監督:ダニー・ボイル 2003年8月に20世紀フォックスから配給
28日後…の主要登場人物
ジム(キリアン・マーフィー)
この物語の主人公の若者。感染症が広まる前の職業は、自転車メッセンジャー。
セリーナ(ナオミ・ハリス)
この物語のヒロイン。感染者には厳しい所もあるが、サバイバル力がある。
フランク(ブレンダン・グリーソン)
高層ビルに住んでいた中年。ハンナの父親。
ハンナ(ミーガン・バーンズ)
未成年だがしっかりした美しい娘。フランクの子供。
ヘンリー・ウエスト少佐(クリストファー・エクルストン)
マンチェスターの第42封鎖隊に滞在する、英国陸軍の少佐。
28日後… の簡単なあらすじ
凶暴なチンパンジーのウィルスが人間に感染したため、ロンドンは廃虚と化します。
そんな時、主人公のジムは病院で目覚めてしまいました。
ジムは自分が知らない間に、全てが変わり果ててしまったのを知りパニックに陥ります。
その後ジムは、数少ない生存者であるセリーナ、フランク、ハンナらと出会いました。
フランクの提案で一同は軍の保護施設を目指し、たどり着きます。
しかし感染したフランクが、兵士らに射殺されてしまいました。
その場を仕切っているのは、ヘンリー少佐という冷酷な人物。
残った3人は、この奇妙な隠れ家に対して不信感を抱きます。
その後衝撃の事実を知った3人は、施設から抜け出し飛んでいる飛行機に助けを求めました。
28日後… の起承転結
【起】28日後… のあらすじ①
ケンブリッジ霊長類研究所に動物愛護活動家の人々が乗り込み、オリに入れられたチンパンジーを解放しようとします。
研究者は「このチンパンジーらはウィルスに感染しており、どの猿も危険だ」と警告しました。
しかし活動家らは研究者の意見を聞き入れず、オリを開けてしまいます。
その後、解放された1匹のチンパンジーは、そこにいた女性活動家を襲いました。
女性は目つきが変貌し、血をはきます。
ウィルスは、またたく間に広がりました。
それから28日後、ある一人の男が病院のベッドで目覚めます。
男の名前はジム。
ジムは院内を歩き回り大声で叫びますが、誰にも出会いません。
不審に思ったジムは、病院から抜け出し街中を歩き回りました。
しかしロンドンの街は荒れ狂い、退廃していたのです。
さらにゴミの山から見つけた新聞には「英国民、集団脱出」とあり、ただごとではないと悟ります。
そんな中ジムは教会を見つけ、中に入りました。
神父を見つけホッとしたジムは彼に声を掛けますが、神父は挙動が怪しく襲い掛かってきました。
何が何だか分からないまま、必死で逃げるジム。
しかし凶暴な人は他にもいたようで、しつこくジムを追ってきます。
その時、何者かがジムを助けてくれました。
彼らはセリーナという女性とマークという男性の2人組でした。
ジムは自分が自転車メッセンジャーであること、仕事中事故に遭い、今日の朝病院で目覚めたことなどを説明します。
彼らは、ウィルスによる感染者が増え、政府も警察も軍隊もなくなったと言いました。
先ほどの凶暴な人々は皆、感染者だったのです。
テレビやラジオなどの通信も、途絶えていました。
セリーナとマークは、家族を失ったと言います。
【承】28日後… のあらすじ②
翌日3人は、ジムの実家へと向かいます。
しかし残念なことに、ジムの両親はイギリスで起こっていることを嘆き、自らが感染者にならないために自殺していました。
失望するジム。
しかし夜に移動すると危険なため、3人はジムの家に泊まることにしました。
ところが夜になると物音のせいで感染者に気付かれてしまい、ジムは再び襲われます。
さらに悪いことに、助けようとしたマークの傷に感染者の血が混ざってしまいました。
マークが感染したことに気づいたセレーナは、即時に彼を殺します。
非情に見えますが、このウィルスは感染した人が凶暴になる速度があまりにも速いため、仕方がないのです。
何とかその場から逃げ出したジムとセリーナは、高層ビルの一室が明るく輝いているのを見つけます。
2人はそのビルの階段を上って行きますが、またも感染者と出くわしてしまいました。
間一髪のところで助けてくれたのは、フランクという男性です。
フランクは、娘のハンナと暮らしていました。
2人はジムとセリーナを歓迎し、空き部屋を提供します。
しかしフランクの家も、現状、水が底をついているのです。
そこでフランクは、録音されたテープが流され続けているラジオの公共放送をジムとセリーナに聞かせます。
