【ネタバレ有り】オレたちバブル入行組 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:池井戸潤 2004年12月にダイヤモンド社から出版
オレたちバブル入行組の主要登場人物
半沢直樹(はんざわなおき)
半沢シリーズの主人公。東京中央銀行の大阪西支店融資課長。バブル期に入行し、何とか出世コースに残っている。
浅野匡(あさのただす)
東京中央銀行大阪西支店長。
渡真利忍(とまりしのぶ)
半沢の同期で東京中央銀行融資部企画グループ調査役。
近藤直弼(こんどうなおすけ)
半沢の同期で東京中央銀行大阪事務所システム部分室調査役。
東田満(ひがしだみつる)
西大阪スチール社長。浅野とは父親の会社が同じで昔からの知り合い。
オレたちバブル入行組 の簡単なあらすじ
半沢直樹は就職活動にあたり、かつて第二銀行ながら父親の会社を救ってくれた都市銀行への就職を希望し産業中央銀行を受験します。バブル期真っ只中の就職活動では売り手市場が続いているため協定破りが横行しており、産業中央銀行でも解禁前の面接が行われていました。無事試験を突破した半沢はその中で出会った渡真利、押木、近藤、苅田という慶応大出身の同期と共に銀行の門をくぐりました。この後、何が起きるとも知らずに。
オレたちバブル入行組 の起承転結
【起】オレたちバブル入行組 のあらすじ①
半沢は産業中央銀行へ入行後、苦しい中でも何とか出世レースに残っていました。
銀行はバブル崩壊後、経営状態が悪くなり合併を繰り返すことで生き残っており、産業中央銀行も合併により東京中央銀行と名前を変えていました。
半沢は現在、大阪西支店の融資課長を務めていますが、ある時支店長の浅野が強引に五億円もの融資を西大阪スチールという会社に行おうとします。
半沢は懸念を示しますが、浅野は元人事部長代理の肩書きをチラつかせて無理やり稟議を通させます。
融資直後に西大阪スチールは経営破綻し粉飾の事実が明るみに出ます。
しかし、浅野や副支店長の江島は責任を半沢に押し付けようとします。
半沢は債権回収に走りますが、東田社長は粉飾の事実を認めず喧嘩腰に回収出来るものならやってみろと言うのみでした。
東田は行方をくらまし、マンションを訪ねると別の債権回収の為にヤクザがうろついていました。
半沢は出張で来阪した渡真利、大阪務めの苅田、近藤という同期と飲みに行き西大阪スチールの件を愚痴ります。
バブル入行組の同期では、半沢と渡真利は何とか出世コースにしがみついていますが、苅田は司法試験コースに選ばれたものの試験に受からず、近藤は統合失調症で一年休職しそれぞれ出世が遅れていました。
もう一人の同期であった押木は国際派バンカーとなりましたが、アメリカの同時多発テロで行方不明となってしまいました。
なかなか思うようには行かない銀行員人生を振り返りながら話をしていくうち、また半沢の話に戻ります。
大阪西支店長浅野は全ての罪を半沢に押し付けようと画策しているとの事です。
後日、半沢は本店に呼び出され、融資部と人事部によるヒアリングを受けます。
人事部次長の小木曽は見るからに浅野の息が掛かっており半沢の責任を追求してくるため、半沢は激怒し逆に本店と浅野の責任について追求しないのは何事かと反論します。
【承】オレたちバブル入行組 のあらすじ②
半沢は東田の行方を追ううちに不渡り後にリゾート開発へ投資している証拠を見つけ、元経理課長の波野を訪ねます。
波野は既に実家の波野商店に戻っており、しらばっくれますがどうも東田はどこかに金を隠し持っていたことは分かります。
泣きながら謝る波野を見て、半沢は自分が薄汚れた金貸しになってしまった気がします。
半沢は直接リゾート開発会社へ行き調べると東田はハワイに五千万円の別荘を購入していました。
銀行には国税の監査が入りますが、税務署も西大阪スチールを調べていることが分かります。
さらに半沢は西大阪スチールと新日本特殊鋼との関係を調べると、東田は5年前から計画的に倒産したということが判明します。
しかし、小木曽の策略で裁量臨店が計画されます。
また半沢は家庭では妻からの攻撃にも耐えていました。
裁量臨店では本来味方のはずの浅野や小島も敵側に回り苦しい立場に追い込まれますが、半沢は資料がいくつか紛失したことから罠を張り小木曽が資料を隠していた事実を突き止め反撃します。
渡真利から連絡があり、裁量臨店の評価妨害で小木曽は謹慎処分となりますが、まだ西大阪スチールの問題があるので早くなんとかしろとハッパをかけられます。
銀行に同じく東田に借金を踏み倒された竹下金属社長がやって来て経理資料を確認して欲しいと言います。
半沢は竹下金属分だけで四億円の誤差があることを確認し、竹下と共に必ず東田から債権回収することを誓います。
【転】オレたちバブル入行組 のあらすじ③
