監督:中田秀夫 1998年1月に東宝から配給
リングの主要登場人物
浅川 玲子(松嶋菜々子)
主人公。テレビ局のディレクターで、一人息子の陽一と暮らすシングルマザー。呪いのビデオについて調べるうちに、自らもその呪いに触れてしまう。
高山 竜司( 真田広之)
玲子の元夫。超能力をもっている。玲子に依頼され一緒に貞子の呪いの調査を始めるも、貞子に呪い殺されてしまう。
高野 舞(中谷美紀)
高山の恋人。いつも全身黒づくめの格好をしている。
大石 智子(竹内結子)
玲子の姪。友人たちと呪いのビデオを鑑賞した後に、謎の死を遂げる。
リング の簡単なあらすじ
テレビ局ディレクターの浅川玲子は、見ると1週間後に死ぬといわれる「呪いのビデオ」について調べるうちに、自らもその呪いに触れてしまいます。
1週間という残された時間の中、ビデオの謎、そして髪の長い謎の女・貞子の呪いについて調べるにつれ、数々の怖ろしい現象に見舞われますが、ついに驚愕の真実にたどりくのでした。
リング の起承転結
【起】リング のあらすじ①
女子高校生の大石智子は泊まりに来た友人の雅美と部屋でおしゃべりをしていました。
智子は以前友人たちと遊びに行った先で奇妙なビデオを見たと話します。
直後に無言電話もかかってきたとも話しました。
怯える智子を茶化していた雅美ですが、雅美がトイレを借りている間に智子は怖ろしい形相で死んでしまいました。
一方、テレビ局のディレクター・浅川玲子は、今巷で噂になっている「呪いのビデオテープ」について調べていました。
それは見ると1週間後に死ぬというものです。
そんな時に目に入った新聞には気になる事件の記事が載っていました。
「車中より若者の変死体」とあり、気になった玲子はアシスタントの岡崎に詳細を調べるように依頼します。
その夜、玲子は姪である智子の通夜に参列します。
そこへ岡崎から電話があり、変死体の女子高校生が智子と同じ高校の生徒だということがわかりました。
さらに智子の同級生に話を聞くと、智子が友人3人と伊豆地方へ遊びに行き、その4人全員が1週間後の同時刻に亡くなったという事実を突き止めます。
皆一様に恐怖におののくような表情で亡くなっていて、死因は突然の心臓停止。
玲子はこの4人の死が呪いのビデオに関係があるのではないかと考えます。
智子の部屋にあった写真を見た玲子は、智子らが宿泊した場所を突き止めますが、そこに写った4人の顔はすべて異様に歪んでいました。
後日玲子は智子らが宿泊したコテージを訪れます。
部屋を調べますが、特におかしな点は見当たりません。
しかしフロントに置かれたラベルのないビデオテープが気になり、借りて視聴することにしました。
【承】リング のあらすじ②
ビデオを見てみると、そこには不気味な映像が映っていました。
井戸の中から見る空、髪をとかす女性と一瞬写る少女、中に「貞」という文字のある目のアップ…気味は悪いのですがさほど長くもなく、玲子はビデオを見終えます。
しかしその瞬間、コテージの部屋の電話が鳴り響きました。
無言電話です。
これが例のビデオだと確信した玲子は、自分の命はあと1週間だと思いながら、ビデオをつかみ急いで帰りました。
玲子は元夫・高山竜司に事情を話しますが信じてもらえません。
しかし試しに撮ってみろと写真を撮らせ、そこに写った歪んだ顔の玲子を見て、高山は呪いのビデオは本物だと信じました。
高山はビデオの解析を進めます。
鏡に向かって髪をとかす女性が映る場面で、この角度から撮ればカメラマンが映るはずだと指摘。
そこに高山の恋人である高野舞が訪れ2人の仲を嫉妬しますが、高山と玲子は男が指を指す場面で、「しょうもんばかりすると、もうこんがくるぞ」という言葉を聞き取ります。
高山が調べると、それは伊豆大島の方言で、「しょうもん」=「水遊び」、「もうこん」=「化け物」だということが判明しました。
「水遊びばかりしていると化け物がくるぞ」という意味です。
さらにビデオで噴火している山は三原山だということも突き止めました。
図書館の新聞記事から、噴火を予知したという女の記事を見つけ、伊豆大島へ向かうことにしました。
【転】リング のあらすじ③
伊豆大島へ向かう前日、玲子は息子・陽一を連れて父親の元へむかいます。
夜連絡を取った高山から、噴火を予知した女の名前が「山村志津子」という名前であること、40年前に自殺していることを聞きます。
