「悪漢刑事 最後の銃弾」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|安達瑶

悪漢刑事 最後の銃弾

著者:安達瑶 例)2019年12月に祥伝社から出版

悪漢刑事 最後の銃弾の主要登場人物

佐脇耕三(さわきこうぞう)
本作の主人公。T県鳴海署の巡査長で、部類の女好き。警察官にはあるまじき行為が多く、警察内部から要注意人物として扱われているが、何度も大きな事件を解決に導いている事から、職務を解雇されない。

伊草智洋(いぐさともひろ)
鳴龍会の元若頭。佐脇とは盟友だが、大阪の巨大組織須磨組の組長を殺した事から、鳴龍会は解散し、現在逃走潜伏中の身である。

入江雅俊(いりえまさとし)
かつて鳴海署長として佐脇と対決したが、警察庁に栄転して現在は警察庁ナンバー3の警視監となる。暴力団壊滅を目指すと共に緊急事態条項導入キャンペーンの推進に熱意を燃やしている。

磯部ひかる(いそべひかる)
東京で活躍するフリージャーナリスト。巨乳にしてナイスバディの持ち主。

館林いずみ(たてばやしいずみ)
伊草の愛人で華奢な美女。

悪漢刑事 最後の銃弾 の簡単なあらすじ

鳴海市では、悪徳警官の佐脇を糾弾する市民団体の活動が活発化していた。

そんな折り女優の奈央が誘拐される。

奈央の父入江は鳴海に訪れ、緊急事態条項を宣言して実権を握るが市民の暴動や仲間の裏切りで頓挫する。

入江は佐脇と伊草に遭い、それぞれの思惑から銃撃戦になり、ガス漏れした部屋で、佐脇は伊草に銃弾を放ち、伊草らと共に炎に包まれたのです。

悪漢刑事 最後の銃弾 の起承転結

【起】悪漢刑事 最後の銃弾 のあらすじ①

事件多発の鳴海市

鳴海市二条町の路上で政府の諮問委員の発田により館林泉が痴漢されたにも係わらず発田の証言でいずみが冤罪にされ拘留されたのです。

一方鳴海署前では、市会議員の妹尾の煽動で、悪徳警官の佐脇を糾弾する市民団体の活動が活発化していたました。

そんな折りにテレビドラマの撮影で鳴海に来ていた、女優の奈央が佐脇の元に磯部ひかると現れ、奈央の父入江の「緊急事態条項キャンペーン」の促進に利用されようとしていて、阻止したいとの話を聞かされます。

入江の暴力団撲滅キャンペーンも合わせて否定する奈央の意見に佐脇達も賛同するのです。

しかし、その後奈央はホテルの部屋からこつ然と消え、何者かに誘拐された様子で音信不通になり、ドラマの撮影も進まない事からマスコミに失踪がかぎつけられ、様々な憶測が飛び交うのです。

奈央の実の父親である入江は鳴海に訪れ、県警や鳴海署は警察庁のナンバー3の来訪に大騒ぎの忖度合戦になる中、入江は佐脇を呼び、娘の誘拐の捜査での陣頭指揮を依頼します。

捜査が進むと、奈央の滞在していた部屋は隣の部屋と行き来が出来るコネクティングルーム仕様で、隣の部屋から男と返送してもめる様子も無く抜け出した事が判明したのです。

【承】悪漢刑事 最後の銃弾 のあらすじ②

迷走する捜査

佐脇達は奈央の失踪事件と共に盟友の伊草の彼女である館林いずみの不当拘留を一刻も早く終息させるべくホイ層を続けていたが、様々な手段を使ってもどちらの事件も核心には至る事が出来ず、いずみに対する面会すらも拒絶されている城田すが続いたのです。

どのようなアプローチを取っても、必ず上層部から進行を阻まれ、そのいらつきは次第に大きなものになって行ったのです。

入江は娘の奈央の失踪に対して苛立っている様子を見せていない事を不振に思った佐脇は、奈央の失踪を入江の狂言だと判断して、盟友の伊草の彼女のいずみの釈放の為にてを尽くし、いずみへの長い拘留は入江が伊草をおびき出す為のエサとして使っている事に気付くのです。

入江の秘書である大沢の遺体が、鳴海港付近のテトラポットの上で発見され、再び街は騒然とする中、妹尾の佐脇糾弾デモは連日行なわれいらついている佐脇はテレビの「うず潮イブニングワイド」に入江と磯部ひかるが出演してるのを見たのでした。

