【ネタバレ有り】夏と花火と私の死体 のあらすじを起承転結で解説!
著者:乙一 2000年5月に集英社から出版
夏と花火と私の死体の主要登場人物
五月(さつき)
友人の弥生に殺されてしまう9歳の女の子。
弥生(やよい)
五月の同級生の友人。
健(けん)
弥生の2歳上の兄。従姉のお姉さんである緑のことが好き。
緑(みどり)
弥生と健の従姉。アイスクリーム工場で働いており、時々アイスクリームを持って来てくれる。
66(ろくろく)
凶暴な野良犬
夏と花火と私の死体 の簡単なあらすじ
9歳の夏休み。わたし、五月は仲良しの友人の弥生に殺されてしまう。妹の弥生ちゃんが、わたしを殺してしまったと知った兄の健くんは、わたしの死体を隠そうとする。弥生ちゃんと健くんの、わたしの死体を隠そうと奮闘する4日間。
夏と花火と私の死体 の起承転結
【起】夏と花火と私の死体 のあらすじ①
学校が夏休みになり、わたしは弥生ちゃんと神社で遊んでいると凶暴な野良犬66の唸り声に気づき、逃げようとしても恐怖で体が動きません。
そこに弥生ちゃんの兄である健くんが現れ、66を追い返してくれました。
健くんは、わたしに対しても「五月ちゃん、大丈夫?」と声を掛けてくれます。
「緑さんがアイスクリームを持って来ているかもしれないよ。」
と弥生ちゃんが言います。
3人で弥生ちゃんの家に行くと、緑さんがアイスクリームを持って来ていました。
みんなでアイスを食べながらテレビを見ているとニュースで誘拐事件が報道されています。
家から近い男の子も誘拐されており、緑さんが「健くんも気をつけなさい。
可愛いから誘拐されちゃうよ」と健くんに笑いながら話します。
【承】夏と花火と私の死体 のあらすじ②
アイスクリームを食べ終わり退屈になり、わたしたち二人は家の裏にある森に向かいました。
健くんは緑さんを送ってから来ると言っていたので、いつものように一本の高い木に弥生ちゃんのおしゃべりをしながら登ります。
枝に腰かけ「違う家に生まれたかった。」
と話す弥生ちゃんに「どうして?」と聞くと「弥生も健くんと呼びたかった。」
と言います。
健くんは緑さんのことが好きなんだろうと、わたしが言えば、弥生ちゃんはそのことに気づいていたらしい。
弥生ちゃんの長い髪は、緑さんの真似をしているのだろう。
そこで、わたしが「わたしも健くんが好きなんだ」と弥生ちゃんに告げました。
遠くに健くんの姿が見えたので、わたしは手を振ります。
そのとき、背中を押され、落下したわたしは死んでしまいました。
【転】夏と花火と私の死体 のあらすじ③
大きな音に気がつき掛けてきた健くんが、わたしの死体を発見します。
木の枝から降りてくる弥生ちゃんは泣いていて、なにがあったのか聞く健くんに対して弥生ちゃんはいつものようにおしゃべりしていたら、五月ちゃんが滑って落ちてしまったと話します。
それに対し健くんは、滑って落ちちゃったのなら仕方がないのだから、弥生は悪くないから泣くのはやめなと言い、わたしに向き直りました。
お母さんに知らせにいこうと弥生ちゃんの手を取る健くんですが、弥生ちゃんが嫌だと言うので二人は、わたしの死体を隠すことにしたようです。
見開いたままのわたしの目は、そんな二人を見つめていました。
隠すことに決めた二人は、健くんがわたしを背負い森の端に向かいます。
【結】夏と花火と私の死体 のあらすじ④
森の端にあるコンクリートの蓋がされた溝に、わたしを隠し家に帰っていきました。
家に帰りいつもどうりに夕飯を食べていると、わたしの母がやって来ました。
その声に動揺する弥生ちゃんですが、健くんはまったく動揺していません。
「五月ちゃんが帰って来ていないらしいのだが、何か知らない?」と母に聞かれた二人は「知らない」と答えます。
「もう暗いのに心配ね」と話す母に弥生ちゃんは顔を上げることが出来ませんでした。
二日目は警察が捜索する為に死体の移動をすることになりました。
警察に見つかりそうになった為、二人は部屋の押し入れに死体を隠します。
このままにしておく訳にはいかないので再度、死体を移動することにしますが、緑さんに見つかりそうになったりと危険な状態でした。
明日は花火大会なので、なんとか今夜にでも死体を処分したいと考える健くんは、深夜の三時半に弥生ちゃんと二人でお宮の石垣へと向かいました。
石垣の穴に投げ込めば死体は見つからず誘拐事件と思われると考えてのことでした。
運んでる途中で人と遭遇しそうになり、慌てて田んぼに死体を隠し、移動は明日に持ち越すことになりました。
四日目、今日は花火大会です。
花火大会の中、なんとか二人はごまかしながら石垣に到着しわたしを、投げ込もうとしていると、そこに緑さんが現れました。
緑さんは死体を処理しようとしていることを知っていました。
緑さんは、いままで誘拐していた男の子たちの死体を工場の冷凍庫に隠していたのです。
その冷凍庫にわたしの死体も隠すのでした。
夏と花火と私の死体 を読んだ読書感想
この小説は223ページと短いこともありサクサク読むことができました。
作者である乙一のデビュー作ですが、執筆されている当時は学生であり16歳と言うことが驚きでした。
主人公は殺された五月?わたし?の目線で進むと言うのも斬新です。
弥生ちゃんが、友人である五月ちゃんを殺してしまい動転し泣いて動揺してしまうのに対して、兄である健くんは一切、動揺せずに淡々と死体を隠そうとしていることが、なによりも不気味で恐ろしい印象を受けました。
更に自分が誘拐犯なのにも関わらず、健くんに「誘拐されちゃうから気をつけて」と笑って話す緑さんも恐ろしいのですが、健くんが緑さんに惹かれるのは、自分に似ていると無意識に感じていたからなのではないかとも思えます。
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