監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 2014年5月にポニーキャニオンから配給
プリズナーズの主要登場人物
ケラー・ドーヴァー(ヒュー・ジャックマン)
主人公。妻とふたりの子供が何より大切。熱心なクリスチャンで思い込みが激しい。
ロキ(ジェイク・ギレンホール)
これまでに手掛けた事件をすべて解決してきた刑事。少年院にいた過去があり家族も恋人もいない。
アレックス・ウィンターマン・ジョーンズ(ポール・ダノ)
知力にハンディキャップがある。犬と散歩したりドライブしたりと気ままに過ごす。
ホリー・ジョーンズ(メリッサ・レオ)
アレックスの伯母。銃器の扱いに長けて薬物の知識も豊富。
フランクリン・バーチ(テレンス・ハワード)
ケラーの友人。ドーヴァー家の近所に住んでいて家族ぐるみの付き合い。
プリズナーズ の簡単なあらすじ
居なくなった娘のアナを自分の手で見つけるためにケラー・ドーヴァーは、容疑者のアレックス・ジョーンズを拉致して暴行を繰り返しました。
犯人はアレックスではなく「おば」を自称するホリーで、ケラーは逆に彼女に監禁されます。
捜査を担当するロキ刑事はホリーを射殺してアナを救い、ケラーが発するSOSにも気がつくのでした。
プリズナーズ の起承転結
【起】プリズナーズ のあらすじ①
ケラー・ドーヴァーはペンシルベニア州で家屋の修理や改築を請け負いながら、妻と一緒に息子・ラルフと娘のアナを育てていました。
感謝祭の当日にみんなで大勢でパーティーをするために、歩いて数分くらいのフランクリン・バーチの家に遊びに行きます。
食事の前にアナがお気に入りの赤いホイッスルを、フランクリンの娘・ジョイと一緒に探しに行ったきり帰ってきません。
アナとジョイが居なくなる直前に遊んでいた付近に停車していたのは、不審な白いレジャー車です。
ケラーが警察に通報すると、間もなく国道の出口先にある休憩所で停車しているところを発見されました。
感謝祭をひとりレストランで過ごしていたロキは州警察への栄転を狙っていて、いち早く現場に駆け付けて車内で寝ていたアレックス・ウィンターマン・ジョーンズを引きずり出します。
アレックスは成人男性でしたが知能指数は10歳並みで、尋問にもまともに受け答えできません。
6歳の時に両親を亡くしたアレックスを引き取って育ててきたのは、彼の父親の兄と結婚したホリーです。
夫が5年前に家を出て行ったと説明するホリーの自宅や、アレックスの車からは物的な証拠は発見されません。
【承】プリズナーズ のあらすじ②
半径16キロ以内にいる9人の前科者を戸別訪問をしていたロキは、かつて性犯罪を犯した神父の家でミイラと化した遺体と迷路をモチーフにしたペンダントを発見しました。
ミイラは子供を16人殺害したことをざんげしにきた名前も知らない男だそうで、これ以上犠牲者を出さないために彼を殺害したとの供述です。
ロキはこの町で26年前に行方が分からなくなった少年・バリーの母親に会いに行き、くわしい話を聞きます。
バリーも失踪する直前にレジャー車の近くで遊んでいるなど共通点は多く、いまだに事件は未解決のままです。
告発しなければ48時間で釈放という規則通りにアレックスは自由の身となり、納得がいかないケラーは銃を突き付けてキャンペロ通りへと連れていきました。
亡くなった父親が住んでいていま現在では誰も使っていない一軒家があり、アレックスを監禁して拷問にかけますが何もしゃべりません。
毎晩のように妻に行き先を告げずにどこかへ行っているケラーのことを、ロキはひそかに疑い始めます。
【転】プリズナーズ のあらすじ③
アナとジョイの無事を祈るために大勢の住人が広場に集まって、夜遅くまでキャンドルに明かりを灯しながら祈りをささげていました。
人混みの中をパトロールしていたロキは不審者を見つけますが、声をかけようとした直後に逃げ出してしまいます。
まもなくキャロル通りに住んでいるボブ・テイラーという名前の青年だと判明して、部屋の中から発見されたのは血痕の付着した子供服と神父の家にあったものと同じ迷路のモチーフです。
拘束されたボブ・テイラーは取り調べ中にロキの拳銃を奪って自殺してしまい、衣類は近所のホームセンターで購入していただけで血は動物のものでアナたちとは適合しません。
そんな最中に自力で逃げ出してきたジョイがひと足先に保護されて、監禁場所でケラーの姿を見たと証言しました。
誘拐犯として警察に追われることになったケラーは、アレックスがつぶやいた「女の子たちは迷路の中にいる」という言葉の意味に気がつきホリーの家へ車を走らせています。
【結】プリズナーズ のあらすじ④
訪ねてきたケラーにホリーは拳銃を突き付けて、アナやジョイに飲ませたものと同じ体の自由を奪う薬品を飲ませました。
亡き夫と多くの犯行を重ねてきたホリーの目的は、子供をさらうことで親から信仰心を奪うことです。
アレックスはおいではなく26年前に誘拐されたバリーで、テイラーも過去の事件の被害者のひとりに過ぎません。
庭の駐車場の地下に掘られた穴の底に落とされたケラーはアナの赤いホイッスルを見つけますが、足を撃たれたために脱出できません。
地元紙のデータベースを調べていたロキは、刑務官をしていたケラーの父の自殺を報じる古い記事を発見しました。
新聞に載っていたキャンペロ通りにある古いアパートを調べて、アレックスが閉じ込められている隠し部屋に気がつきます。
アレックスの無事を知らせにいったロキがホリーの夫の遺影に目をやると、胸のペンダントは神父の家のミイラのものと同じです。
銃口を向けるホリーを射殺したロキは薬で眠っていたアナを病院へ搬送した後に、犠牲になった子供たちの遺体を探すための家宅捜索に立ち会います。
庭を掘り返していた重機が止まった瞬間に、ロキは地中から響いてくるかすかなホイッスルの音を聞くのでした。
プリズナーズ を観た感想
「X-MEN」を始めとするアメコミヒーローでおなじみのヒュー・ジャックマンが、これまでのイメージを覆すほどのダーティー役どころに挑んでいました。
アットホームなお父さんが愛する娘を奪われたことがきっかけで、道を踏み外していく様子には鬼気があります。
「目を見ればウソをついているか分かる」とアレックス犯人説に固執するものの、見事に推理が間違っていたという驚きの展開です。
全編を通して職務に忠実で冷静だったロキも、無実のボブ・テイラーを死なせてしまうのがやりきれません。
誰しもが心の奥底に抱えている凶暴性と、現代社会の闇に光が当てられていて考えさせられるでしょう。
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