晴天の迷いクジラ(窪美澄)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

晴天の迷いクジラ(窪美澄)

【ネタバレ有り】晴天の迷いクジラ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:窪美澄 2012年2月に新潮社から出版

晴天の迷いクジラの主要登場人物

田宮由人(たみやゆうと)
デザイナー。24歳

中島野乃花(なかしまののか)
デザイン会社社長。48歳。

篠田正子(しのだまさこ)
16歳の女子高校生。現在は不登校。

晴天の迷いクジラ の簡単なあらすじ

田舎から出て来たオーバーワーク気味のデザイナー、生まれ育った海辺の町と自分の娘を捨ててきた女社長、親友の死がきっかけになって引きこもりになった女子高校生。年齢も生い立ちもまるっきり異なる3人の男女が、小さな入江で動けなくなってしまった1頭のクジラを見に行きます。目的地までの道のりの中で、それぞれが抱えている複雑な事情も明かされていくのでした。

晴天の迷いクジラ の起承転結

【起】晴天の迷いクジラ のあらすじ①

ブラックデザイン会社

田宮由人は北関東の農家で次男として生まれて、アルコール依存症の父親と無関心な母親に育てられました。

1番に愛情を注いでくれた祖母は認知症が悪化したために、特別養護老人ホームに入所することになります。

地元の高校に3年間通った末に由人が選んだ進学先は、東京にある3年制のデザイン専門学校です。

同じ学校に通う1歳年上のミカとお付き合いを始めたことがきっかけになり、ファッションもライフスタイルもみるみるうちに垢抜けていきます。

専門学校をギリギリの単位で卒業して、どうにか社員8人程度の弱小デザイン会社に就職しました。

連日連夜事務所に泊まり込みするほどの多忙さで、社長の中島野乃花から罵られない日はありません。

入社してから3年が経つと次々とクライアント側からの仕事が打ち切られていきますが、社員たちの負担は増えていく一方です。

過労死寸前の由人は先輩社員のアドバイスに従って、心療内科に通院して服薬を続けて激務に耐えるのでした。

【承】晴天の迷いクジラ のあらすじ②

二度と帰らないつもりだった故郷に

中島野乃花は東京から遥か離れた南の半島にある小さな村落で、漁師の父親と缶詰工場に勤務する母親との間に生まれました。

幼い頃から絵を描くことが大好きだった野乃花は、地元の絵画コンクールで幾度となく入賞するほどの腕前です。

やがては画家を志すようになりましたが、実家の経済的な状況を鑑みると高校卒業後に就職か結婚を選ばなければなりません。

政治家の息子との縁談が決まって10代で娘の晴菜を授かりましたが、育児ノイローゼの末に嫁ぎ先を飛び出してしまいます。

アルバイトを掛け持ちしながらデザイン学校に通って、小さな編集プロダクションで経験を積んで立ち上げたのが今の会社です。

昼も夜も仕事に打ち込んで、社員たちも休まずに働かせましたが倒産は避けられません。

自らの人生を終わらせるために真夜中のオフィスに練炭を持ち込んだところを、間一髪で由人に助けられます。

深夜のテレビのニュースで野乃花の故郷にクジラが漂着したことを知り、ふたりで現地を訪れてみることにしました。

【転】晴天の迷いクジラ のあらすじ③

思い出のソーダアイス

篠田正子には姉がいましたが、生後7か月で亡くなってしまったために直接の面識はありません。

長女の突然の死がショックだったようで母親は何かと神経質になり、家中をアルコール消毒して正子の一挙手一投足に目を光らせていました。

高校1年生になっても買い食いを禁止されていた正子は、放課後のバス停で同級生の海老原薫にソーダアイスを奢ってもらいます。

文具メーカー勤務の父親に伴い5回の転校を経験した正子にとって、薫と彼の姉・忍は初めての親友です。

いつもより学校の授業が早く終わる水曜日に、薫の家でバンドの練習をするのが正子の楽しみになっていきます。

そんな中で忍に癌の転移が見つかって、闘病生活の末にこの世を去ってしまいました。

それ以来忍は1日中部屋に閉じこもり、母親が買って冷蔵庫に補充するソーダアイスしか食べません。

ある日の明け方に家を抜け出した正子は車で通りかかった野乃花と由人に保護されて、誘われるまま後部座席に乗り込むのでした。

【結】晴天の迷いクジラ のあらすじ④

大海原へと還っていく

正子はオーバーサイズのグレイのトレーナーしか身に付けていなかったために、途中でショッピングモールに立ち寄りスニーカーから下着まで一式を買ってあげました。

道中ずっと運転していた由人も体力的に限界が近づいているようで、温泉付きの国民宿舎で1泊します。

次の日にようやく辿り着いた入江は、観光客からマスコミ関係者までで一杯です。

3人は市役所の水産課でボランティア登録をして、鉄パイプを叩く音でクジラを沖に誘い出す作戦に参加します。

正子がニュースに映っていることを知人から聞いた両親が、娘を連れ戻しにきたのは5日目のことです。

家に帰ることを拒否した正子は海の中に飛び込んでしまい、助けようとした由人はクジラの背鰭に接触して骨折してしまいます。

正子は夏休み期間中をこの海辺の町で過ごすことを両親に説得して、由人は野乃花を追いかけてきたふたりの元社員と共に怪我が治ったらデザイナーとしてやり直すことを決意するのでした。

晴天の迷いクジラ を読んだ読書感想

一見するとクリエイティブで華やかなイメージがある、デザイナー業界の知られざる一面を垣間見ることができて興味深かったです。

連日連夜の泊まり込みからクライアント様の無茶な要求まで、過労死ラインのぎりぎりまで働いている現場の人たちの苦労が伝わってきます。

ストーリー前半部分の舞台となる無機質なオフィスやマンションの一室から、後半パートの開放感溢れる海辺の街並みとのコントラストが効果的でした。

入江に迷い込んでしまったクジラが大海原へと泳いでいくように、3人の男女のクライマックスの旅立ちには胸を打たれました。

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