「インド倶楽部の謎」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|有栖川有栖

「インド倶楽部の謎」

著者:有栖川有栖 2018年9月に講談社から出版

インド倶楽部の謎の主要登場人物

火村 英生(ひむら ひでお)
英都大学社会学部の准教授  臨床犯罪学者

有栖川 有栖(ありすがわ ありす)
著者と同名のミステリ作家 火村のワトスン役 男性

坊津 理帆子(ぼうつ りほこ)
私立探偵

間原 洋子(まはら ようこ)
インド亭の主かつクラブ「ニルヴァーナ」のオーナーである間原郷太の妻

弦田 真象(つるた しんぞう)
ストリートパフォーマー

インド倶楽部の謎 の簡単なあらすじ

全ての人の前世から来世までを書いてあるという「アガスティアの葉。」

神戸のとある屋敷でその公開リーディングが行われました。

そして、現世での自分の命日を手帳に書いてもらい、見ずにしまっていたメンバーの一人が死体となって発見されました。

その死亡推定時刻は奇しくも手帳の日付と重なっていたのです。

アガスティアの葉に書かれていたことは真実なのか、それとも…。

インド倶楽部の謎 の起承転結

【起】インド倶楽部の謎 のあらすじ①

アガスティアの葉

時は現在。

神戸に集う7人の男女がいました。

インドに興味を持つことで繋がる7人は、インド亭と呼ばれる間原郷太の邸宅で月に一度「例会」を開いていました。

そして今日は特別なイベント、「アガスティアの葉」の公開リーディングが催されていました。

「アガスティアの葉」とは紀元前三千年ごろにインドの聖人アガスティアが書き残したとされる人間の運命の記録で、現世ばかりか前世や来世も記載されているというもの。

ナーディーリーダーと呼ばれる特別な人物が、インドにあるという莫大な葉の保管庫から個々の葉を見つけ、読み上げることが出来るというのです。

リーディングの場をセッティングするコーディネーター出戸守が、例会のメンバーであるヨガインストラクターの井深リンの教室にポスターを貼らせてくれとやってきたのことに端を発し、私立探偵の坊津理帆子の強い希望で、皆の前で個々の「アガスティアの葉」のリーディングを行う運びとなりました。

そして「例会」の中で、リーディングを希望した3人、間原、間原のビジネスパートナーの加々山郁雄、坊津のリーディングが行われました。

次々と現世でのことを言い当てるナーディーリーダーのラジーブ。

リーディングは前世にまで及び、坊津の前世はアジャイ・アラムというインドの若者だったということまで言及されます。

そして坊津は現世での命日の予言を手帳に記載してもらうのでした。

いつか勇気が出た時に読むのだと。

皆が不思議な心地になったまま、その日、会はお開きになりました。

そしてその後、コーディネーターの出戸の死体が神戸湾から上がったのでした。

さらに坊津が自身の探偵事務所で殺害されてるのが見つかりました。

あの公開リーディングにかかわった二人が次々と殺されたのです。

そして坊津の死亡推定時刻は、予言され手帳に記載されていた日付と重なったのでした…。

【承】インド倶楽部の謎 のあらすじ②

輪廻転生

犯罪学者の火村はフィールドワークと称し、事件の現場に呼ばれては、これまでにいくつもの難事件を解決していました。

そして今回も兵庫県警からお呼びがかかり神戸にやってきました。

火村の友人で、推理小説家の有栖川有栖も助手役として頻繁に同行しており今回も一緒です。

そして関係者への聞き込みで前世が大きくかかわっていることがわかってきました。

亡くなった坊津はリーディングの通り、アジャイ・アラムという勇敢な若者で、幼馴染で許嫁のシャンバビという娘と婚約していたけれど、戦争に志願し戦死したというのです。

そしてそのシャンバビは間原郷太の妻の洋子に転生していると。

そして間原はアジャイの家に出入りの商人、加々山がアジャイの兄、井深がアジャイの従妹、ストリートパフォーマーの弦田がアジャイの幼馴染、臨床心理士の佐分利がシャンバビの遊び友達、とアジャイ・アラムを中心に縁が深い人たち、〈輩(ともがら)〉ばかりで、それが「インド亭」での「例会」に集まる人たちの正体だったのです。

そんな話を聞き鼻白む火村は、輪廻転生には端から否定的です。

アリスこと有栖川は輪廻転生はあり得るのではないかと思いながらも、アジャイ・アラムこと坊津理帆子を中心とした狭い範囲の人間関係で、揃って神戸に転生することなどあるのか、と懐疑的な思いを抱かざるを得ないのでした。

けれど「インド亭」に集う7人は前世でのかかわりを疑っている風はないのでした。

そして捜査が進む中で、公開リーディングで述べられたことは全て坊津が知っていた情報によるものだということがわかり、坊津の自作自演の線が強くなってきました。

坊津は手に入れたネタを元にリーディングで揺さぶりをかけ、それを利用して誰かを強請った末に殺されたのではないか、とにらんだ兵庫県警の野上は、生前の坊津がこっそりと向かったという場所に何かを感じ取り、奈良県の小栗温泉に出向きます。

