「西の魔女が死んだ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|梨木香歩

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

著者:梨木香歩 2001年8月1日に新潮文庫から出版

西の魔女が死んだの主要登場人物

まい
中学生になったばかりの女の子。すぐに登校拒否になってしまう。

おばあちゃん
まいの祖母。イギリス人。山の中にある家で暮らしている。自分は魔女だと言っている。

お母さん
まいの母。イギリス人の母と日本人の父との間に生まれたハーフ。

お父さん
まいの父。単身赴任している。

ゲンジさん
おばあちゃんの家の近所に住む独身男性。不愛想。

西の魔女が死んだ の簡単なあらすじ

登校拒否になった中学生まいは、山の中で暮らす祖母の家にひと夏の間預けられます。

山の家で祖母と暮らしながら、まいはだんだんと健康的になり、そして祖母に心を開いていきます。

近所に住むゲンジさんに嫌悪感を抱いているものの、山での生活は楽しく過ぎていきました。

ある日単身赴任していた父がやってきて、家族一緒に暮らそうと提案します。

西の魔女が死んだ の起承転結

【起】西の魔女が死んだ のあらすじ①

 

お祖母ちゃんの住む山の家へ

中学一年生のまいは、学校が始まって1か月たたないうちに登校拒否に陥ってしまいます。

学校でのいじめが原因でした。

自我が強いまいは、自分の意見を友達の意見に合わせることができず、ある日学校にいくと、誰も口をきいてくれなくなってしまったのでした。

仕事で忙しくしている母にそのことを言えずに、ずっと家の中で過ごしていました。

まいの母は、イギリス人と日本人のハーフです。

その母も、学生時代は、学校に馴染めないまま子供時代をすごしたのでした。

まいの父は単身赴任をしています。

まいが最後に父にあったのは、お正月でした。

学校にいけないまいの様子を、会社からかえってきた母は毎日父に電話で報告しています。

両親は話し合って、しばらくまいを母方の祖母の家に預けることに決めたのでした。

イギリス人であるまいの祖母は、人里離れた山奥で、畑をつくり鶏を育て、自然の中で生活をしています。

祖母と一緒に自然の中で生活していくことで、まいの中で何かが変わるかもしれないと両親は思ったのでした。

【承】西の魔女が死んだ のあらすじ②

 

山での生活

おばあちゃんとまい、2人きりの夏休みが始まります。

まず、おばあちゃんはまいに「朝必ず決められた時間におきること」「夜は早く眠ること」と伝えます。

そして、おばあちゃんの秘密、「魔女であること」を教えてもらいました。

朝早く起きることも、夜早く眠ることも、おばあちゃんのお手伝いをすることもすべてが魔女修行となりました。

毎朝早起きをして、鳥小屋の掃除をし、たまごを集めて帰るのがまいの日課となりました。

そして、家に着くとおばあちゃんが朝ごはんを作って待っていてくれます。

家にいるときにはあまり食べなかった朝食も、おばあちゃんの家では毎日食べられます。

山でとれた果物を煮詰めてジャムを作ったり、洗ったシーツを草の上に干したり、まいはおばあちゃんとの生活を本当に楽しんでいました。

そして、おばあちゃんもまた、まいと一緒の生活が楽しくて仕方ありませんでした。

日中、よく働くようになったまいは、夜になると自然に体が眠たくなるようになりました。

ある日、まいがいつもの通り鳥小屋に行ってみると、何かの動物に小屋が壊され、鶏が一羽残らず食べられてしまいました。

まいは、それは近所に住むゲンジさんの家の犬の仕業だと思います。

しかし、おばあちゃんは、「人のせいにしてはいけない。

人を恨むというエネルギーは人を疲れさせるものです」と教えます。

【転】西の魔女が死んだ のあらすじ③

 

