告白されていました。

たった4日間でしたがフランチェスカは一生忘れられない深い恋をしたのです。

2人は動揺するが、読み進めていくうちに母の人生を認め、温かい気持ちになります。

そして自分達の家族ともきちんと向き合うことをきめました。

マディソン郡の橋 の起承転結

【起】マディソン郡の橋 のあらすじ①

母の告白

ジョンソン家の長男マイケルと妻、マイケルの妹キャロラインは、亡き母の遺産相続のために再会しました。

弁護士から母は火葬を望んでいたことを聞かされ、びっくりします。

2人は、母はボケていたのか?といぶかしがりますが、遺書はルーシーという人物を証人とした正しいものでした。

そして貸金庫の中から鍵を発見します。

鍵は実家のトランクのものでした。

中を開けて見ると、母の思い出の品とともに写真や日記がありました。

写真は、誰かかに撮ってもらったのか、笑顔でほほ笑む母が映っています。

そして日記には自分の遺灰をローズマン橋の上から撒いてほしいと書かれていました。

日記には、黙っておくことも出来たが、歳をとるにつれ本当の自分を分かってほしい思いが高まり、告白するという意思が書かれてあります。

2人は一緒に母の告白を読み進めていきました。

 1965年の秋、田舎の農場で生活するフランチェスカはいつものように家族のために朝ご飯を作っています。

単調な家事、当たり前のように朝ご飯を食べる家族を見て、幸せながらも何か物足りなさを感じているフランチェスカでした。

夫と2人の子供は、買っている子豚の品評会に出品するためイリノイ州へ出かけます。

帰ってくる金曜日までの4日間、フランチェスカは留守番をすることになりました。

しばし1人の時間を楽しみます。

【承】マディソン郡の橋 のあらすじ②

2人の出会い

フランチェスカが庭に出ると、見知らぬ車が停まります。

降りてきた男は、自分はカメラマンで、この辺りにある屋根のある橋を撮影するために、橋を探していると言いました。

フランチェスカはその橋がローズマン橋と教え、道順を説明しようとします。

しかし田舎道は分かりにくいため、案内を買って出ました。

2人は車の中でお互いに自己紹介します。

男の名前はロバート・キンケイド。

離婚してワシントンに戻ってきたとのことでした。

フランチェスカは、自分はイタリアの小さな町出身だと話します。

ロバートは世界中を回るカメラマンで、フランチェスカの生まれ故郷バリも訪れたことがあると分かり、2人の話は盛り上がるのでした。

ローズマン橋に着くと、ロバートは橋に感動し撮影のための下見をすると車を降りました。

フランチェスカは橋のまわりをぶらぶらと歩きながら待ちます。

野花を摘んでプレゼントしてくれたロバートに冗談を言う彼女ですが、彼のやさしさに笑顔を見せます。

そして家まで送ってもらったお礼にアイスティーをごちそうします。

ロバートは1週間ほどこの町にとどまって、撮影を続けるとのこと。

この町はいいところだと言いますが、フランチェスカは皆そう言うが、自分が思い描いたような現実と違うことを指摘します。

それに対してロバートは慰めます。

うれしく思い、夕食に招待します。

おいしい夕食を楽しむ2人でしたが、お互いの気持ちに入りこんで意見を言ってしまい少しきまずい空気がただよいます。

そしてロバートはお礼を言って帰っていきました。

【転】マディソン郡の橋 のあらすじ③

愛し合う2人

彼が気になるフランチェスカはローズマン橋にロバートへのメッセージを貼り付けます。

仕事が終わったらまた夕食をどうかというメッセージでした。

その後、他の橋の撮影に一緒に行かないかとの誘いの電話に喜ぶフランチェスカは、現地で待ち合わせることにしました。

わくわくして素敵なドレスを買いに出かけます。

同じ頃、町のカフェで休むロバートでしたが、好奇の目にさらされた上、不倫が町中に噂になっているルーシーもまた冷たくされているのを目の当たりにし、町が閉鎖的であることを知ったのでした。

