監督:S・S・ラージャマウリ 2022年10月にツインから配給
RRRの主要登場人物
ビーム/アクタル(N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア)
森に住むゴーンド族の守護者で虎にも立ち向かう屈強な男。連れ去られた少女マッリを救うためにデリーに向かう。
ラーマ(ラーム・チャラン)
インド帝国の警察官。内なる使命のために昇進の機会を窺う。お互いの素性を知らぬままビームとは親友になるが…
シータ(アーリヤ—・バット)
ラーマの婚約者。ある使命のために村を離れたラーマを待ち続けている。
スコット・バクストン総督(レイ・スティーヴンソン)
イギリス領インド帝国で圧政を敷くインド総督。歯向かう者には容赦ない冷酷で残虐な男。
ジェニー(オリビア・モリス)
町でビームが一目ぼれしたスコットの姪。ビームのことを気に入り、邸宅やパーティに招待する。
RRR の簡単なあらすじ
インド映画史上最高製作費をかけて作られ、公開されるやいなや全世界を熱狂の渦に巻き込んだ空前の大ヒット作。
連れ去られた部族の娘を奪還すべく町に乗り込んだビームと、ある使命のため機会を窺う警察官のラーマ。
デリーの町で出会った2人は、お互いの素性を知らぬまま友情を深めていきます。
しかし自身が追う人物がビームであるとラーマが知り、ラーマが警察官だとビームが気づいた時、2人の運命は大きく狂い始めるのでした。
インド全土を巻き込むほどの壮大な闘いを描いた本作は、怒涛のアクションとストーリー展開で見る者全てを圧倒します。
第95回アカデミー歌曲賞を受賞した「ナートゥ・ナートゥ」の高速ダンスも話題になりました。
RRR の起承転結
【起】RRR のあらすじ①
1920年、イギリスの統治下にあったインド。
アーディラーバードの森を進んでいた暴君スコット総督の一行は、ゴーンド族の少女マッリの芸術的な才能に惚れ込み、無理やり総督府のあるデリーに連れ帰ろうとします。
必死で抵抗するマッリの母親を殴りつけ、マッリを連れて一行は去って行きました。
後日、総督府を訪れたニザーム藩王国の特使が「マッリを返さなければ守護者がどこまでも追ってくる。
イギリス人に災いをもたらす」と忠告しますが、スコットの側近エドワードは聞く耳を持ちませんでした。
その頃、ゴーンド族の守護者ビームは「アクタル」という名に扮して、仲間を連れてマッリの救出のためにデリーへ出発します。
ビームは猛獣とも闘えるほどの強靭な肉体を持っていました。
デリーの警察署には、逮捕された独立運動家の釈放を求めてものすごい数の人々が押しかけます。
上官からの「あいつを逮捕しろ」の一声で、警察官のラーマは群衆の中に飛び込み、デモ隊からの攻撃にあいながらも見事に首謀者を逮捕しました。
しかしその功績はイギリス人署長には認められず、ラーマは不満を募らせます。
総督府ではゴーンド族の動きを警戒し、対策が協議され、ラーマが担当捜査官となりました。
ラーマは独立運動家の集会に潜入し、そこで声をかけてきたラッチュ(ビームの仲間)に声をかけられますが、ラーマが警察官だと気づいて逃げられてしまいます。
ラーマは必死で追いますが、ラッチュを見つけることができません。
その時、近くの橋の上で列車事故が起こり、逃げ遅れた少年が火の中に取り残されていることに気づきます。
そして川岸にいたビームもまた、その少年に気づいていました。
目が合ったラーマとビームはジェスチャーでサインを送り、見事な連携プレーで少年を救出します。
こうして出会った2人はその日から交流を重ね、やがて親友になりました。
しかし2人はお互いの素性を何一つ知りません。
【承】RRR のあらすじ②
ラーマと町を歩いている時でさえ、ビームはマッリがいるスコットの公邸への潜入方法を模索します。
ラーマも捕らえ損ねたラッチュの似顔絵を描いた紙を手に、町中で聞き込みを続けていました。
ある日、ビームは町で美しいイギリス人女性ジェニーに一目ぼれをし、それに気づいたラーマのいたずらで2人は親しくなります。
ジェニーはスコットの姪で、ビームはなんとか公邸に入れたらと密かに考えていましたが、ふとしたことがきっかけでジェニーがビームをパーティに招待してくれました。
言葉もわからず、着る服もないビームを見かねたラーマは、スーツを着せて一緒にパーティーへ向かいます。
しかしそこではイギリス人たちに嘲笑され、ビームは肩身が狭い思いをします。
その時突然軽快なドラムのリズムが響き渡り、ダンスミュージック「ナートゥ・ナートゥ」に乗せてラーマとビームが見事なダンスを披露しました。
負けじとイギリス人たちも踊りに加わりますが、激しいダンスに疲れ果てて次々に脱落。
そして最後まで残ったビームにジェニーは感激し、ビームを公邸に招待します。
ついにビームは公邸内へ入る機会を得ました。
当日、ビームは隙を見て屋敷内を捜索し、捕らえられていたマッリと再会。
必ず助けに戻ってくると約束して屋敷を後にします。
一方、ラーマはラッチュを拘束して激しい拷問を加えていました。
しかしラッチュは決してビームの名を口にしません。
そして隠し持っていた毒蛇をラーマに噛ませます。
ラーマはラッチュを解放しますが、徐々に毒が全身を回っていき、もがき苦しみます。