魔女のおばあちゃん

山の中で生活するうちに、まいはおばあちゃんになんでも話すようになりました。

学校であった辛かったこともおばあちゃんに話しました。

「学校ではいつも人の意見に合わせなければならない、私にはそれができなかったからみんなに嫌われてしまった」でも、おばあちゃんは、「自分が楽に生きられる場所を求めたからと言って、後ろめたく思う必要はありません」と諭してくれました。

ある日、まいはおばあちゃんの布団で一緒に眠ります。

その時初めて「死」について語り合います。

まいは、以前父に「死」について聞いたとき、「死とは体も心もなくなってしまうこと」だと教えられました。

それがまいの心の奥深くにずっと残っていたのです。

それに気づいたおばあちゃんは、「体はなくなってしまうけれど、魂はずっと生きているのですよ。

私が死んだらまいに会いにきますからね」とやさしく抱きしめてくれました。

以前襲われた鳥小屋の件を、まいはずっとゲンジさんの犬のせいだと思っています。

時が過ぎてもなお、そのことを忘れられないでいたのです。

おばあちゃんはそれを知って、ゲンジさんへのおつかいを、まいに頼むのでした。

それでもまいは、やはりゲンジさんを許せません。

ある時、ゲンジさんのことが原因で、まいとおばあちゃんは言い合いになってしまいます。

「誰が鳥小屋を壊したかということはどうでも良いのです。

今重要なのは、まいのこころが憎悪や疑惑でいっぱいになってしまっているということ。

それに気づかなければなりません」とおばあちゃんは言いますが、まいは「私は真相究明ができて初めてこの憎悪から解放されると思う」と言って聞きません。

【結】西の魔女が死んだ のあらすじ④

 

最後の別れ

夏休みも終わりに近づいて、単身赴任中の父がまいのところにやってきます。

自分のことを何でも自分でできるようになり、成長したまいを父は喜びます。

そして、「家族一緒に暮らさないか。

みんなでお父さんのところに引っ越してこないか」とまいに言います。

父のところに行ったら、おばあちゃんの家には簡単に来られなくなる。

でも、家族一緒に暮らしたい。

まいの心は揺れ動きます。

「しばらく考えさせてほしい」と一度は言いますが、結果として、家族で暮らすことを選びます。

あの言い合いからすこし決まずくなったおばあちゃんとまいですが、ついに別れの日がやってきます。

迎えが来て、まいはおばあちゃんの山の家を後にします。

転校先の新しい学校で、まいはうまくやっていけそうです。

学校生活も楽しく過ぎ、あれから2年が過ぎました。

そんな時、おばあちゃんが亡くなったという知らせが来ました。

母と2人であの山のおばあちゃんの家に向かいます。

着いた時にはすでに白い布をかけられていたおばあちゃん。

入口ではゲンジさんが泣きじゃくりながら、「何か手伝うことがあったらなんでも言ってくれ。

ばあちゃんには世話になったから」と言いました。

まいが育てていた花を見に行くと、そこには死んだ魔女からのメッセージが書かれいました。

「西の魔女から東の魔女へ」それは、「私はここにいますよ。

安心してください。」

というおばあちゃんからまいへのメッセージだったのかもしれません。

西の魔女が死んだ を読んだ読書感想

おばあちゃんと暮らすことで、身体的にも精神的にも強くなった女の子のことが良く描かれていると思いました。

「憎悪や疑惑へのエネルギーは人を疲れさせる」という言葉をおばあちゃんがまいに言うところがありますが、時に人は、真相を究明するよりも自分の内なる心に気づくべき時があるのだと思わされました。

また、学校でいじめにあってしまったまいに自分が居心地が良いと思った場所を見つけなさいという意味で「シロクマがハワイよりも北極を選んだからと言って誰も文句は言わないでしょう」と言って聞かせます。

おばあちゃんの言葉選びが非常にたくみで、自分の子供がもし友達のことで悩むことがあったならば読んでほしいと思う本です。

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