深夜「おばさん」という智子の声が聞こえた玲子は目を覚まし、陽一が呪いのビデオを見ているところを目撃して愕然としました。
さらに以前見た時とは違って、映像の中の井戸から髪の長い女が這い出してきました。
そして陽一は静かに、「智ちゃんが、見ろって」とつぶやきます。
不思議な力を持つ高山同様、陽一もその力を持っているのでした。
翌日、陽一を父親に預け、玲子と高山は伊豆大島へ向かいます。
その後の調査で様々なことがわかってきました。
山村志津子は「千里眼」があるとされ、超能力の研究者・伊熊平八郎に見いだされマスコミにも注目される存在でした。
しかし実験中に死者を出し、それがきっかけで自殺していたのです。
そして志津子には伊熊との子であると思われる娘・貞子がいるというところまでたどり着きました。
志津子のいとこである山村敬が経営する旅館を訪れた2人は、敬に高山の持つ能力のことを伝え、敬の手を取って読み取りを行います。
脳内に映し出されわかったことは、志津子の能力は本物でしたが、そのすごさに「イカサマ」だと非難した記者の1人が苦しんで死んだということでした。
志津子は動揺しましたが、それは人を殺すほどの力を持っているのが娘の貞子の方だったからでした。
それを憂いて志津子は自殺し、貞子は世間に対して激しい憎しみを募らせたのです。
すでに死んでいるであろう貞子が呪いの現象を引き起こしているのではと想像した玲子と高山は、智子たちがビデオを見つけたあのコテージの下に貞子の死体があると推測。
台風が近づく中、山村敬の船で東京へ向かいました。
しかしふと玲子は、竜司と陽一がビデオを見た時に、電話が鳴らなかったことを思い出します。
【結】リング のあらすじ④
玲子がビデオを見てからちょうど一週間を迎える日がやってきました。
19時7分がタイムリミットです。
東京へ戻った2人はバケツとシャベルを購入し、急いであのコテージへと向かいました。
そしてコンクリートの蓋で覆われた井戸を発見します。
その蓋に触れたとたん、伊熊平八郎が貞子を井戸へと突き落とす映像が見えました。
蓋を外し高山は井戸を降りていきます。
内側の壁には爪がささっており、突き落とされてもまだ生きていた貞子が、必死に上へ這い上がろうとしていたことがうかがえます。
底の水をすくい玲子がそれを引き上げていましたがあまりにも時間がかかりました。
そしてタイムリミットぎりぎりで貞子の遺体を発見。
玲子は貞子を抱きしめました。
そして時刻はすでに19時10分過ぎ。
玲子と高山は貞子の呪いが解けたのだと安堵しました。
翌日、高山は自宅にいました。
すると不意にテレビがつきます。
そこにはあの井戸が映し出されており、貞子が這い出してきました。
そしてなんとテレビ画面を出て高山の部屋に入り込みます。
貞子はうろたえる高山を睨みつけ、呪い殺してしまいます。
嫌な予感がした玲子は急いで高山の家へ向かいますが、すでにそこには警察と、高山の死体を発見し放心状態の高野舞がいました。
どうして自分は助かったのか、陽一はどうなるのか、自分がして高山がしなかったことは何かを考えながら、玲子は車を走らせます。
自宅に戻った玲子は、玲子のバッグを指さす高山の幻影を見ました。
そしてすべてを悟ったのです。
「ビデオをダビングして、他人に見せる」これが助かる道だということを。
玲子はビデオをダビングして高山に見せていたのです。
ビデオデッキとビデオテープを持った玲子は、陽一を連れて父親の元へ車を走らせました。
後日、呪いのビデオテープの噂話に新たな情報が追加されました。
それは、「ダビングして他人に見せれば呪いは解ける」というものでした。
リング を観た感想
ジャパニーズホラーの原点ともいうべき作品です。
ビデオを見るだけで呪われるという斬新な設定と、テレビから出てきてしまう逃げ場のない貞子の恐怖は、初めて見た時にものすごい衝撃を受けたのを覚えています。
呪いの謎が解けるにつれ、貞子の置かれた境遇に同情し切なくもなるのですが、結局最後まで猛威をふるい続ける貞子にただただ圧倒されてしまいます。
20年以上も前の作品なので、今見ると映像に良い感じの古さが加わり、さらにダークな雰囲気で楽しめると思いますよ。
「らせん」「リング2」など、続編も見てみたくなること間違いなしです。
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