「トイレのピエタ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|松永大司

小説「トイレのピエタ」

著者:松永大司 2015年5月に株式会社文藝春秋から出版

トイレのピエタの主要登場人物

宏(ひろし)
フリーターで窓拭きのバイトをしている。

真衣(まい)
女子高生。宏と偶然出会う。

横田(よこた)
カメラが趣味で写真を撮っている。

トイレのピエタ の簡単なあらすじ

2015年RADWIMPSのボーカル野田洋次郎が初の主演映画を務めた『トイレのピエタ』と言う映画です。

キャッチフレーズは「 最期の夏世界にしがみつくように恋をした。」

です。

突然余命宣告を受けた主人公宏は女子高生の真衣の大胆な生き方に惑わされながら人生最期の夏を生きるという話です。

トイレのピエタ の起承転結

【起】トイレのピエタ のあらすじ①

突然の余命宣告

フリーターの主人公宏は窓拭きのアルバイトを毎日やっていました。

ある日突然目の前が真っ暗になり窓拭きのゴンドラから転落してしまいました。

病院で診察を受けた結果自分が癌であることが判明しました。

そして病院の医師から突然の余命宣告を受け、余命が3ヶ月であることが判明しました。

その時の、主人公宏の気持ちは、自分が何を言われているのか全くわからないくらい頭が回らず絶望と言う一言にしかつきませんでした。

このまま、いつものようにただ蒸し暑い夏の日をやり過ごしているだけの生活だと思っていた主人公宏にとっては、正直言葉も出ないほど苦痛で悲惨なものでした。

いきなり報告された余命宣告によって、主人公宏の夏が人生最期の夏に変わってしまったのです。

突然のことで何もできずに、いつものようにただ蒸し暑い日を過ごしてこのまま死んでいくんだろうと思っていた夏でした。

そうしたことで、愛車のバイクに乗りクラブに行きただ思うがままに過ごしていました。

【承】トイレのピエタ のあらすじ②

女子高生との出会い

余命宣告がされいつものようにただしょうもないどうでも良い毎日を生きる希望もないまま過ごしている主人公宏は、通院の際に少し、いや結構変わった女子高生真衣との出会いがありました。

病院の駐輪場に止めたバイクに向かう際、突然何も知らない女子高生に話しかけられ、最初はただのめんどくさい人だ、なんだこの人は、迷惑だなどと思っていました。

距離の詰め方が異常な女子高生は連絡先までも要求し、全く意味のわからない状況でした。

そして、今の自分の状況を話すと、「一緒に死んじゃおうか。」

などと意味のわからない発言をしてきました。

初対面なのになぜこんなことが大胆に言えるのだろう。

宏にとって本当に意味がわかりませんでした。

この女子高生にもどうやら事情があって家族のために毎日料理を作ったり風呂洗ったりと家族から見放されたような存在でした。

そして、このような大胆な行動とる意味のわからない女子高生と一緒に過ごすことによって、宏は少しずつ生き方が変わってきます。

【転】トイレのピエタ のあらすじ③

プールに金魚

ある日、宏は実家に帰りました。

自分の病気の状態に自覚を持ち始め、残り少ない時間で生きなければならないことを考えながら威風堂々をを口ずさんでいると自然に涙がこぼれてきました。

そしてまたある日、女子高生真衣に連れられて熱帯魚店にやってきました。

そしてこの女子高生に金魚を買ってと言われました。

最初は意味がわからなかったのですが、仕方なく買うことにしました。

自転車で大量の金魚を運んで女子高生が案内したのは学校のプールでした。

やはりこの女子高生の行動は意味がわからないものでした。

そして、突然この女子高生はもっと意味のわからない行動するのです。

この大きなプールに大量の金魚を放ちました。

そして夜、このプールに2人がやってきて、突然女子高生は宏をプールに押し、その後に女子高生も飛び込みました。

「 私が生きているんだから生きろ!だめだよ、死んじゃ。」

と言って、急に唇を近づけキスをしました。

はじめてのキスでした。

それから女子高生の言葉により生きる希望を少し見つけた気がしました。

【結】トイレのピエタ のあらすじ④

宏の死

それから数日後、もともと画家を目指していた宏は自分の部屋のトイレの壁に一生懸命ペンキを塗り、1つの作品を完成させようとしていました。

そして、その1つの作品が完成したときに宏は静かに息を引き取りました。

そして、宏にいつもついていた隣の入院患者である横田さんは写真を撮るのが好きで、その横田さんが回していたビデオの中に宏のこんな姿が映っていました。

一生懸命自分の部屋のトイレの壁にペンキで色を塗っていく姿、それは生きていることそのものを表しているように見えました。

ビデオの中にこのような言葉が入っていました。

「僕、生きていますよ今。」

その言葉は、今を生きていることがとても幸せなようなことが感じ取れました。

そして、宏が死んでしまったことを聞いた女子高生は生きる希望しない自分の腕に包丁差し血だらけのまま何も考えることなく外を歩き尽くししました。

がむしゃらにただ歩いているだけでした。

そして最後に女子高生の目には涙が溢れていました。

トイレのピエタ を読んだ読書感想

私が読んできた本の中で1番感動する作品でした。

私がもし余命宣告をされ余命が3ヶ月しかないと考えたら本当に生きる希望をなくしてしまいそうです。

そんな中、宏は最初は性格がよくわからなかった女子高生と運命の出会いをすることによって、少しずつ生きる希望が出てきたことが人と人との関係の大切さを改めて実感することができました。

人が人を思うこと、それは生きる希望を見つけてくれる大切なことなんだろうと思いました。

そして、私が1番感動したシーンは宏が死んだ後に女子高生の真衣が泣きながら歩いているところです。

あんなに意味のわからない行動していた女子高生も宏の死はとても辛いものだったんだろうと共感でき自分も涙がこぼれました。

コメント