【ネタバレ有り】マチネの終わりに のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:平野啓一郎 2016年4月に文藝春秋から出版
マチネの終わりにの主要登場人物
蒔野 聡史(まきの さとし)
天才クラシックギタリスト。洋子との一度の出会いで恋に落ちる。
小峰 洋子(こみね ようこ)
国際ジャーナリスト。バグダッドでテロに遭遇したことでPTSDを抱える。
リチャード
洋子の婚約者。洋子を愛するあまり、強引な部分がある。
三谷 早苗(みたに さなえ)
蒔野のマネージジャー。蒔野に思いを寄せる。
マチネの終わりに の見どころ!
・国境を超えた蒔野と洋子の愛
・二人の行く手を阻む数々の障害
・音楽に彩られた感動のラスト
マチネの終わりに の簡単なあらすじ
天才クラシックギタリストとして名を馳せる蒔野は、とあるコンサートでの打ち上げにて、国際ジャーナリストの洋子と出会います。
蒔野が敬愛する映画監督の娘でもある洋子は博識で、二人はすぐに打ち解けます。
友人として親しくなった二人は、次第に惹かれ合いますが、数々の障害が待ち受けます。
蒔野はギターのスランプに、洋子はバグダッドでの仕事がきっかけのPTSDの発作に。
それぞれに苦しむ二人を、さらなる残酷な運命が襲います。
マチネの終わりに の起承転結
【起】マチネの終わりに のあらすじ①
天才クラシックギタリストとして有名は蒔野は、その日も完璧な演奏をすることができました。
演奏後は、数々の関係者があいさつに来てくれます。
そのうちの一人がフランスからやってきた、国際ジャーナリストの洋子でした。
洋子は、蒔野が敬愛する映画監督の娘であるということを知り、蒔野は洋子をその後の打ち上げに誘います。
打ち上げで、洋子と蒔野は親密な時間を過ごしますが、蒔野は洋子に惹かれていることを感じます。
友達として、二人はメールのやりとりを始めます。
洋子も次第に蒔野に惹かれていく自分を感じますが、洋子にはリチャードという結婚を誓った相手がいました。
リチャードは洋子に結婚の準備を迫っていましたが、洋子は蒔野のことが気になってしまうため、曖昧な態度をとっており、そんな自分にも嫌気がさしていました。
そんな時、洋子は仕事で駐在したバグダッドでテロに巻き込まれかけます。
一歩間違えれば死んでいたという場面に遭遇した洋子は、自分の存在意義や、仕事の意味を見失いかけます。
それはやがて、PTSDという症状として現れました。
テロがきっかけで、蒔野へのメールの返事も滞っていましたが、時間が経つにつれて、蒔野に会いたいという思いが強まるのを感じます。
洋子はメールが滞ったことを詫びるメッセージを送ると、蒔野から、フランスに演奏に行くから会おうという返事が来ます。
洋子はすぐに承諾しました。
【承】マチネの終わりに のあらすじ②
蒔野と洋子は、名目上は友人としてフランスで再会しましたが、蒔野は洋子への気持ちを抑えられませんでした。
共通の知人から、洋子にフィアンセがいることは知っていましたが、それを承知で洋子に思いを告げます。
洋子はその告白を嬉しく感じますが、蒔野と結婚することになると、リチャードとの別れや、これからの二人の住む場所など、たくさんの問題が立ちはだかることに気付きます。
蒔野が本気なのかを確かめるために、洋子は一旦は断ります。
それに、洋子にはリチャードの子どもを妊娠している可能性がありました。
また、バグダッドで負ったPTSDの症状を蒔野に対しては隠さなくてはならなかったので、洋子にとってのこの逢瀬は、少し負担に感じられました。
しかし、蒔野が日本に帰ってからも、洋子は蒔野のことを考えました。
明らかに、今の洋子はリチャードよりも蒔野に惹かれているのです。
それに、生理が来たことによって、洋子がリチャードの子どもを妊娠していないことも明らかになりました。
洋子はリチャードとの関係を清算して、日本に行こうと決心しました。
リチャードはマリッジブルーだと言って必死に洋子を止めましたが、洋子の気持ちは変わりません。
