「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|ジョナサン・サフラン・フォア

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

著者:ジョナサン・サフラン・フォア 2011年7月にNHK出版から出版

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いの主要登場人物

オスカー・シェル(おすかー・しぇる)
主人公。同世代とコミュニケーションをとるのが苦手な9歳。大人とは対等に会話ができる。

トーマス・シェル(とーます・しぇる)
オスカーの父親で故人。宝石の小売業をしていて博識だった。

ママ(まま)
オスカーの母。法律事務所に勤務していて多忙。

ロン(ろん)
シェル家に足しげく通う。経済力があるが喪失感を抱える。

ウィリアム・ブラック(うぃりあむ・ぶらっく)
外国市場の仕事をしていて生活は不規則。妻のアビーとは破局した。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い の簡単なあらすじ

同時多発テロに巻き込まれて亡くなったトーマス・シェル、失意の中に取り残された息子のオスカーが遺品の中から見つけたのは古ぼけた小さなカギ。

元の持ち主に届けてあげるために冒険へと繰り出すと、さまざまな人たちに会って毎日がドキドキとワクワクの連続です。

すっかり元気を取り戻してトーマスの死を受けれることができたオスカー、母とも和解を果たすのでした。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い の起承転結

【起】ものすごくうるさくて、ありえないほど近い のあらすじ①

閉ざされた心の扉を開くキー

マンハッタンで「シェル・アンド・サン宝石店」を経営しているトーマスは、まだ10歳になっていないオスカーにたくさんの知識を与えてくれました。

ブラックホールの秘密を研究する車イスの学者、シェイクスピアの4大悲劇、かつてこの街に存在したという6番目の行政区… そんな父の声を最後に聞いたのは2001年9月11日の午前中、商談で訪れていたツインタワーからの電話。

遺体はおろか身につけていた衣服も発見されなかったために、空の箱を埋葬します。

ママがロンという男性と頻繁に会うようになったのは、お葬式を済ませてから間もなくのこと。

せっかくオスカーが発表会で「ハムレット」のヨリック役に選ばれた時にも、受け持ちの公判があるとかで観覧に来てくれません。

9・11から1年、オスカーはようやくトーマスの愛用していたクローゼットに入ることができました。

気になったのは棚の上にあるきれいな青い花びん、手を伸ばした途端に割れてしまい中からはカギと「ブラック」と書かれた紙が。

次の日からオスカーがブラックさんを探し始めたのは、ピッタリとあう鍵穴を見つければ必ず何かが開けてくると思ったからです。

【承】ものすごくうるさくて、ありえないほど近い のあらすじ②

AからZまでの長い道のり

学校を休んで出歩いているオスカーですが、携帯電話の電源をオンにしていればママから文句は言われません。

相変わらず家に頻繁に出入りしているロン、オスカーが前々から欲しがっていたリンゴスターモデルのドラムセットを買ってくれるとのこと。

そのお誘いを聞いたとたんにママとロンが「Hなこと」をしている図を想像してしまい、ドラムをきっぱりとお断りしてからインターネットで検索してみました。

ニューヨークには900万人以上の人が住んでいて、そのうちブラック姓は472人。

アビー、バーバラ、チェルシー、ドン… 1日1人を目安にアルファベット順に進めると、最後のザイナ・ブラックまでたどり着くには3年以上はかかるでしょう。

唐突な訪問ですが「幸運を、オスカー」と励ましてくれたり、手作りのクッキーをご馳走してくれたりと皆さん優しい人ばかり。

肝心のカギの手がかりは掴めないまま8カ月が過ぎた頃、アビー・ブラックが元夫のウィリアムを紹介してくれます。

【転】ものすごくうるさくて、ありえないほど近い のあらすじ③

父を失った息子・夫を失ったふたりの妻

日本向けのデリバティブ取引をしていて日曜日の夜も働いているというウィリアムですが、こころよく出迎えてくれます。

例の青い花びんはもともとウィリアムが亡き父親から託されたもので、中に入っていたカギは銀行の貸金庫のものです。

遺品を整理している時に間違って花びんを売ってしまったウィリアム、その花びんを9月14日の結婚記念日にプレゼントするつもりだったトーマス。

記念日の3日前にトーマスが帰らぬ人となったために、今日までウィリアムは父の思い出がつまった金庫を開けることができませんでした。

一緒に銀行に行かないかと誘われたオスカーですが、どうしても確かめなくてはいけないことがあります。

アポ無しでも行く先々で大歓迎されたこと、出されたクッキーがタイミングよく焼き立てだったこと、こちらから名乗る前に「オスカー」と呼んでくれたこと。

すべてはアビーからの留守番メッセージをきいたママが先回りをしていて、陰ながら見守っていてくれたからです。

【結】ものすごくうるさくて、ありえないほど近い のあらすじ④

宝探しが終わって輝く朝がやって来る

夕食にスパゲッティを作ってくれたママ、一緒にテーブルを囲んだロンに家族はいないのかと聞いてみます。

妻と娘がいたこと、自動車の事故に遭って死別したこと、同じような悩みを共有するグリーフケアの会でママと知り合ったこと。

ロンとママが恋人ではないかと誤解していたオスカー、今後は彼とは良い友だちになれそうです。

夜遅くになると迎えのリムジンが、後ろの席に乗り込むとトーマスが埋葬されている集合墓地へ。

助手席にはトーマスの父でもありオスカーの祖父でもある高齢の男性が、生まれはドイツ・ドレスデンで戦時中の爆撃で両親と死別してからは口がきけません。

ふたりで墓地に忍び込んで空っぽの棺おけを掘り起こし、トーマスにまつわる記念品を詰め込んで宝石箱のように満たしてあげるつもりです。

車窓からはアメリカでいちばん不格好な建物だというトランプタワーが朝日に照らされていて、はるか後方からはトーマスがありえないほど美しいと教えてくれた国連本部ビルが近づいてくるのでした。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い を読んだ読書感想

マイブームはビートルズで尊敬する人はホーキング博士という、おませでちょっぴり変わり者のオスカーくん。

トーマスとは親子というよりも友だちのような関係性を築いているので、無理して「普通」になる必要はありませんよね。

そんなシェル一家のささやかな日常を粉々に打ち砕く、あの日の朝の出来事はあまりにも残酷です。

すっかり自分の世界に閉じ込もってしまった少年を、再び外の世界へと導いていくアイテムが1個のカギだというのも運命的でした。

天国から与えられた宿題のために大都会を駆け回る小さな冒険家を、ママの目線から応援してあげてください。

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