著者:赤川次郎 2017年2月に(株)双葉社から出版
悪夢に架ける橋の主要登場人物
仲田浩枝(なかたひろえ)
本作の主人公。団地に暮らす専業主婦。予知夢を見る能力がある
仲田伴治(なかたはんじ)
浩枝の夫。エステサロン・エドの社長秘書。エリ子を献身的に世話する
片岡(かたおか)
刑事。浩枝の同級生。
安達直子(あだちなおこ)
姉を殺された遺族。大学の准教授。
桐山エリ子(きりやまえりこ)
18歳。亡き父が犯罪者。若くして働く。
悪夢に架ける橋 の簡単なあらすじ
大人気ミステリー作家、赤川次郎先生の作品です。
団地に暮らす平凡な主婦・浩枝は、人が死ぬ夢にうなされていました。
しかし、この夢が正夢となることが分かり、どんどんと事件を解決していくミステリーになっています。
悪夢に架ける橋 の起承転結
【起】悪夢に架ける橋 のあらすじ①
団地に暮らす主婦の浩枝は、夢の中でうなされていました。
それは、いわゆる予知夢でジェットコースターの点検中に作業員が死んでしまうという悲惨な夢でした。
翌日のニュースでは、それが事故死とされていましたが、浩枝にはそれが殺人であることが分かっていました。
なぜなら、夢で同僚が殺す場面を見てしまっていたからです。
そこで浩枝は、同級生の片岡という刑事に匿名で電話をし、その真実を告げます。
おかげで、その事件は無事に犯人逮捕することができたのでした。
その後、浩枝は偶然に片岡刑事と会うのですが、彼と別れた後に片岡刑事が桐山という男に襲われるのを見てしまいます。
それは現実ではありませんでしたが、浩枝の予知夢に似たような感覚でした。
そこで浩枝は急いで片岡刑事に電話をし、なんとか片岡刑事は一命を取り留めます。
しかし、襲った犯人の桐山は、階段から転げ落ちて死んでしまったのでした。
また、この電話がきっかけで浩枝の特殊能力も片岡刑事にバレてしまいます。
【承】悪夢に架ける橋 のあらすじ②
浩枝の夫である仲田伴治は、リストラをされたことを妻にずっと黙っていました。
なぜなら、七歳の娘もいるため、家族に迷惑をかけたくなかったからです。
そんな時に、エステサロン・エドの女社長から秘書として雇われることとなります。
しかし、それは能力を抜擢された訳ではありませんでした。
彼女の夜の相手になるという契約だったのです。
仲田はお金と家族のためにその契約を受け入れ、社長の出張に付き合うことにします。
そして、札幌出張の時にある女性と出会います。
それは、桐山エリ子という18歳の女の子でした。
彼女はとてもみすぼらしく、疲れ切った様子でした。
実は、エリ子は片岡刑事を襲おうとして死んでしまった桐山の娘だったのです。
その事実を知った仲田は、なんとかエリ子を助けてあげたいという気持ちに駆られます。
そして、彼女の住む場所を確保し、純粋な気持ちで彼女を支えることにしたのでした。
そのため、エリ子は住んでいた福岡を離れ、仲田のいる東京に引っ越すことを決めます。
【転】悪夢に架ける橋 のあらすじ③
安達直子は、姉を桐山に殺されていました。
しかし、直子はどうしても桐山が犯人だとは思えずにいました。
そこで、刑事の片岡にもう一度調べるようにお願いしたのです。
その後、直子は姉のアパートに行って、部下と一緒に遺品整理を始めます。
そこから、姉が赤い手帳を持っていたことを思い出し、直子は姉の手帳をアパートから持ちだしたのでした。
その後、アパートから退出するものの、部下がスマホを忘れたことに気づきます。
そのため、二人でアパートに戻ったのですが、そこで何者かに部下が拳銃で襲われてしまったのでした。
その後、駆けつけた片岡刑事に直子はそれまでのことを話します。
その中で、手紙や手帳などの個人的なものは職場である大学の研究室に置いてあることを伝えました。
するとその後、なんと直子の研究室で火事が発生してしまったのです。
実は、その数時間前に大学をうろつく不審な男性がいました。
それは片岡刑事です。
片岡刑事は警備員に、直子が麻薬を持っていると嘘を付き、研究室に捜査をしにきたのでした。
【結】悪夢に架ける橋 のあらすじ④
不審に思った警備員は直子に電話し、今までのことを伝えます。
しかし、それに慌てた片岡は、警備員を拳銃で殺してしまったのでした。
その後、片岡は研究室にあった1つの封筒を手に取り、ライターで火をつけます。
そして、そのまま書類のそばに点火して、火事を発生させ、その場を去ったのでした。
後日、浩枝は大学の火事現場の夢を見ます。
そして、片岡が犯人だったことを知りました。
一方その頃、エリ子の元に死んだ父から手紙が届きます。
その手紙には、うっすら片岡と書かれていました。
そして、それを知った片岡はその手紙を燃やし、エリ子のことも殺そうとします。
しかし、そこで仲田が助けに来ました。
また、その時の様子をなんとなく予知夢で感じた浩枝も、その場所に駆けつけます。
その場所は、自身の行きつけとなる喫茶店でした。
なんと行きつけのウエイトレスと片岡は、グルになって他の売春斡旋事業も行っていたのです。
いろいろな悪事が表沙汰になり、ようやく片岡は万事休すとなったのでした。
悪夢に架ける橋 を読んだ読書感想
スピード感のある展開で、とても面白いミステリーでした。
バラバラに動いていた登場人物たちが、最後に集結していくので、その辺も面白かったです。
いろんな伏線が張られているのですが、その伏線回収も見事でした。
登場人物は多いですが、みんな繋がってくるので、そこが分かってくると余計に面白く感じます。
長さも程よく、あっという間に読み追われるボリュームになっていて、とても読みやすかったです。
2時間ドラマとかになりそうな面白い内容でした。
平凡な主婦の浩枝が、事件をきっかけに自立していくようにも見えるので、専業主婦には希望の持てるミステリーだと思います。
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