太陽(前川知大)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

太陽(前川知大)

【ネタバレ有り】太陽 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:前川知大 2016年2月に角川書店から出版

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太陽の主要登場人物

奥寺鉄彦(おくでらてつひこ)
長野八区の住人。キュリオ。

生田結(いくたゆい)
鉄彦の幼馴染。キュリオ。

奥寺克哉(おくでらかつや)
鉄彦の叔父でキュリオ。ノクス殺害事件を起こして逃亡中。

奥寺純子(おくでらじゅんこ)
鉄彦の母。克哉失踪後に長野八区のリーダーとなる。キュリオ。

モリシゲ(もりしげ)
長野八区に赴任してきたノクス。

太陽 の簡単なあらすじ

近未来の日本では未知のウイルスのパンデミックから生き残った、新人類「ノクス」が誕生していきます。ノクスたちが抗体を持たない旧人類「キュリオ」を支配下に置く中で、次第に両者の間で対立が深まっていくのでした。

太陽 の起承転結

【起】太陽 のあらすじ①

昼と夜に別れた人類

長野八区と呼ばれて管理されている過疎エリアで、キュリオがノクスを殺害する事件が発生しました。

夜の世界でしか生存することが出来ないノクスを山間の納屋に監禁して、日の出と共に太陽の光を浴びせる残酷な手口はこの小さな村に衝撃を与えます。

犯人は奥寺克哉という30歳の男性で、出頭を促す姉・純子の説得にも応じることはありません。

克哉は消息を絶ち、長野八区はノクスからの支援を打ち切られて荒れ果てていく一方です。

10年の時が流れて純子は僅かに残った村長となり、事件当時はまだ7歳だった息子の鉄彦も17歳になっています。

村では近々開催される、新型ワクチンの抽選会の話題で持ち切りです。

このワクチンを摂取すると、キュリオからノクスへと生まれ変わり一切の病から解放されて年を取ることもありません。

その一方では太陽に当たることが出来なくなってしまうために、故郷を出てノクスたちが共同生活を送る「夜の世界」で生きることになります。

【承】太陽 のあらすじ②

この地で生きるかノクスへのとして旅立っていくか

鉄彦は土地台帳と地図を持って、2歳年上の幼馴染・生田結と一緒に村中の農地を回っていました。

10年前の事件以来持ち主によって見捨てた数多くの土地を、いつでも帰還住民を受け入れられる状態に維持しておくためです。

ワクチン抽選の申請期間は今週いっぱいになり、ノクスへの漠然とした憧れを抱いている鉄彦は既に手続きを済ませています。

一方の結は家族や故郷への強い愛着のためか、余り乗り気ではありません。

鉄彦のもうひとつの仕事は、近隣のノクス地域からもコッソリと買い付けに来るほどの、上質な紅茶の栽培でした。

元々は栽培から発酵にブレンドまでの技術を姉の純子がひとりで担っていてましたが、村長の職務が多忙なために紅茶にまでは手が回りません。

見よう見まねで純子の紅茶作りを受け継いだ鉄彦は、放置されていた茶畑や加工施設を利用してビジネスへと発展させていきます。

鉄彦の上質な1杯は、この地域に赴任してきたノクスを魅了するほどの味わいです。

【転】太陽 のあらすじ③

キュリオとノクスの友情

新しく赴任してきた駐在員のモリシゲは若干20歳の青年で、ノクスの両親の間に生まれてきた純血種でした。

勤務時間中に淹れ立ての紅茶を差し入れにきた鉄彦とも、種族の垣根を越えてたちまち打ち解けていきます。

そんなふたりの前に現れたのは、10年もの間消息不明だった奥寺克哉です。

克哉は未だにノクスへの根強い反感を持っていて、隠し持っていた手錠でモリシゲの腕を道端の欄干に繋いでしまいました。

現在の時刻は午前4時40分になり、日の出までは残り40分程度しかありません。

鉄彦は急いで自宅の物置小屋まで戻り、手斧を持ち出してモリシゲの下に駆け付けます。

意外にも頑丈な手錠に悪戦苦闘する鉄彦に対してモリシゲがお願いしたのは、自らの手首を切り落とすことです。

強硬手段によってモリシゲは手錠から解放され、ノクスの強靭な生命力によって一命を取り留めます。

一方の克哉はこの村の10年を台無しにした張本人として、地元の人たちから手荒い歓迎を受けた末に亡くなってしまいました。

【結】太陽 のあらすじ④

それぞれの旅立ち

幼い頃に生き別れとなった母親を訪ねて、結は松本市に向かいました。

久しぶりに再会した母は既にノクスへと生まれ変わっていて、血縁関係のある結も抽選を待たずに転換手術を受けることが出来ます。

右腕に包帯を巻いたモリシゲが駐在所に帰ってきたある日の夜遅く、鉄彦や純子の前に降り立ったのはノクスとなった結でした。

彼女はこれから沢山勉強して、10年前に起きたあの悲劇を繰り返さないためノクスとして長野八区に貢献するつもりです。

ノクスへの転生権利が当たったのは結でしたが、彼女にはもう必要ありません。

当選権利の譲渡は許されているために、鉄彦が受けとることになりました。

猶予期限は1年になりますが、鉄彦は躊躇うことなく権利書の入った封筒を破り捨てます。

鉄彦の計画はモリシゲとふたりで日本全国各地を巡って、ノクスの町とキュリオの町の両方を見て回ることです。

モリシゲは駐在員の制服を脱ぎ捨てて、鉄彦と共にまだ見ぬ世界へと旅立っていくのでした。

太陽 を読んだ読書感想

夜の世界に生きる新人類と、太陽の下で生きる旧人類に別れた近未来の日本がリアリティー溢れていました。

人種間や国家の対立と分断が深まっていく一方の、今の時代の流れや国際情勢を鋭く捉えていて考えさせられます。

田舎暮らしに退屈している若者が都会に出ていくことを夢見るように、漠然とノクスに憧れる主人公の奥寺鉄彦が印象深かったです。

1杯の紅茶をきっかけにしてキュリオの鉄彦と、ノクスのモリシゲがお互いを理解し合うシーンには心温まるものがあります。

それぞれがクライマックスで下した決断には、キュリオでもなくノクスでもない新しい生き方が伝わってきました。

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