著者:ヴィクトリア・エイヴヤード 2015年2月にハーパーBooksから出版
レッド・クイーンの主要登場人物
メア・バーロウ
本作の主人公。レッド(普通の人間)でありながら、特別な能力に目覚める。
カイローン
メアの幼馴染。漁師になる予定だった。
カル
ノルタの第一王子。軍略に優れ、やさしい。シルバーの青年。
メイヴン
ノルタの第二王子。メアの婚約者となる。
エラーラ
ノルタの王妃。冷徹で人の心を読み、心に干渉する能力をもつ。
ファーレイ
支配階級に反発する組織「スカーレット・ガード」のリーダー。
レッド・クイーン の簡単なあらすじ
貧しい村で育ったメアは、ある日、支配階級のシルバーのみがもつ特別な力を持っていることに気づく。
第一王子・カルや第二王子・メイヴン、反乱組織スカーレット・ガードなどとも交流しながら、王宮に囚われたメアはシルバーたちから自由になろうとする。
レッド・クイーン の起承転結
【起】レッド・クイーン のあらすじ①
特別な能力をもつ「シルバー」が支配する国で、最下層の身分の「レッド」として産まれたメア・バーロウは、貧しいながらも家族と支え合い、生きていました。
ある日、幼馴染のカイローンが徴兵されることを知り、メアはショックを受けます。
カイローンをなんとか徴兵から逃れさせたくて、メアは知り合いの密輸業者・ウィルをたずねました。
ウィルは「不可能だ」と断ろうとしましたが、ちょうどそのとき居あわせたファーレイ(反乱組織「スカーレット・ガード」)により「多額の報酬と引き換えに考えてもいい」と言われます。
金策に奔走するメアは、町でカルという青年に会います。
カルにお金が必要であると訴えた後日、メアの家に宮殿からの使いがやってきます。
宮殿の使用人としてメアを召し抱えることになったと伝えられ、そのままメアは否応なく宮殿へ連行されます。
ちょうどそのとき、宮殿のアリーナでは第一皇子の花嫁選びが行われていました。
メアはシルバーへの給仕の仕事につくことになりましたが、激しい競技により、ボックス席からアリーナのほうへ落ちてしまいます。
触れれば体が焼け焦げる結界にメアはぶつかりますが、なぜか無事でした。
【承】レッド・クイーン のあらすじ②
アリーナで、稲妻の力が使えると気づいたメアは、そのままセンチネル(国王軍)に捕らえられてしまいます。
通常、特別な力はシルバーの人間にしか使えませんが、メアはレッドなのに、シルバーと同じ力を持っていました。
そのことに気づいた王妃エラーラと国王は、メアを「偽りの王女」として、第二王子メイヴンの婚約者にします。
近ごろ勢力を増してきている反乱分子「スカーレット・ガード」の気勢を削ぐために、メアを「シルバーでありながら、レッドとして育てられてきた悲劇の王女」と大々的に公表したのです。
シルバーの王女として、メアは宮殿内で礼儀作法や訓練の特訓を受けます。
レディ・ブロノスの授業はとても厳しいものでしたが、年老いた教師・ジュリアンは、メアにより広い世界のことや、シルバーの力の使い方について親切に教えてくれました。
一方で、メアは第一王子カルや、第二王子メイヴンとの交流を深めていきます。
ふたりともメアに優しく接してくれますが、とくにカルは、メアをこっそり住んでいた町へ連れ出してくれました。
メアはそこで家族と再会し、それから密輸組織のウィルに会いました。
【転】レッド・クイーン のあらすじ③
ウィルは自分が「スカーレット・ガード」に所属していること、メアの兄・シェイドも反乱組織の一員であることを伝えます。
メアは自分もスカーレット・ガードに協力する意志を伝え、宮殿内に潜伏しているウォルシュ(反乱組織の一員)と連絡をとります。
また、第二王子のメイヴンもメアに同調し、シルバーでありながら「スカーレット・ガード」に協力することを約束してくれました。
スカーレット・ガードのリーダー・ファーレイと連絡をとったメアとメイヴンは、舞踏会の日に、要人の暗殺計画を実行します。
特定の要人のみを銃殺する計画だったのですが、舞踏会の会場で、なぜか爆弾が爆発します。
大勢のシルバーが殺されたことに憤った第一王子・カルと、シルバーたちは激怒し、逃げ遅れたスカーレット・ガード4名(カイローン、ファーレイ、ウォルシュ、トリスタン)を捕まえて拷問しました。
4人はメアとメイヴンが計画に協力していたことをしゃべりませんでした。
【結】レッド・クイーン のあらすじ④
捕まったスカーレット・ガードを逃がすため、メアはジュリアン(人を操ることができる)に協力してもらいます。
ジュリアンとともに牢を開け、4人を逃がしたメアは、舞踏会での爆発がスカーレット・ガードの仕業ではなかったことを知ります。
その後、ジュリアンから「レッドの中にもシルバーの能力をもつ者がたくさんいる」ことをメアは知らされます。
リスト化された「特別な能力をもつ者たち」の名前を、メアはファーレイに手渡します。
ファーレイは、国王を追い詰めクーデターを起こすことを計画し、メアとメイヴンに協力するよう要請します。
クーデター当日、メアは一番の障害となるカルの注意を引き足止めしますが、結局、計画がばれてしまいます。
拘束されたメアとメイヴンは、王妃と国王のいる密室へとカルにより連れていかれます。
密室で王妃エラーラはカルの心を操り、カルの手で国王を殺させて、メイヴンを次期王とすることを宣言します。
世間的に反逆者とされたカルとメアは、処刑場・骨の器で殺されそうになりますが、なんとか脱走し、スカーレット・ガードと合流して逃げます。
レッド・クイーン を読んだ読書感想
壮大な世界観と設定に圧倒されました。
ハリウッド映画で上映されることがあったら、さぞみごたえがあると思います。
シリーズ1作目で、終わり方も続きが非常に気になる場面で区切られています。
手に汗握るバトルシーンだけでなく、タイプの異なるふたりの王子、カルとメイヴンとの間で揺れ動くメアの恋愛模様についても、見事な筆致で描かれていました。
これからどうなるのか(とくに、王殺しとして追放されてしまったカルの身の処し方)がとても気になるところです。
次作では、メア以外にもシルバーの能力をもつレッドが登場するそうなので、それも楽しみです。
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