それはマンチェスターの第42封鎖隊からの放送で、軍が生き残った人々に食べ物を提供し、保護しているという内容のものでした。
セリーヌは「そんな話は信じられない」と言い反対しますが、ハンナの一言に心を動かされ、マンチェスターに向う決意をします。
【転】28日後… のあらすじ③
4人は車に荷物を詰め込み、出発します。
道中ではセリーヌが、スーパーマーケットを目ざとく見つけました。
廃虚の街では、もはや現金もクレジットカードも意味を持たないのと同様です。
4人はショッピングカートに好きな食べ物やお酒を詰め込み、車に乗せました。
街を抜けると美しい自然が広がり、一同はそこで野宿することにします。
シートを広げピクニック気分になり、つかの間ですが楽しいひと時を過ごしました。
その後、目的地である第42封鎖隊へは、案外簡単に到着します。
しかしどういう訳か、その場所に人が住んでいる気配がありません。
フランクは周囲を歩き回り、人がいないか?を確認しようとしますが、そうこうしている内に、感染者の血が目の中に入り感染してしまいました。
自分が感染したことに気付いたフランクはハンナに「近寄るな!」と言います。
そこへ突如武装した兵士が現れ、フランクを無残に射殺してしまいました。
あぜんとするハンナ。
残った3人は、兵士らの住家に案内されます。
そこは広い敷地の中にある大きな一軒家でした。
ここを仕切っているのはヘンリー・ウエストという少佐です。
中にいるのは兵士ばかりで、ジムたち以外に保護された生存者はいないようでした。
彼らは敷地内に地雷を仕掛け感染者の侵入を防いでいましたが、兵士らが感染者を銃撃する姿はまるでゲームを楽しむような態度であり、とても不謹慎な行為です。
ジムたちは、この場の持っている不気味な空気に戸惑いを感じます。
さらに少佐は感染した兵士を鎖につなぎ、実験対象にしていました。
ジムはヘンリー少佐の残酷な側面を見て、言葉を失います。
【結】28日後… のあらすじ④
このような安全かどうかも疑わしい場所で、3人の気持ちはどんよりとします。
また飛行機雲を目撃したジムは、実はこの場所以外にも生存者がいるのではないか?と疑い始めました。
さらにジムは、「兵士たちが女に飢えている」という恐ろしい事実を知ります。
何と少佐は子孫繁栄を考慮した末、兵士たちに女を与えることを約束していたのです。
セリーヌとハンナが危ない!と察知したジムは何とかこの事態を防ごうとしますが、逆に兵士らから危険な森に追いやられ、ピンチとなってしまいます。
その頃、セリーヌとハンナは赤いドレスを着せられていました。
兵士らは2人をレイプしてでも、ものにしようと必死です。
一方命からがら屋敷に戻ったジムは、以前に見た「感染した兵士」を野放しにしました。
この感染者のせいで屋敷は大パニックとなり、1人、2人と感染していきます。
無事セリーヌらの元に戻ったジムは、3人でフランクの車に乗り込もうとしました。
ところが車内では少佐が待ち受けており、ジムは腹部を撃たれてしまいます。
そこで若いハンナが運転席を乗っとり、少佐を感染者の餌食にしました。
3人は何とか逃げ出し、セリーヌはジムの手当てをします。
それから28日後、3人は大自然の中のレトロなコテージに住んでいました。
セリーヌはシーツやカーテンを使い、援助要請のための縫物をしています。
3人は飛び跳ねながら、通りかかった飛行機に助けを求めました。
グリーンの草原の中に、大きな「HELLO」の文字が浮かび上がります。
28日後… を観た感想
ジムが病院から出て外の世界を知る冒頭のシーンは、映像表現として大変美しく秀逸です。
ゴーストタウンと化したロンドンが描かれているにもかかわらず、薄オレンジ色の空、街の看板、そこらじゅうに散らばったゴミ、ジムの着ている医療着の色などが全てが調和しているようで印象的でした。
またこのシーンで流れているサウンドトラックも、素晴らしいです。
物語前半は主人公らの視点から、主に感染した者に対しての不安や恐怖が描かれていますが、物語が終盤に向かうにつれ、それらの恐怖は感染していない人間の狂気へとシフトされていきます。
実は少佐が一番怖かったという展開は意外性があり、痛快でした。
感染の害よりも人災の方が恐ろしくなった時、ジムが感染者を野放しにするというイカれた行動に出ますが、案外これで物事が解決し無事着地したのも心地良いです。
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