「月の満ち欠け」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|佐藤正午

月の満ち欠け

著者:佐藤正午 2019年10月に岩波文庫から出版

月の満ち欠けの主要登場人物

三角 哲彦(みすみ あきひこ)
本作の主人公。なんとなくな日々を過ごしながらレンタルショップでアルバイトをする大学生

正木 瑠璃(まさき るり)
人妻であるが主人公三角と恋に落ちるが事故で亡くなってしまう。

小山内 堅(おさない けい)
事故で娘と妻を亡くしている。娘の生まれ変わりという不思議な少女と出会う。

正木 竜之介(まさき りゅうのすけ)
正木瑠璃の旦那。自信家で仕事熱心だったが妻を事故で亡くしたあとは小さな工務店で働く。

月の満ち欠け の簡単なあらすじ

第157回直木賞を受賞した本作は、わたしは、月のように死んで生まれ変わったの。

目の前にいるのはは小さな7歳の女の子だが、本当は今は亡き我が子、今は亡き恋人、今は亡き妻なのか、そうでないならこの子は何者なのか。

1人の女の子と3人の男の子30年にも及ぶ人生の折り重なりから生まれる数奇な愛の話です。

月の満ち欠け の起承転結

【起】月の満ち欠け のあらすじ①

始まりの瑠璃

未来に何もやる気を見出せないしがない大学生三角はアルバイト先のビデオレンタルショップと映画館を行き来する毎日を送っていました。

そこで1人の女性、正木瑠璃と運命の出会いを果たします。

恋愛関係を発展させていくが瑠璃が人妻であることに三角は気付いてしまいます。

そこで瑠璃は身を引くが三角は諦めず追い求め2人は心からの繋がりを得ます。

瑠璃は三角に「瑠璃もはりも照らせば光る。」

という成句が由来であると話します。

三角の中にその言葉はなぜか強く残りふとしたときに思い返すようになります。

そのうち瑠璃が旦那の会社の人で自殺した人の話をします。

その人は遺書としてちょっと死んでみる。

という一言だけ書き残していたと話します。

瑠璃は自分は試しに死んでみるということであり、もしかしたら死とは別の人に生まれ変わるということではないかと自論を話しあたしは、月のように死んで生まれ変わる。

という言葉を三角に言い残します。

そのあとしばらくして瑠璃は電車の事故で亡くなってしまうが三角は瑠璃の最後の言葉を信じ続けます。

【承】月の満ち欠け のあらすじ②

第二、第四の瑠璃

瑠璃という名前の娘が高校生になった頃に事故で亡くしている小山内は緑坂るりという少女と会います。

彼女は母の緑坂ゆいと共に会いにきており一枚の絵を出してきます。

そこには20代の頃の三角の顔がホクロの位置まで一寸違わず書かれています。

20代の頃の三角のことを知らないのになぜこの少女は完璧に書けたのかと小山内は不思議に思います。

もしかしたらいつの日か正木瑠璃が、別人の若い娘となって自分のもとに戻ってくるのではないか、娘であった瑠璃は生まれ変わっているのではないかと考え始めます。

緑坂ゆいとるりと話していると自分の娘であった瑠璃がなぜか三角に会おうと県外へ出ようとしていた理由がもしかしたら正木瑠璃の生まれ変わりであるからではないかと少しずつ事故のあった過去と現在の目の前の娘と繋がりを見つけはじめます。

自分と初対面であるはずの緑坂るりが自分のクセや自分との昔の思い出をなぜか語ってくるうちにだんだんと確信付いていきます。

【転】月の満ち欠け のあらすじ③

第三の瑠璃

すこし時間が巻きもどり正木瑠璃の夫である正木竜之介は妻が亡くなるまでは大手ゼネコンで働く優秀でエリートの道を進んでいました。

彼は人生で欲しいものは全て手に入れてきた中で瑠璃も同じように欲しいと思った女性を自分の妻にしました。

だが妻を亡くしてからは意気消沈してしまい人生を転落していく中で小さな工務店での社員となり働くことになりました。

その工務店の社長の娘である小学生の希と出会います。

彼女はほんとうは希美じゃなくてルリという名前が良かったと言い出します。

そのうち希美は東京へ行こうと家から脱走を何度も繰り返すようになります。

東京にいる三角に何度も会いに行こうとしていることがわかった正木竜之介はこの希美という少女がもしかしたら妻であった瑠璃の生まれ変わりではないかと希美に話します。

観念したのか希美は正木竜之介に三角に会えるように手助けして欲しいと正木竜之介に協力を頼みます。

正木竜之介は希美を連れて東京へ出向きますが途中で事故にあい2人とも亡くなってしまいます。

【結】月の満ち欠け のあらすじ④

瑠璃も玻璃も照らせば光る

小山内と緑坂るりが話している現代に戻ります。

緑坂るりは正木竜之介との話を小山内にし、小山内は生まれ変わりであるということに納得をします。

その後緑坂るりは母の目を盗み三角哲彦に会うために彼の会社へと必死に向かいます。

ランドセルを背負った彼女は色んな大人に憚られ門前払いさせられそうになりますがなんとか高層ビルに入り込み三角の声をもう一度聞きたい、もう一度会いたい一心でエレベーターに無理やり乗り込もうとしますが大人に捕まってしまいます。

そんな時に1人の男性が目の前に立ち泣いている少女にハンカチを差し出します。

るりはずっと三角に話そうと何年も前から用意していた出会ったときのことや2人の思い出などのセリフがなかなか言葉に出来ない中、三角は何も喋らなくても、もうわかってるからと励ますような笑顔をるりに見せます。

そして初めて出会ったときのように少女であるるりに向かって瑠璃さん。

ずっと待ってたんだよ。

と声をかけました。

月の満ち欠け を読んだ読書感想

伊坂幸太郎さんの小説を読まずとも人はいきていけますし、それでいいと思っているのですが、もし誰かが1冊くらい本を読みたい、小説の面白さを知りたいと言ってきたらこの作品を勧める。

という帯の文章に心を揺さぶられて読みました。

言葉の通り、心に自然とすっと馴染むような作品でした。

時系列がころころと変わり、複雑に織り成されているのですが戸惑うことはなく分かりやすく描かれています。

会話の中に映画や和歌などテンポよく会話に組み込まれているところも映画ファンの心をくすぐってきます。

生まれ変わっても大切な人のもとに行きたい。

そんな大切な人と自分も出会いたいと思える作品でした。

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