【ネタバレ有り】ここはボツコニアン のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:宮部みゆき 2012年2月に集英社から出版
ここはボツコニアンの主要登場人物
ピノ(ぴの)
主人公。12歳の誕生日に「長靴の戦士」となり冒険に繰り出す。
ピピ(ぴぴ)
ピノの双子の姉。祖父母に育てられたために12歳で初めてピノと対面する。
ルイセンコ(るいせんこ)
モルブディア王国の秘密の番人。発明家としても有名。
ハンゾウ(はんぞう)
王都の平和を守る忍者の首領。
モンゾウ(もんぞう)
ハンゾウの双子の兄。王都の国王。
ここはボツコニアン の簡単なあらすじ
平凡な毎日を送っていた少年・ピノの運命を一変させたのは、12歳の誕生日の朝に枕元に置かれていた1足の長靴です。双子の姉・ピピと共に選ばれし者となったピノは、自分たちの生きてきた世界に隠されていた重大な秘密を知ることになります。未知のモンスターや数多くの試練を乗り越えて、ふたりはまだ見ぬ世界へと旅立っていくのでした。
ここはボツコニアン の起承転結
【起】ここはボツコニアン のあらすじ①
12歳の誕生日を迎えたピノの枕元には、朝起きると赤い長靴が置いてありました。
彼が暮らしているモルブディア王国では、このプレゼントを受け取った者は午前9:00までに役場に行かなければなりません。
役場の2階にある鑑定課で中年の男性に調べてもらうと、ピノが持ってきた長靴は「当たり」であることが判明します。
もうひとり当たりを持ってきたのはピピという名前の女の子になり、ふたりは幼い頃に生き別れになった双子の姉弟です。
突然の再会に喜ぶ暇もなく、ピノとピピは「選ばれし者」として旅に出ることになりました。
ふたりの目の前に現れた喋る花「トリセツ」の説明によると、ピノたちが存在するこの世界は本物の世界から吐き出される没ネタが集まることによって形成されている「ボツコニアン」だそうです。
ふたりの小さな勇者が隈なく探索することによって、本物の世界から創作のエネルギーを取り込んでボツコニアンをより良い世界へと変えることが出来ます。
【承】ここはボツコニアン のあらすじ②
「チュートリアル」と呼ばれる練習ゲームをクリアしたピノとピピは、役場の鑑定課にいた男性の意外な正体を知りました。
彼はルイセンコ博士という科学者であり、先祖代々ボツコニアンの封印を守っていた門番でもあります。
選ばれし者の登場によって封印は解かれ門番はお役御免となったため、これからは自分の好きな発明に没頭できるでしょう。
次のミッションはモルブディア王国の都に行き、王様と面会して伝説の長靴の戦士専用の装備を貰うことです。
王都ではお城の改修工事の真っ最中で、更には発掘中に巨大な迷宮を掘り当ててしまったために大騒ぎでした。
城下町で弁当屋を営むアヤコから工事現場への食糧の配達を頼まれたふたりは、地下の奥深くへと進んでいきます。
ここにはゲームの企画段階で没になったモンスターたちが生息していますが、アヤコから護符を渡されていたためにピノたちには近寄ってきません。
地下10階まで下りたピノとピピを待っていたのは、王国の平和を密かに守ってきた忍者たちです。
【転】ここはボツコニアン のあらすじ③
忍者集団を束ねるハンゾウは小柄な老人でアヤコとも旧知の仲で、間もなく食糧の供給が再開されると聞いてひと安心といった様子でした。
国王でありハンゾウにとっては双子の兄に当たるモンゾウとの面会をお願いしようとしたところ、突如として無数の吸盤がついたタコのような怪物、クトゥルー系が襲来します。
ピピが閃いたのは、この王国の織物産業に利用されている「わらわら」です。
わらわらは雑食タイプのイモムシなために、たちまちクトゥルー系を食べ尽くしてしまいました。
後には巨大な白い骨と、わらわらが吐き出した美しく蒼い糸が残されているだけです。
クトゥルー系を退治して貴重な糸まで持ってきたピノとピピは、モンゾウからお目当ての専用装備を貰います。
ピピには新しく覚えた魔法をふたつまでストックできる杖を、ピノには一見すると何の変哲もないフライ返しを。
オマケとしてわらわらの糸で仕立てた蒼いチャンチャンを受け取り、ふたりは王都を後にしました。
【結】ここはボツコニアン のあらすじ④
モンゾウたちから王都の南に位置して水と緑豊かな街「アクアテク」への旅立つようにアドバイスされたピノとピピでしたが、道中で痩せこけてボロボロになった夫婦を目撃しました。
王都の南西の山中にあるカラク村の村長が半年ほど前から豹変して村人たちを苦しめていると聞いて、長靴の戦士としては見過ごす訳にはいきません。
村長が狂暴化した原因は物忘れ改善用のヘッドバンドを使っていたためで、開発者はピノたちが地元の役場でお世話になったルイセンコ博士です。
博士は相変わらず自由気ままに実験や試作品の製造を続けているようで、一連の騒動を引き起こしながらもまるで懲りていません。
村長がヘッドバンドの使用を中止して元の人格者に戻ったために、取り敢えずは村にも平穏無事な日々が訪れます。
とんだ寄り道になってしまったふたりはカラク村に別れを告げて、今度こそはアクアテクを目指します。
ふたりの冒険はまだまだ始まったばかりになり、幾多の困難が待ち受けているのでした。
ここはボツコニアン を読んだ読書感想
ミステリー小説から歴史物までの幅広いジャンルでの創作活動を続けている宮部みゆきが、テレビゲームの世界を舞台にした物語に挑んでいて斬新な味わいがありました。ファイナルファンタジーからトルネコの大冒険まで、古今東西のRPGの然り気無いパロディーが散りばめられていて遊び心満載になります。
ごく普通の日常生活を送ってきたふたりの少年少女が、知恵と勇気を振り絞って数多くの試練を乗り越えていくジュヴナイルとしての魅力もたっぷりです。
自由奔放な子供たちの想像力と成長に期待を寄せている、著者の姿が思い浮かんできて微笑ましく感じました。
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