架空列車(岡本学)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

架空列車

【ネタバレ有り】架空列車 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:岡本学 2012年7月に講談社から出版

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架空列車の主要登場人物

僕(ぼく)
物語の語り手。都内の企業を退社後に東北に移り住み、現在は無職。

架空列車 の簡単なあらすじ

人生に絶望した「僕」が自らの最期の場所に選んだのは、東北地方にある小さな町でした。何気ない気持ちから始めた架空の鉄道の敷設計画に熱中しているうちに、現実の世界では大変な出来事が巻き起こっていくのでした。

架空列車 の起承転結

【起】架空列車 のあらすじ①

たどり着いた終着駅

東京都内で就職した僕でしたが従来の怠け癖とコミュニケーション能力の欠如によって、職場での人間関係は上手くいきません。

あっさりと退職した後は1年余りに渡って就職活動を続けていましたが、遂には諦めてしまいました。

大学時代に両親との死別を経験していて、頼りになる兄弟姉妹や友達もこれと言って見当たりません。

遂には荷物をまとめて住んでいたアパートを引き払い、縁もゆかりもない東北の海沿いの町へと逃げ出してきました。

親の残した遺産とサラリーマン時代の僅かながらの貯金から計算すると、残りあと6年程度は生き延びられそうです。

外食もせずに熱中できる趣味もない僕にとっては、お酒を飲みながら地図を眺めることが何よりもの楽しみでした。

自炊生活を送るための食料の買い出し用に使っていた自転車で、市内を巡ってみるのも良い暇潰しになります。

そんな僕にとって新たな生き甲斐となっていくのは、地図の上に自分だけの電車を走らせる遊びです。

【承】架空列車 のあらすじ②

走り出した妄想

初めの頃は地図上で駅と駅を結んで架空の列車を走らせて検討する「設計運行」だけでしたが、僕はそれだけでは次第に物足りなくなってしまいました。

設計した路線を自転車を車輌に見立てて運行させる、「実運行」にまでチャレンジしていきます。

ストップウォッチで運行タイムを計測しつつ、時刻表まで作り上げてしまう程のこだわりようです。

朝早くに起きて握り飯を作って、ただひたすらにペダルを漕いで市内全域を走り回っていました。

実運行のついでに近所のスーパーマーケットやコンビニに立ち寄って買い物をしていましたが、「列車の運行」に支障をきたす恐れがあります。

ネット通販を利用すると必要最低限のものをまとめて注文できて、日時指定で夜に受け取ることが出来るので便利です。

僕の生活は規則正しいリズムになり、陽に焼けて健康的になっていきます。

1日の終わりに完成した路線図を見ている僕の胸の内には、大きな仕事をやり遂げた後のような不思議な達成感が涌いていました。

【転】架空列車 のあらすじ③

激震が走る

マグニチュード9・0の地震が発生した3月11日のあの時、僕はいつものように実運行を続けていました。

突如として地面の揺れを体感した後に目撃したのは、一瞬にして傾いた電柱と倒壊した木造家屋です。

自動車で避難しようとして立ち往生している人たちの合間を縫って、僕は自転車で架空列車の線路沿いを進んでいきます。

間借りしていた6畳のワンルームは津波によって流されてしまい、跡形もありません。

近所の浜田第六小学校に避難所が開設されていると聞いて、自転車を押しながら人の波についていくことにしました。

校内の体育館は既に電気も水道も止まっていて、毛布とビスケットの配給があるだけです。

校庭のドラム缶には暖房の代わりに焚き火が焚かれていて、眠れない人たちが集まっています。

実に数ヶ月ぶりに他人と会話することになった僕は、上手く声を出すことが出来ません。

同じ被災者や外部からのボランティアの人たちからは、家族と生き別れたと勘違いされ罪悪感を抱いてしまうのでした。

【結】架空列車 のあらすじ④

架空が現実に乗り入れる

自宅付近には地元警察官が数名配置されていて検問が張り巡らされていましたが、運転免許証で住所を示すと被災者扱いで通行を許可されました。

部屋には荷物らしい荷物は置いてなく価値のあるものも特にないですが、架空列車だけは失うわけにはいきません。

架空列車の行き先を塞いでいる瓦礫や障害物を独りで除去しているうちに手伝ってくれたのは、偶然通りかかった現場作業員らしき人たちのグループです。

更に次の日の朝早くからは、自衛隊員のリーダーまでが参加して復旧活動がスタートします。

この期に及んで架空列車のことを説明する訳にもいかずに、とうとう重機までが登場しての大掛かりなものになってしまいました。

市役所の機能が一部復活したある日のこと、僕は市の職員に掴まりヒアリング調査を受けることになります。

被災前の職業、家族構成、本籍地、更には「あなたが失ったもの」。多くの人が愛する人や故郷を失ったこの自然災害において、僕は架空列車を失っただけです。

復興が完了したあかつきには、再び架空列車を走らせることを決意するのでした。

架空列車 を読んだ読書感想

他者とのコミュニケーションに思いなやんでいる主人公のキャラクター設定には、人と人との繋がりが希薄になっていく今の時代が反映されていて面白かったです。

誰にも干渉されることなく生きる場所として、彼が選んだ場所が東北地方だったのも印象的でした。

手持ちぶさたから自分だけの路線図作りには、子供の頃に熱中した玩具のレールの上を走るラジコン電車を思い浮かべてしまいます。

このエネルギーを他のことに傾けていれば、主人公は社会的に成功した人物になっていたことでしょう。

突然の自然災害によって架空列車と現実の世界が繋がる終盤の展開が圧巻です。

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