【ネタバレ有り】気分上々 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:森絵都 2012年2月に角川書店から出版
気分上々の主要登場人物
倉本千春(くらもと ちはる)
共学高校に通う高校二年生。十七歳の誕生日を境に「自分改革」をスローガンに掲げ、イキが良いか否かで人付き合いするよう試みる。
イヅモ(いづも)
千春の親友。独特の視点を持ち、十七歳ながらわびさびや渋みを大切にしている。千春の「自分改革」に協力する為、千春が十七歳の誕生日から絶交している。
真野信輔(まの しんすけ)
千春の最近まで付き合っていた元カレ。控え目な性格で地味で目立たない存在。十七歳の誕生日前に別れる。
道生貫太(どうじょう かんた)
イキが良い千春の男友達。「自分改革」中に距離を縮める。
ママ(まま)
千春の母親。シングルマザーで、人材派遣会社を立ち上げてから忙しく働きづめの生活。十代のうちに男遊びを覚えると、二十代三十代で男ひでりになると千春に教え、処女の大切さを説く。
気分上々 の簡単なあらすじ
十七歳の誕生日を迎えた倉本千春は、将来に備え「自分改革」をスローガンに掲げ、イキがいいか否かで、これからの人間関係を構築していこうと試みます。大好きな親友のイヅモに絶交宣言をし、学年で目立つグループとつるみ始めた千春。毎日馬鹿笑いし、騒ぎはしゃぐ千春でしたが、次第に「自分改革」疑問を持つようになり……。
気分上々 の起承転結
【起】気分上々 のあらすじ①
十七歳の誕生日を迎えた倉本千春は、ある決意を胸に秘めていました。
それは、これからの人生、つきあう相手を選ぶこと。
「なんか好き」というあやふやな感情で人付き合いしてきた千春は、その「なんか好き」のせいで振り回される人生を送ってきました。
例えば高校に入って付き合った男たちも「なんか好き」からはじまり、交際を開始するのですが、ママとの約束で十代のうちはHをしないことを告げると、男たちはがっかりして千春のもとを去って行きました。
巨乳の千春は、男からすぐに体を求められてしまうのです。
触らせてもらえないことがわかると、男たちはさっさと見切りをつけ、捨て台詞を吐いて千春を捨てました。
惚れっぽい千春はその度に傷つき、もう恋はしないと思うのですが、少し時間が経ち、別の男の子からアプローチされると、失恋の痛手をさっさと忘れて、次の恋に邁進して、捨てられるの繰り返し。
このままではいけないと、十七歳になった千春は「自分改革」をスローガンに掲げ、イキが良いか否かで人間関係を構築していこうと考えていました。
【承】気分上々 のあらすじ②
千春にはイヅモという、高校二年生ながらわびさびを大事にしている渋い親友がいます。
大好きなイヅモですが、千春は「自分改革」を遂行する為、一方的に絶交宣言をします。
常日頃、突拍子もないことを言う千春に慣れているイヅモは、事務的に対処して、千春が十七歳の誕生日から二人は口をきかなくなります。
そして、千春はイキが良く、学年で目立つグループのメンバーとつるむようになります。
学校外にも遊び仲間を増やし、軽いトークでその場を楽しむ千春。
その中でもとくにイキの良い貫太と親しく口をきくようになります。
はじめ貫太は、男をとっかえひっかえしている千春を警戒していましたが、ママとの約束を守るために貞操を大事にしている事情を知ると、むしろ千春に好意を持ちます。
千春は、四十代のシングルマザーで、離婚してから男っ気がないママの『十代で処女を捨てて遊んでいた女たちは二十代三十代では男ひでりになる』という実体験をもとにした話を聞き、自分はママのようにはなるまいと反面教師にしているのです。
しかし、ママとの約束を守る千春の恋は長続きしません。
【転】気分上々 のあらすじ③
イキが良い連中と毎日騒いでいる千春に、元カレの真野信輔が声をかけます。
無理してるんじゃないかと心配する真野に、話しかけるなと突き放す千春。
真野は十七歳の誕生日前に付き合っていた同級生で、初めて心と心が通じたと感じた相手でした。
キスをしてその流れになり、千春がママとの約束の話をすると、真野は怒ってその場を立ち去っていって以来、二人は話していませんでした。
真野の言葉が棘のように刺さって取れません。
そしてその時、イキが良いグループでも分裂騒動が起きていました。
貫太がグループの女王様に君臨する女子の告白を断り、貫太擁護派と女王擁護派で意見が分かれ、前々から女王に不満を持っていた女子たちは悪口大会を繰り広げる事態に。
いたたまれなくなり、千春が口を挟むと『千春なんて、胸が大きいだけで男が寄ってくるだけのくせに』とばっさり。
後日、貫太が女王に逆告白をして、事態は収束しましたが、千春はイキが良い連中の目まぐるしい展開の早さについていくことができません。
そして、「自分改革」に自信がなくなっていきます。
【結】気分上々 のあらすじ④
千春はイヅモにこれまでの非礼を詫びます。
「自分改革」の失敗を報告し、どこがまずかったのかイヅモのアドバイスを求めます。
冷静な着眼でばっさばっさと切っていくイヅモ。
根源は真野信輔と別れた時だと言われ、千春はぐうの音も出ません。
渡しそびれた十七歳の誕生日プレゼントを渡すイヅモ。
これまでの自分勝手な行動に頭を下げる千春でしたが、イヅモから逆に謝られます。
そして真野信輔から預かっていたプレゼントを渡されます。
手紙には『今は千春ちゃん怒っているみたいだけど、十八歳の誕生日までには仲直りしたいね』と書かれていました。
翌日、昼休に真野を呼び出した千春。
真野は別れたと思っていなかったようで、お互い誤解していたことが判明します。
千春からママとの約束を告げられた真野は、Hができないことを怒ったのではなく、将来男ひでりになりたくないからという理由に腹を立てていたのです。
結婚を前提に考えている自分とは違い、千春は別の男と将来を考えているのかとショックを受けたようです。
真剣に自分との未来を考えていた真野の真意を聞いて、幸せを噛みしめる千春。
千春と真野の様子を窓から眺めていた貫太たちは冷やかしの声をあげます。
千春は勝利宣言をするように、真野と繋いでいる手とは反対の手を、貫太に向けて高々と突き上げました。
気分上々 を読んだ読書感想
9編の短編が収録されている『気分上々』から、巨乳の女子高生・千春が恋愛に悩み「自分革命」を起こす『17レボリューション 』をご紹介しました。
リア充の連中とつるんで、それまでの人間関係を断つ千春が、いやな女に見えないところに好感を持てます。
親友のイヅモや、貫太の人の良さに助けられ、最後は、下心だけの元カレにみえた真野との大逆転劇。
スカッとする作品です。
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