カルメン(プロスベル・メリメ)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

カルメン(プロスベル・メリメ)

【ネタバレ有り】カルメン のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:プロスベル・メリメ 1960年12月に岩波文庫から出版

カルメンの主要登場人物

カルメン
タバコ工場で働くジプシーの女。自由を愛する。

ドン・ホセ
騎兵伍長。カルメンに出会ったことから、破滅への道を歩み始める。

ルーカス
若い闘牛士。

カルメン の簡単なあらすじ

真面目な青年ドン・ホセが、ある日仕事先で出会ったのは、かかわった男をことごとく破滅へと導く、魔性の女だったーーー野性的情熱と魔性的魅力をあわせもつ不思議なジプシー女カルメンと、彼女に翻弄され破滅する男の物語。

カルメン の起承転結

【起】カルメン のあらすじ①

カルメンとの出会い

バスク生まれの騎兵伍長ドン・ホセは真面目一方の青年です。

その日、警備を命じられたセヴィリヤの煙草工場で、ジプシー女のカルメンと出会ったことから、彼の運命は狂い始めました。

カルメンは、「小柄だけれど、情欲的な大きい目に、ときには凶暴な色をたたえる」魅惑的な女でした。

口にアカシヤの花をくわえ、腰を振りながらホセの方へ歩いてくると、からかいの言葉とともに彼にその花を投げてよこします。

その直後、喧嘩で相手の女を刺したカルメンを護送する途中で、ホセは、甘言に釣られて彼女を逃がしてしまいます。

罰として、ホセは営倉入りとなった上に、一兵卒に降格されました。

そんな彼を見て、カルメンは高らかに笑いながら、“お礼”と称して彼に身を任せます。

ホセはすっかりカルメンに魅せられ、しだいに彼女にのめりこんでいきます。

また会いたいと願うホセに対して、カルメンは、あんたのような青二才はお断りだと、冷たくあしらいます。

ホセは純粋に彼女に惹かれていましたが、カルメンにとっては一夜限りの相手だったのです。

【承】カルメン のあらすじ②

運命の相手

その後、カルメンに頼まれて密輸を黙殺したり、カルメンに言い寄った中尉を刺殺したりと、悪事を重ねた末、ホセは軍隊にいられなくなります。

カルメンの誘惑に負けたホセは、やむなく、カルメンの仲間、つまり密輸団の一員に加わります。

やがて、カルメンの夫で片目のガルシアが脱獄してくると、嫉妬に狂ったホセは、トランプのいかさまにかこつけて決闘に持ち込み、ガルシアを殺害してしまいます。

そんな激しいホセの様子を見て、カルメンは、諦めの気持ちとともに、ホセが自分の運命の相手であることを悟ります。

というのは、カルメンは、得意の占いによって、自分がいつか男に殺されることを予感していました。

その相手がホセであることを、この出来事によって、はっきりと悟ったのです。

カルメンは、「わたしたちはいっしょに死ぬ運命さ。

ふん、それがどうしたってことさ」とうそぶき、カスタネットを打ち鳴らします。

まもなく、ホセが望んだとおりに、二人は結婚します。

【転】カルメン のあらすじ③

気持ちは戻らない

名実共にカルメンの夫になることができて浮かれているホセとは真逆に、カルメンの気持ちはホセからどんどん離れて行きます。

もともと移り気な彼女は、好きと思った相手にはとことんまで愛情を捧げますが、飽きるのも早く、いったん気持ちが冷めると、そこから再び元のように相手を愛することはありませんでした。

かといって、うわべを繕い、仮面夫婦を続けるだけの器用さもなく、とにかく、冷めたら“冷めた”という気持ちを、隠さず、率直に相手に伝えてしまいます。

このような仕打ちは、ホセだけではなくて、前の夫ガルシアに対しても同様でした。

かくして、カルメンの、ホセに対する態度は、日に日に冷たいものになって行きます。

現在の生活に嫌気がさしたホセが、“アメリカに渡って、誰も知っている人がいない土地で一からやり直そう”という提案をしますが、カルメンは、乗り気にならないどころか、「わたしがキャベツを植えるような柄かい?」と言ってまじめに取り合いません。

【結】カルメン のあらすじ④

もはやこれまで

カルメンの普段の態度は冷たいものでしたが、ホセが兵隊との撃ち合いで負傷したときには、妻として、寝食も忘れて、つきっきりで看病してくれました。

恋人としての、燃え上がるような情熱は冷めても、いったん自分に与えられた「妻」としての役割はそれとは別です。

カルメンはそういう考え方をする女性でした。

そのうち、カルメンは、グラナダの若い闘牛士ルーカスを愛するようになります。

二人が愛人関係にあると知り、激怒したホセは、ルーカスが牛に突かれて重傷を負ったその夜、カルメンを連れて山へ入って行きます。

そうして、匕首を突きつけ、涙を流しながら、再度、アメリカ行きを懇願します。

が、カルメンの気持ちは変わりません。

「お前さんは私の亭主だから、お前さんにはわたしを殺す権利があるさ。

でもカルメンはどこまで行っても自由なカルメンですからね。

たとえ殺されても、お前さんとは一緒に暮らせない」と言い放ちます。

ホセはついに説得をあきらめ、もはやこれまで、と、カルメンを匕首で刺し殺します。

カルメン を読んだ読書感想

カルメンの周りにさまざまな男が現れ、しかもみんながカルメンを好きになる、という展開は、最後の悲しい結末を除けば、甘美な逆ハーものとして楽しく読めるのかも、、と思いました。

カルメンという女性は、いろいろな男を誘惑しては、飽きたら容赦なく捨てる、という、おそらく、現実にいたら、同じ女性からは好かれないタイプです。

けれども、カルメンの情熱的な行動には、いつも、“仮に殺されるとしても自分に嘘はつけない”という、信条がセットで存在しています。

浮気するときに、ここまで覚悟してやる人がいるでしょうか。

そんなカルメンを、私は、女として、人間として、“かわいい”と思うのです。

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