監督：レン・ワイズマン 2012年8月にソニー・ピクチャーズから配給
トータル・リコール (2012)の主要登場人物
ダグラス・クエイド （コリン・ファレル）
主人公。工場の製造ラインで働く。奇妙な夢を見て寝不足なのが悩み。
ローリー （ケイト・ベッキンセイル）
ダグラスの妻。表向きはレスキュー隊員だが裏の顔がある。
メリーナ （ジェシカ・ビール）
ダグラスの夢に幾度となく現れる。レジスタンスの闘士。
コーヘイゲン （ブライアン・クランストン）
UFBの代表。コロニーの広大な土地を狙っている。
マサイアス （ビル・ナイ）
搾取を憎みレジスタンスを率いる。武力によるコロニーの独立を目指す。
トータル・リコール (2012) の簡単なあらすじ
支配者階級が暮らす元イギリスの「UFB」、被支配者階級が住む旧オーストラリア「コロニー。」
分断された近未来の地球で、ダグラス・クエイドは自らがUFBに立ち向かう戦士だと気がつきます。
監視役として妻のふりをしていたローリーを振り切って、同志たちと武装蜂起したダグラスは独立したコロニーで生きることを選ぶのでした。
トータル・リコール (2012) の起承転結
【起】トータル・リコール (2012) のあらすじ①
21世紀末に勃発した科学戦争によって地球上の大部分が汚染されてしまい、2つの居住区域だけが残りました。
富裕層が暮らすUFB(ブリテン連邦)エリアは北半球にあり清潔で快適、労働者の住むコロニーエリアは南半球にあり劣悪な環境。
夢の中で見知らぬ美女と一緒に、迫りくるロボット部隊「シンセティック」からから逃げ回っているのはダグラス・クエイドです。
現実の世界では理想とは程遠く、妻のローリーと貧しくコロニーで過ごしていました。
コロニー市民はUFBの貴重な労働力として利用されていて、高速移動装置「フォール」で地球の裏側へピストン輸送されていきます。
ダグラスの勤め先もUFBにある工場で、シンセティックの新機種を製造する単純な作業です。
毎朝フォールに乗って出勤して夜にはコロニーに戻り、近所の安い酒場でビールを飲むくらいしか楽しみがありません。
同僚からベンチャー企業「リコール社」への紹介状をもらったダグラスは、仕事の終わりに立ち寄ってみます。
【承】トータル・リコール (2012) のあらすじ②
世界を救うヒーローやトップアスリート、大国の首脳から大企業の社長まで。
リコール社が開発しているのは、他人の記憶を視覚ではなく脳から直接疑似体験するマシンです。
ダグラスが選んだコースはスパイ機関のエージェントですが、電源スイッチを入れる前に大勢の武装した警官が突入してきました。
突如として覚醒したダグラスは一騎当千の戦闘力を発揮して、警官隊20名あまりを撃退するのに数分とかかりません。
自宅に逃げ帰って警官に手を出してしまったことを告白すると、今度はローリーがひょう変して襲いかかってきます。
ローリーは妻ではなく連邦警察の覆面捜査官で、UFBのトップに君臨するコーヘイゲンの命令を受けてダグラスのことを監視していました。
家を飛び出したダグラスは街中を逃走していると右手が輝き始め、体内に埋め込まれた携帯電話起動して支援者と連絡が付きます。
ダグラスは赤の他人の記憶を移植されていて、リコール社が偶然にも本当の記憶を呼び覚ましてしまったようです。
【転】トータル・リコール (2012) のあらすじ③
「ダグラス・クエイド」はもともと存在しない人間でその記憶も作られたものであり、すべての謎を解くカギはUFBの高級アパート「ハイスペイオン」のD棟549号室にあります。
偽のパスポートを持って変装したダグラスが厳重な警備を突破してUFBへ潜入すると、磁力で浮遊するスポーツカーで迎えにきてくれたのは夢の中に登場したあの美女・メリーナです。
ふたりが追跡を振り切りながらハイスペリオンへたどり着くと、アパートの中にはヤマハのピアノが1台設置されていました。
楽譜どおりに弾いてみるとビデオメッセージが再生され、ダグラスはようやく記憶を取り戻します。
本名はカール・ハウザー、もともとはコーヘイゲンの命令でレジスタンスのリーダー・マサイアスを暗殺するために潜入、任務の遂行中にメリーナと恋に落ちてレジスタンス運動へと転向。
ダグラスとメリーナには手のひらの同じ位置に傷あとがあり、ふたりが逃走中に引き裂かれた時に負ったもので確かな証拠です。
一連のテロはマサイアスに汚名を着せるためにコーヘイゲンが仕組んだもので、コロニーへ侵攻してUFBの人口飽和を一気に解消するつもりでした。
【結】トータル・リコール (2012) のあらすじ④
コロニー市民の命を守るためには、シンセティックを武装解除する停止コードを入力しなければなりません。
コードはダグラスの脳内のファイアウォールと呼ばれる領域に記録されていて、それを取り出せるのはマサイアスだけです。
アジトへと招待されたダグラスはレジスタンスとともに戦うことを決意しますが、直後に突入してきたコーヘイゲンの精鋭部隊にマサイアスは殺害されてしまいます。
コーヘイゲンはダグラスの記憶を再び書き換えて、自分のために動く兵士として利用するつもりです。
マサイアスの死によってシンセティックの制御は不可能となり、残る手段は唯一の交通手段であるフォールを破壊するしかありません。
ダグラスが仕掛けた時限爆弾によってフォールは炎に包まれて、コーヘイゲンを乗せたまま地中へと落ちていきます。
爆風に巻き込まれて一時的に意識を失っていたダグラスは、メリーナの側で目を覚ましますが彼女の手には傷がありません。
メリーナに変装して襲いかかってきたローリーを射殺したダグラスは、本物のメリーナと抱き合いUFBから解放されたコロニーで生きることを誓うのでした。
トータル・リコール (2012) を観た感想
家畜が出荷されるかのように、低賃金労働者が暗たんとした表情を浮かべながら「フォール」で出勤するオープニングが印象的です。
フォールが地球の中心を通り過ぎた瞬間に、一瞬にして重力が反転するシーンも幻想的でした。
来る日も来る日も同じ席に座って同じ仕事を繰り返していた主人公のダグラス・クエイドに、ある日突然に降りかかってくる危機には手に汗を握ります。
格差社会や分断が広まっていく今の時代への、鋭いメッセージが込められていて考えさせられました。
空を飛ぶ車でのカーチェイスや、ロボットと人間との肉弾戦などSFのお約束もしっかりと盛り込まれていて楽しめますよ。
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