映画「ゾンビ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|ジョージ・A・ロメロ

映画 ゾンビ

監督:ジョージ・A・ロメロ 日本公開1979年3月に日本ヘラルド映画から配給

ゾンビの主要登場人物

ピーター・ワシントン(ケン・フォリー)
黒人男性のSWAT隊員。相棒のロジャーとは異なり、常に冷静に状況を判断する。

ロジャー・デマルコ(スコット・H・ライニガー)
金髪の白人男性でピーターの同僚。SWAT隊員らしく戦闘力と行動力は高いが、油断しやすいのが珠に傷。

フランシーン・パーカー(ゲイラン・ロス)
女性のTV局員で、フランの愛称で呼ばれている。ピーターらと行動を共にすることによって、徐々にタフになる。

スティーブン・アンドリュース(デビッド・エンゲ)
天気のリポーターでヘリの操縦も出来る、ロジャーの友人。フランと共にピーターらと合流する。

ゾンビ の簡単なあらすじ

ホラー映画界のゴッドファーザー、ジョージ・A・ロメロ監督による衝撃の社会風刺作品で、後に続くゾンビ映画やゲームにも多大な影響を与ました。

正体不明の現象により社会はゾンビ達が蔓延し、それまで敷かれていた秩序も全く意味を成さない状況に発展します。

安息の地を求め、4人の男女は郊外の商業施設に身を寄せますが、そこでもゾンビ達の襲撃と欲にまみれた人間達の蛮行が繰り広げられるのでした。

ゾンビ の起承転結

【起】ゾンビ のあらすじ①

文明と秩序が崩壊した世界

死者が甦り、人肉を求めてさ迷う現像が世界で蔓延し、ついに軍隊や警察を含めた社会全体が、ゾンビの発生を抑えきれない極限状態に陥ります。

ゾンビに襲われるだけではなく、ただ死亡するだけでそれまでは人間だった者がゾンビ化するこの現象に、世界は恐怖のどん底に陥っていました。

そんな絶望的な状況の中、マスメディアは未だに報道を続けており、TVでは評論家達の根拠の無い論争が繰り広げられており、一向に解決までの糸口が発見されない、この未曾有の事態に人々は憔悴し切っていました。

様々な憶測が飛び交う中、フィラデルフィアの女性TV局員フランもそんな状況に体力的にも精神的にも疲れ切っており、正確な情報も入手出来ず、混乱だけが拡大する現在の状況に嫌気が差し、恋人でTV局員の同僚スティーブンと共に、郊外にヘリコプターで脱出する計画を立てます。

都市部はゾンビと人間達による殺戮が繰り広げられて秩序が崩壊した状態のため、人口が少ない郊外なら、ゾンビにも人間にも襲われるリスクが少ないと考えたからです。

二人は、TV局員達も混乱する中、計画を実行に移します。

【承】ゾンビ のあらすじ②

警察機能も停止しいよいよ絶望が本格化

フランとスティーブンが脱毛計画を実行に移す一方でS.W.A.T隊員のロジャーは、プエルトリコ系住民によるアパートの籠城事件制圧の任務を遂行していました。

アパートの中には生きた住人だけではなく死んだ人間までも匿っている状況で、信仰上の理由から彼らを処分することに反発する住民と、警察による強制突入の警告が繰り広げられており、一触即発の状態が展開されていました。

お互いに膠着状態が続く中、ついにアパート住人のリーダー格マルチネスは、痺れを切らして警告を無視して発砲し、S.W.A.T隊員達も突入します。

生者やゾンビ達、警察やS.W.A.T隊員達が入り乱れる状況の中、混乱に乗じてS.W.A.T隊員の一人であるウーリーは、人種差別の意識からゾンビのみならずプエルトリコ人をも銃殺します。

ロジャーは彼を止めますが、興奮し秩序が崩壊した状況でもあるため、ウーリーは殺戮を止めません。

ロジャーはやむを得ず彼を射殺すると、同僚で同じくこの絶望的な状況に嫌気が差したピーターを、郊外への脱出に誘います。

【転】ゾンビ のあらすじ③

安息の地を求めて

ピーターとロジャーは、フランとスティーブンに合流し、共に郊外に立地する巨大なショッピングモールへと到着します。

モール内にもゾンビ達が侵入していましたが、数もそれほど多くわけでもなく、4人で十分に排除出来る程でした。

モール内を彩る様々な物質は、ほとんど手付かずの状態で放置しており、彼らはしばらくこの場を生活の機転にすることに決めます。

安全性を確保するため、4人はモールに存在する複数の出入口を、大型トラックを駐車し、出入りのルートを限定する作戦を実行します。

ゾンビ達の襲撃の中、ピーターとロジャーは順調に出入口を塞いで行きますが、作戦の途中にロジャーがゾンビに腕と足を噛まれてしまいます。

フランとスティーブンも援護する中、作戦は成功しモール内をさ迷うゾンビ達も片付け、4人はこの未曾有の極限状態が勃発して以来初めて安息の日々を送るのでした。

高級なファッションで身を包み、モール内のレストランでのディナーなど、つかの間の自由を楽しむ最中、ロジャーの容態が日に日に悪化していきます。

【結】ゾンビ のあらすじ④

抗争の末の決断

ゾンビ化現象と必死の闘いの末、ついにロジャーもゾンビ化してしまいますが、ピーターによって頭部を撃ち抜かれそのまま深い眠りに就きます。

外の世界も依然として混沌が続き、フランの妊娠が発覚します。

それまでは一同に付いていくので精一杯でしたが、役に立ちたい一心でスティーブンにヘリの操縦の教えを乞います。

承諾したスティーブンと共に練習に明け暮れますが、この様子を望遠鏡で眺めていた暴走族、ヘルズ・エンジェルス達に目を付けられてしまい、モール内での抗争が勃発します。

激闘の末、暴走族を追い払いますが、スティーブンが負傷しゾンビ化、モール内に再びゾンビ達が侵入など、勝利の代償が余りにも重いこともありフランは脱出を提案しますが、ピーターは留まる決意を固め、こめかみに銃を当て自殺しようとします。

しかし、直ぐに思い止まり、ゾンビ達を蹴散らしながら屋上へと向かい、燃料も残り少ないヘリに乗り、絶望の中にも僅かな希望が残されていることを暗示するような朝焼けの中を、フランと共に飛び立ちショッピングモールを後にするのでした。

ゾンビ を観た感想

作品ごとに、ゾンビを題材にして人間社会に対しても継承を鳴らしてきたロメロ監督ですが、この作品は現代の消費社会に対する鋭い風刺が刻まれているのが衝撃的でした。

物質や情報に溢れ、何不自由無く過ごせるように文明を発展させてきた人類ですが、それを壊すのは人間達自身だと、おぞましいゾンビ達を通しての警告がリアリティーに溢れています。

また、特殊メイクを担当したトム・サヴィーニによる手腕も素晴らしく、CGに頼らない全編手作り感満載の作風は、ゾンビ映画ファンのみならず唸らせるでしょう。

言わずと知れた、ロメロ監督作品の中でも孤高の名作ですので、ホラーだからと毛嫌いせずに色々な人に観てもらいたいと思います。

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