ロバートはフランチェスカに電話をかけ、2人で会うのはまずいのではないかと伝えますが彼女は、それでも会いたいと伝えます。

お互いに惹かれ合っていることを知る2人でした。

橋でほほえむフランチェスカを撮影するロバートでした。

その後2人は家にもどり、遅い夕食を楽しみます。

その後、彼女の美しいトレス姿に見ほれるロバートでした。

2人はチークダンスを踊ります。

キスをした2人はベッドを共にし、結ばれるのでした。

次の日2人は町をでて誰も顔見知りのいない場所でゆっくりと過ごします。

金曜日がせまってきます。

愛しているのに現実を見つめなければならないことに、不安定になるフランチェスカはロバートに、過去の女性とはどうやってツキアッテいったのかと問いただします。

なだめるロバートは、君に会うために今まで生きてきたと伝えます。

ロバートは自分と一緒に行こうと誘います。

しかし彼女が出て行ったあと、家族が世間から好奇の目にさらされることは目に見えています。

い一緒についていったとしても常に残してきた家族が気になり、ロバートと出会ったことを悔やんでしまうかもしれません。

フランチェスカは悩みます。

無理強いできないロバートは立ち去ります。

【結】マディソン郡の橋 のあらすじ④

別れ

金曜日になり、家族が元気に帰ってきました。

いつもの生活が始まり、家族の世話に負われるフランチェスカは考える暇もありません。

そのまま土日が過ぎると、ロバートとあったことはまるで夢だったように感じられました。

月曜日、雨が降る中、フランチェスカと夫リチャードは買い物に出かけます。

土砂降りの雨の中、夫は別の店に行き、フランチェスカは食品を買いに別れます。

先に車に戻ったフランチェスカは、大雨の中ロバートの姿を見つけました。

彼はたたずみ、こちらをじっと見ていましたが、あきらめるように車に乗り込みます。

ロバートが車にもどってきて同時に発車します。

前にはロバート、その後ろにフランチェスカの車。

信号待ちの時、前のロバートはフラッシュにもらった十字架のネックレスをミラーにかけました。

ロバートのもとに走り寄りたい気持ちを抑えられず、思わずドアノブに手をかけるフランチェスカでしたが、車が走りだします。

ロバートの車は自分と反対の方向へ走り去っていきました。

フランチェスカは助手席で泣き出します。

隣のロバートは何事かと詮索することもなく、そのままにしてやりました。

その後、フランチェスカはルーシーと会います。

お互いに同じような思いをした2人は親友になります。

その後老いた夫を介護するフランチェスカに夫はねぎらいの言葉をかけます。

リチャードもまたかけがえのない夫だったのです。

夫の死後、フランチェスカはロバートと連絡をとろうとしますが、叶いませんでした。

3年後、フランチェスカにロバートの遺品が届きました。

カメラと手紙、そしてローズマン橋を撮影した本が入っていました。

母の日記を読んだマイケルとキャロラインは次第に母を理解します。

母もまた自分の人生を生きたのです。

そして彼らもまた自分達の家族に向き合う決心をしたのです。

ロバートの灰がローズマン橋からまかれたことを知り、母の遺灰もまた同じ橋からまかれるのでした。

マディソン郡の橋 を観た感想

いつ見ても、色あせない美しい映画だと思います。

田舎の風景もローズマン橋も綺麗でした。

走り去るロバートの車を見て、思わずドアノブに手をかけるシーンは名場面だと思います。

心は走り寄りたいのに、行けない切ない気持ちが伝わってきます。

色んなしがらみを断ち切って自由になれたらどんなに幸せなのだろう!よくよく考えると「不倫」なのですが、それを感じさせない純愛を感じてしまうのでした。

今でもアイオワ州、マディソン郡にはいくつかの屋根付き橋が残っているそうです。

ローズマン橋も健在で観光客が訪れています。

映画をみた人たちは、どんな思いでこの橋を訪れているのでしょうか。

一度行ってみたいです。

コメント

  1. 長田 幸子 より:

    初めまして。おばあちゃんですが宜しくです。
    私はこの作品を40代~60代にかけて4回観ていますが、歳を経るほどに感慨や印象が変化していくのが分かります。
    2人が交わす会話のどれもが秀逸で、中年以降の既婚女性が感じ得る侘しさ、喪失・焦燥感といったものがよく表現されていると感じます。
    『不倫』の一言では片付けられない、人の人生の深奥を見せ付けられた気がします。
    フランチェスカは自身ですら気付いていない理知的で能動的な情熱の人。
    そんな彼女が異国の片田舎で家事と農作業に埋没する生活に諦念を抱いている時に、運命の出会いをしたのです。
    ロバートが発する、経験に伴う博識で機知にとんだ言動は、抑え込んできた彼女の感情の炎に火を点けたのは自然の成り行きでしょう。
    身を焦がすほどの恋心を捨てた彼女の選択は、結婚し家族を持った自身の選択に対する責任と義務感だと思います。もちろん愛情でもあります。
    この作品に関しては語りたいことが尽きませんね。長くなりました。すみません。