【転】マチネの終わりに のあらすじ③
洋子が日本に帰ってくることになりました。
仕事があるために短期の滞在ではありますが、蒔野は喜びを隠しきれません。
しかし、蒔野はギターのスランプに陥っていました。
それを見ていたのが、マネージャーの三谷です。
三谷は蒔野のギターに惚れていましたが、それ以上に、蒔野そのものが好きでした。
しかし、マネージャーとして私情は挟まずに懸命に蒔野をサポートしていました。
しかし、洋子に出会ってからの蒔野は良くない方向に行っていることを感じ、洋子に対して嫉妬心と嫌悪感を持っていました。
ついに、洋子が日本にやってくる日が来ました。
待ち構える蒔野ですが、そこにギターの恩師である祖父江が危篤だというメッセージが入ります。
蒔野は急いでタクシーに乗り込みました。
後で洋子に連絡しようと急いでタクシーを出ますが、そこに携帯電話を忘れてしまいます。
蒔野は三谷に携帯電話を取りに行って洋子に説明のメッセージを送ってほしいと頼みます。
三谷は蒔野の携帯をタクシー会社から受け取り、その携帯で洋子に別れを告げるメッセージを送り、携帯を水につけて水没させました。
日本に到着してそのメールを見た洋子はあまりのことに言葉を失います。
絶望の中、洋子は自分のPTSDの症状がひどくなっていくことを感じます。
これ以上蒔野からのメッセージを受け取っては自分がおかしくなると思った洋子は、その後一切蒔野からのメッセージには目を通しませんでした。
【結】マチネの終わりに のあらすじ④
蒔野は始め、洋子が自分より祖父江を優先したから怒っているのではないかと思いますが、優しい洋子がそんなことをするはずはありません。
しかし、いつまで経っても洋子からの連絡はありませんでした。
次第に蒔野は洋子のことを諦めようと努めます。
その心に入り込んだのが、三谷でした。
蒔野は、いつも自分のことを支えてくれた三谷こそが愛するべき女性なのかと思い、三谷と結婚することにします。
三谷はそれを嬉しく思い、受け入れますが、いつも心には蒔野と洋子を裏切ってしまったという罪悪感がありました。
三谷が蒔野の子どもを身ごもった時、余計にその思いは強くなります。
洋子も、蒔野のことを諦めようと努めていました。
フランスに帰り、リチャードに詫びて二人は結婚し、ニューヨークで生活を始めました。
ケンという男の子も授かりましたが、リチャードの浮気が発覚して離婚をします。
実家の母に会うために日本に帰った洋子は、近くで蒔野のコンサートが行われていることを知りました。
久しぶりに蒔野の音楽が聴きたくなった洋子は当日券を買いにいきますが、そこには大きなおなかをした三谷がいました。
三谷は洋子を喫茶店に呼び出し、蒔野と結婚したこと、今日のコンサートには来ないでほしいと告げます。
洋子は、三谷のせりふが蒔野からの別れのメールの内容と酷似していたことからかまをかけると、三谷は驚き、泣きながら蒔野と洋子の仲を裂いたことを詫びます。
洋子は怒ることができず、そのままチケットを三谷に返し、ニューヨークに戻りました。
それ以降、洋子は蒔野のいちファンとして、CDを聞くだけになりました。
しかしある日、CDのサンクス欄に洋子のことかと思われる描写を発見し、どうしても蒔野に会いたくなります。
そのころ、蒔野も三谷から謝罪を受けていました。
蒔野は洋子から音沙汰がなくなった原因に納得しましたが、自分がそこまで三谷を追い詰めていたことを知り、怒ることはできませんでした。
しかし、その数か月後、ニューヨークでのコンサートに洋子の姿を発見します。
蒔野はMC中に会場近くの公園について話します。
コンサート終了後、蒔野がその公園に向かうと、そこにいたのは洋子の姿でした。
ふたりは再会を喜びます。
マチネの終わりに を読んだ読書感想
もどかしいほどに阻まれる蒔野と洋子の関係が読んでいてつらかったです。
マネージャーの三谷が悪役ともとれる配役ですが、なぜか憎めないキャラクターで絶妙だと思いました。
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