【ネタバレ有り】死にぞこないの青 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:乙一 例)2001年10月25日に幻冬舎から出版
死にぞこないの青の主要登場人物
マサオ
本作の主人公。小学5年生の男の子。怖がりで引っ込み思案。担任の先生となる羽田にイジメの対象とされてしまう。奇妙な人物「アオ」に出会う。
ミチオ
マサオの友達。小学5年生の男の子。いつもマサオといっしょに小学校に登校している。
羽田先生(はねだせんせい)
マサオとミチオが5年生になった時の担任の先生。大学を卒業したばかりでまだ若い青年。大学でサッカーをしていた。周りからの評判はいいが、マサオを陰湿にイジメる。
アオ
マサオの前に現れた奇妙な人物。マサオにしか見えない。肌は青く、顔はキズだらけ。片耳と頭髪がなく、顔は奇妙に歪んでいる。
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死にぞこないの青 の簡単なあらすじ
とにかく怖がりな小学5年生のマサオは新しく学校に赴任し、担任の先生となる羽田先生と出会う。が、係決めの一件を機にマサオは羽田先生のイジメの標的となる。マサオの暗い心を映し出した「アオ」と出会い、マサオは羽田先生と対決する。
死にぞこないの青 の起承転結
【起】死にぞこないの青 のあらすじ①
小学5年生になったマサオは新しく学校に赴任してきた羽田先生と出会い、羽田先生はマサオの担任の先生となった。
羽田先生はまだ大学を卒業したばかりの青年の新米先生であり、最初はぎこちなかったが、徐々にクラスに溶け込んでいく。
周りの評判も上々。
そんなある日、クラスで係決めが行われる。
マサオは生き物係を希望していたが、話し合いに参加しなかったということで体育係になってしまう。
その頃から徐々にマサオは羽田先生からの陰湿なイジメを受けるようになる。
マサオだけ叱られることが多くなり、マサオの失敗を皆の前で笑い話にされたり、宿題をやってきても字が汚い、答えが間違っているなどいろいろなことを指摘して叱られる。
そうしてマサオはイジメの対象となっていく。
【承】死にぞこないの青 のあらすじ②
ある日の体育の授業のあと、マサオは奇妙ないでたちをした人物と出会う。
その人物は肌が真っ青、顔はナイフで切られたようにキズだらけ。
片耳と頭髪がなく、だれかにそぎ落とされたよう。
右目はふさがっていて、顔は奇妙に歪んでいた。
さらに服は拘束服を着ていた。
その風貌からマサオは「アオ」と名付ける。
アオはマサオにしか見えず、幻影であった。
そんな中、マサオへのイジメはさらにエスカレートし、その影響はクラス全体にまで広がる。
マサオはクラスの最下層になってしまい、クラスメイトからは疎外されてしまう。
やがて怒りや悲しみといったものが薄らぎ、感情の少ない部品となってしまったのかマサオの前からアオは姿を見せなくなってしまう。
【転】死にぞこないの青 のあらすじ③
マサオに対するイジメは依然として続いていており、学校でなにか言われても、マサオはそれを抵抗なく受け入れるようになっていた。
羽田先生の言ったことが世界の摂理だと思い込み、それにしたがっていた。
しかし、それはおかしいことだとマサオは気づく。
先生を含めたクラス全員の不満を押し付けられる役目なんて存在してはいけない。
すると、しばらく姿を見せていなかったアオが再び現れる。
マサオはアオに初めて話かける。
きっと害は及ぼさないとマサオは思っていたが、それは間違いであったことを知る。
アオはマサオの体を乗っ取り、危害を加えてしまうのだった。
マサオはアオと手を組む決心をする。
先生が作り出した新しい歪んだルールに殺されないために。
「あいつを殺す決心はついたか?」アオの問いにマサオはそっとうなずき返す。
【結】死にぞこないの青 のあらすじ④
羽田先生のアパートを探しだそうとするマサオ。
羽田先生の住所は「五年生タイムズ」に掲載されていた。
それを手掛かりに家を出ていき、三時間後マサオは羽田先生のアパートを見つけ出す。
ついにアパートに忍び込むことを決意したマサオは侵入に成功する。
だが、アパートから外に出ようとしたと時、外出から帰宅した羽田先生に発見されてしまいマサオは気を失う。
目を覚ましたマサオは風呂場に寝かされていた。
睡眠薬を飲まされたふりをしてマサオは目をつむる。
羽田先生は寝ていると思っているマサオを車のトランクに積み込み、山の中腹あたりの駐車場に運んでいく。
一瞬のスキをつき羽田先生を攻撃して逃げ出すマサオ。
追いかける羽田先生。
逃走劇の末、2人は大きなケガを負い、病院に運ばれる。
無事退院したマサオは学校に復帰する。
マサオの前にもうアオは姿を見せることはなくなり、担任の先生は優しい女の先生へと変わった。
死にぞこないの青 を読んだ読書感想
この小説の一貫した印象はホラーな感じでほの暗い感じだ。
それはこの本のタイトルにも表れている。
「死にぞこないの青。」
主人公がイジメの標的にされ、アオという奇怪な幻影が現れ、復讐を果たしに行く、という。
しかし、物語は起承転結がはっきりとあっておもしろく、途中で飽きるということもない。
特にクライマックスである羽田先生との対決と逃走劇はハラハラして見逃せない。
そこはさすが乙一というところ。
この小説を読んで思ったのはやはり1番怖いのは人間であるということ。
羽田先生というのが実に表面上はとてもいい先生で評判がいいのだが、裏ではマサオを標的にして陰湿なイジメをしていたのである。
また、マサオを引っ込み思案でおとなしいのだが、心の奥底には暴力性を持っているのではないだろうか。
あれがアオとなって表れた。
この世で一番恐ろしいのは人間。
それを思い知らせてくれた小説だ。
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