【転】インド倶楽部の謎 のあらすじ③

強請り

残った本部メンバーの捜査で、行方不明だったナーディーリーダーのラジーブの証言から、リーディングの内容は坊津の自作自演だったことが明らかになりました。

リーディングで前妻の死について言及され、不自然な態度をとっていた間原が強請られていた相手だったと確信する火村は間原を問い詰めます。

火村は今の間原の妻・洋子は、温泉での水害で亡くなったという前妻と同一人物なのではないか、そしてその秘密を知った坊津が間原夫妻を強請っていたのではないか。

そうにらんだのです。

一方、小栗温泉の野上も聞き込みから同じ結論に向かいます。

間原の前妻が土砂崩れで亡くなった当日、給仕をしていた仲居が間原の前妻からもらったけれど使えずに取っておいた心づけのぽち袋を坊津が手帳にはさみ、持ち帰ったという証言を得たのです。

この瞬間にそれは坊津が前妻の指紋を取るために持ち帰ったのだと野上は確信したのでした。

間原の死亡したはずの前妻こそが、現在の妻・洋子なのだと。

そして、間原の現在の妻、洋子の指紋を任意で取るように本部に指示を飛ばすのでした。

そして指紋を取りにこられたことで、間原夫妻は秘密がばれたことを悟り、警察に話す前にと火村とアリスに真実を告白するのでした。

告白によると、洋子は本当の名前を寛子といい、親から虐待を受けていて、ずっとおびえていたのだといいます。

そして間原は寛子を親の追跡から守るために、寛子という人物を抹殺して、洋子という別人に仕立て上げた。

寛子は生きてきたのでした。

洋子というのは、新婚旅行先まで追ってきた間原の愛人で、不運にも当日亡くなったのはその愛人だったのです。

そしてそれを嗅ぎ付けた坊津に強請られていたのだと。

そして野上が取った裏を元に、間原夫妻は任意同行されたのでした。

【結】インド倶楽部の謎 のあらすじ④

理解されない動機

重要参考人として事情聴取される間原夫妻でしたが、火村は間原夫妻が坊津と出戸を殺した犯人だとは思っていませんでした。

なぜなら、くだんのぽち袋が坊津の事務所の引き出しに無造作に放置されていたからです。

坊津の遺体は事務所で発見されており、間原夫妻が犯人ならば、自分たちに繋がる重要な証拠をそのままにするとは思えないからです。

真犯人とにらんだ人物に火村とアリスは会いに行きます。

その人物は路上でシタールを弾いていました。

そして間原夫妻が重要参考人として事情聴取されている旨を告げると、その人物はあっさりと自分が殺したことを告白したのでした。

その人物はストリートパフォーマーの弦田真象、前世ではアジャイの幼馴染のバジブだったその人でした。

バジブはアジャイに対して劣等感を抱いていました。

勇敢で豪胆、自ら志願して戦死していったアジャイと何かにつけ比べられ、何事においても敵わないバジブは道化を演じていました。

そしてアジャイが自ら志願したことにより、密かに思いを寄せていたシャンバビが一人取り残され死んだことを恨みに思っていたというのです。

なんと動機の根底はは前世にあったのです。

そしてそのアジャイである坊津が間原を強請っている場面に出くわし、殺意が増幅されたというのでした。

弦田は前世からの報いを含めた制裁を坊津に与えたのです。

出戸も事情を知っている、と坊津がブラフをかけたことにより、不運な出戸は巻き添えを食らったのでした。

そして、坊津の手帳の命日は奇しくも偶然の産物だったのです。

そしてシャンバビである寛子(洋子)が捕まっている事実を知り、自らが真犯人であると名乗り出たのでした。

殺害の動機は警察にとっても火村にとっても不可解な動機でした。

弦田もそれが余人に理解されるとは思っていませんでした。

しかし弦田はアリスにだけはある言葉を残していったのでした。

「あんただけは判ってくれるんやろ?」と。

インド倶楽部の謎 を読んだ読書感想

火村&アリスの国名シリーズ第九弾、今回は輪廻転生を柱に据えたストーリーです。

輪廻転生を信じる、信じないを別にして楽しめる作りにはなっていますが、作中でアリスがそうであったように作者自身も輪廻転生を信じている、もしくは信じたいのではないかと推測されます。

直接トリックとは関係ないので、私はミステリーとしてもありだと思っています。

神戸の異国情緒ただよう空気感に、インドのオリエンタルな匂いが交じり、その世界観に身を浸すだけでも心地いいです。

展開するストーリーとともに、ファンは二人のやり取りにも注目していることと思います。

特に今回は、今までの国名シリーズの作品名は作中でアリスが今までの事件にこっそりタイトルをつけていた、という裏設定が披露されたり、臨床心理士の佐分利から火村とアリスはソウルメイト(深く理解分かり合っていて、輪廻転生の中で何度も巡り合う友人)と指摘されるところにほくそ笑むのではないでしょうか。

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