公邸へ乗り込む準備をしていたビームたちの前に瀕死のラーマが現れ、驚いたビームは薬草を使ってラーマを必死に介抱しました。
そしてベッドの上で動けずしゃべれずにいるラーマに自分の身分を明かし、今から公邸へ乗り込むつもりだという覚悟を告げて去って行きます。
ビームの素性を知り、ラーマはショックを受けました。
【転】RRR のあらすじ③
ナイトパーティが開かれていた公邸の庭に、ビームたちがトラックで突入しました。
荷台に乗せられていた猛獣たちが解き放たれ、客は大混乱に陥ります。
その騒ぎの隙にビームは公邸内へ侵入しようとしますが、そこに軍服に身を包んだラーマが現れます。
ラーマの身分を知りビームはうろたえますが、そんなビームに対してラーマは容赦なく手錠をかけようとしました。
ビームも抵抗し、そこから2人は激しい闘いを繰り広げます。
しかし最後にはビームは捕らえられてしまいました。
後日、ビーム逮捕に貢献したとしてラーマは念願の昇進を果たします。
そして過去の出来事が頭をよぎりました。
軍の施設で勇敢な父の指導の元育ったラーマは、イギリス軍の侵略によって父、母、弟を失いました。
家族の死を目の当たりにしたその日からラーマの心の中には復讐心がたぎり、警察官となって復讐の機会を窺っていたのです。
ビームの公開鞭打ち刑の日になりました。
ラーマはビームに、イギリスへの忠誠心を見せるためひざまずくよう言いますが、ビームはそれを拒否します。
ラーマはビームにひざまずいてほしいと願っていました。
しかしビームはけっして膝を曲げることはなく、ラーマによって激しく鞭打たれることになります。
スコットやその妻が「血が足りない」とあおり始め、ラーマも手に力を込めざるをえません。
しかしビームは痛みに耐えながら歌を歌い始めます。
ラーマは込み上げるものをぐっと抑えながら、ただ粛々と自分の職務を遂行しようとします。
しかしその歌声は強制的に広場に集められていた民衆の心に響き、ついには暴動へと発展。
刑は中止となりました。
その後ラーマは武器輸送の情報を得て、イギリス人への反旗を翻すことを画策します。
しかしビームの処刑が決まったことでラーマの心は大きく揺れ動き、まずはマッリとビームを救出することを決意しました。
ラーマは作戦を考え、兵士に配られる銃に細工を施します。
【結】RRR のあらすじ④
ビームの処刑当日、車に乗せられたビームにラーマの仲間がこっそりと刃物を手渡します。
ラーマはスコットと共にビームの護送に付き添っていましたが、途中、道に仕掛けた罠を発動させました。
マッリを逃がすことには成功しますが、ラーマの動きに警戒していたスコットに撃たれてラーマは重傷を負ってしまいます。
それでも手縄をほどいたビームに襲いかかる護衛を撃とうとしますが、マッリを狙っていると思ったビームによって叩きのめされてしまいました。
護衛たちはラーマの細工によって銃を撃つことができず、ビームはマッリを連れて逃亡します。
数か月後。
一連の騒動で軍による民衆への締め付けは厳しくなる一方でした。
ラーマは捕らえられ、必要最低限の食事で命を繋がれていました。
軍はビーム逮捕に執念を燃やし、包囲網は徐々に狭くなっていきます。
そしてついにビームが潜む場所にイギリス当局の手が及びますが、そこにいたシータの機転によって事なきを得ました。
ビームはシータがラーマの婚約者だと知り、さらにラーマの今までの行動の意味を理解して自分の愚かさを悔やみます。
そして今度は自分がラーマを助ける番だと決意しました。
夜、ビームはラーマが収容されている兵舎へ侵入し、2人は再会。
そして今までのことを謝罪し和解しました。
足をケガしているラーマを肩に乗せ、ビームは看守たちを蹴散らして森に逃げ込みます。
すぐに軍に囲まれますが、ラーマは力を漲らせて反撃を開始。
ビームと共に戦士の如く敵をなぎ倒していきます。
そしてラーマは馬に、ビームはバイクにまたがって真のターゲットであるスコットのいる施設へと向かい、燃えるバイクを武器庫へ突っ込ませて大爆発させました。
しぶとく生き残ったスコットをラーマはイギリスの銃で撃ち殺し、ついに復讐を果たします。
残された武器を盗み出したのち、シータやジェニーと再会したビームとラーマは、幸せな笑顔を見せるのでした。
RRR を観た感想
冒頭から一瞬たりとも落ち着かせてくれないといっても過言じゃない、観るものを引きつけるパワーがすさまじい作品です。
ほんとに3時間なんてあっという間です。
普段韓国やハリウッド作品ほど身近ではなかったインド映画ですが、完全に虜になってしまいました。
アクション映画なんてたくさん見てきたつもりでしたが、本作で繰り広げられるアクションには目が釘付けになり、感じたこともない興奮と高揚感に包まれました。
まさにあっけにとられると言った感じでしょうか。
カメラワーク、効果音、演出、どれをとっても一流です。
さらにインド映画ならではのダンスパフォーマンスがたまりません。
出演者の魅力、観るものを落ち着かせないほどのストーリー展開、目の肥えた観客をも唸らせる新次元のアクション、そこに入り込む陽気で圧倒的なダンスパフォーマンス…こんなに中毒性の高いやみつき映画にはもうしばらく出会えそうにありません。
ぜひ大画面で観てもらいたい作品です。
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