竹下は同じように借金を踏み倒されて倒産した会社社長の板橋を発見しますが、板橋は債権回収には後ろ向きでした。
メリットしか無いはずなのに何故そんなに後ろ向きなのかと訝る竹下と半沢は、板橋は東田と何らかの関係があると疑います。
実は板橋は東田の後輩で、東田の助言により銀行から借金を重ねた挙句に計画倒産していました。
東田は現在、神戸のマンションに愛人と共に隠れ住んでおり、家族は宝塚のマンションで生活していました。
どちらも所有者は妻の叔父の資産家でした。
東田は隠し財産を持っており、捕まる前に中国へ移住して新事業を立ち上げハワイと往復する生活を計画しています。
しかし、半沢と竹下のコンビの他、国税も神戸のマンションを突き止めており、誰が最後に笑うのかという勝負になってきました。
半沢と竹下は東田の車の中に見慣れないロゴの入ったティッシュ箱を見つけ、銀行のものだと推測します。
渡真利と飲んでいる時に聞いてみると、アメリカの証券会社と分かります。
竹下から東田と共に居た男の写真が送られてきますが、その男は浅野でした。
浅野の不在時に支店長室を調べると西大阪スチールへの融資と同時に五千万円の受け取りを行なった証拠を見つけます。
また浅野の過去を調べると、東田と同じ中学に通っており親が同じ会社に勤めていたことが分かります浅野は実は株で失敗して大損を抱え、たまたま自身の担当する銀行取引先として名前を見つけた東田に助けを求めていました。
小木曽の代わりとして、業務統括部の木村部長代理が臨店に来ますが、半沢はこれに対しても真っ向から反論し西大阪スチールの件では自身に責任は無く債権回収は成し遂げると宣言します。
これに対し木村はそんなことが出来るなら土下座してやると言い切ります。
浅野は花という名前の差出人から告発メールを受けます。
浅野は家族までも巻き込んで告発すると脅され、人生の瀬戸際に追い詰められます。
【結】オレたちバブル入行組 のあらすじ④
竹下が東田の愛人の店を調べ半沢と共に訪れると、店には国税も張り込んでいました。
東田が店に現れ、竹下は怒りをぶつけますが東田はふてぶてしい態度で対応します。
半沢は出向が決まった近藤の激励の意味を込めた同期会の帰りに渡真利と話し、浅野の件をどうするのかと聞かれるとやられたら十倍返しだと答えます。
竹下は板橋が東田の愛人に手を出していた事実を掴み、板橋を脅し東田の資産情報を手に入れさせます。
浅野は大阪に出てきた家族と共に休日を過ごしていましたが、気が気でありません。
出掛けている間に花からメールが来ており、部下へ謝罪しない限り終わりだと脅されます。
浅野はさんざん逡巡した挙句、半沢に謝罪します。
しかし、半沢は許さない破滅させてやると答え、浅野を追い詰めようとしますがその時浅野の妻が店に現れます。
浅野の妻は浅野と半沢の間に流れる空気を読み取り、半沢に何とかよろしくお願いしますと頼み込みます。
浅野も土下座して何でもするから許して欲しいと謝り、半沢はエリートが集まる営業第二部の次長ポストに就けろと言います。
これを受け、浅野はこれまでの半沢の評価を全て覆す為に動きます。
浅野の件は片付き、次に半沢は竹下と共に東田と決着をつけに行きます。
北新地の店で飲んでいる東田の元へ行くと竹下は東田の資産は差し押さえ済みだと言い、その場に居合わせた国税は先を越されたと慌てて帰っていきます。
東田は怒って突進して来ますが半沢は軽く受け流して転ばせ、東田は突っ伏して泣き始めます。
半沢はかつて就職活動時についた嘘を思い出します。
実は父親の会社は都市銀行に捨てられ地方銀行に救われており、当時の都市銀行の担当は業務統括部の木村部長代理でした。
半沢は本店への栄転後木村の元へ行き土下座させます。
渡真利は半沢の逆転劇に驚き、半沢は夢を見続けることは難しいがそれを知っているものだけが夢を見続けることができると語ります。
オレたちバブル入行組 を読んだ読書感想
半沢シリーズ第1作目であり、半沢は銀行内外に敵だらけの状況で自身を罠に嵌めようとする者達と戦うこととなります。
債権回収にあたっては、半沢は自覚している通り、ヤクザまがいのことまで行いながら関係者を問い詰めていき、また社内の敵に対しては相手が誰であろうと真っ向から反論します。
目上の者や上司にもお構い無しで、絶対に折れようとしない為、ほとんどの者から怒りを買いますが最後には相手を打ち負かしてみせます。
この後のシリーズでは正論を用いて論破する場面も目立っていきますが、今回はそもそも浅野やその息のかかったもの達の言い分はめちゃくちゃで単なる難癖なので、半沢の言い方もかなり感情的です。
半沢は仕事だけでなく家庭でも妻から厳しい言葉を受けており、普通なら嫌気がさしてしまいそうですが、そんな苦境でも戦う姿勢を失わないところがさすがだと思います。
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