入江は「緊急事態条項」の推進の為の出演で在ったが、ひかるは入江の娘、奈央の話題に強引に持って行こうとしていたのです。

緊急事態条項に話が及ぶとひかるは悪法だとばかりに入江に厳しい意見を放ち、二人の対立はあからさまになって行くのです。

突然、市会議員の妹尾がテレビスタジオに乱入し、入江の肩を持ちひかるへの意見攻撃を始め、しまいには妹尾の口から緊急事態条項の実験を始めようと言う提案が上がります。

討論の収集は付かぬままCMになり、再び番組が再開した時には、のどかな時事ネタのニュースになっていたのです。

その夜の鳴海市の繁華街では黒シャツを着た暴徒達が街の至る所で無法に暴れ回る光景が繰り広げられたのです。

そんな暴徒達を阻止するべく立ち上がり、市民を守っていた佐脇の前に妹尾が現れ、暴徒の弁明をした事で佐脇の堪忍袋の緒が切れて、妹尾を殴り飛ばしたのです。

【転】悪漢刑事 最後の銃弾 のあらすじ③

向かう所敵ばかり

一方、いずみを罠に掛け冤罪拘留を続けさせていた発田は、いずみの恋人の伊草に脅されたショックで心臓発作を起こし、国見病院に入院させられてしまったのです。

駆けつけた佐脇に、発田は一方的に悪態をつき、頭に来た佐脇は病室を出ると入れ違いに見覚えのある看護師が発田の部屋へ処置と言い乍ら入ったのです。

処置を負えて出て来た看護師はかつて佐脇が係わった事件の連続殺人の犯人で、性技の為だけに人を殺めていた死の天使と呼ばれた霧島響子で、響子の姿を見る追っている内に巡り巡って発田の病室の前に戻ると盟友の伊草の姿を見る発見したのです。

呆然としている伊草を尻目に発田を見ると最早死んでいて響子の犯行だと理解した時、発田を糾弾する過激なデモ隊が争乱を起こしたのです。

伊草を争乱にまぎれさせて逃亡させた佐脇は、突然現れた入江に激昂されたのです。

スマホでのやり取りを負えた入江は突如鳴海市全域に緊急事態の布告を発しました。

布告により鳴海市全域が警察庁長官の名代の入江の支配下に置かれる事になったのです。

鳴海市は全市広域風差となり、しないのデモ隊や暴徒は人権すら無視された様な圧倒的な暴力の行使された鎮圧と排除を受ける、地獄絵図の様な光景に染められてしまったのです。

この宣言により巨大な権力を一時的に振り回す事が可能になった入江は、各県の警察間を鳴海市に大量動員してその権力を振るえる立場を思う存分に振るったのです。

そんな中、テレビではひかるが入江の宣言にかこつけて、奈緒が入江の方針に対し反発する自ら撮った映像をスクープして入江を追い込みますが、誘拐犯にやらされていると反論して、規制をキツくする方針を露にするのだった。

此れをきっかけに入江の非道な市民に対する抑圧は激化したが。

弾圧に対抗する暴徒達も暴走が激化して行ったのです。

【結】悪漢刑事 最後の銃弾 のあらすじ④

男としてのけじめ

激化する暴走を煽る妹尾と、激化している黒シャツのバックに大阪の日本最大の暴力団、須磨組のバックアップがある事を佐脇は探り当て、新組長遠田と退治した佐脇は。

須磨組と妹尾、発田も含めて全てが入江の入れ知恵の配下として行動していて、現在の入江の権力の前に警察も従わなければならない事で、佐脇達は全ての敵対者を相手にする事を強いられてしまったのです。

全てが敵に囲まれた状況で、妹尾は佐脇に仲間に入る様に要請しますが、佐脇は自分の生き様を歪める事には納得する事は無く、妹尾が中国のの工作員だと言う事が発覚します。

入江の元で結託していたヤクザの遠田は妹尾との共同な行動を嫌いすぐに撤退をして入江の野望からは慣れて行くのでした。

入江の野望はこの撤退で音を立てて崩れ始め、機能しなくなり、公には威力をうしなってしまったのです。

入江に残された最後の道は、国債氏名手配の伊草を生死を問わず逮捕して手柄として手みやげにするしか無くなってしまったのです。

入江の娘の奈央は、須磨組の末端のチンピラに死んだ大沢から奪われ誘拐され監禁陵辱されたあげく、陵辱した男に心をうばわれていたのです。

全ての黒幕である入江の行動から、奈央の監禁先を知った佐脇は先回りをして現場に行くと、伊草が突然現れ行動を共にします。

伊草を捕まえる為にいずみの身柄を奪取していた妹尾もいずみを連れて一同が勢揃いした廃墟で、それぞれの思惑がぶつかり合い、銃撃が飛び交う状態になり、弾丸がかすめてガスを発生させます。

此れが最後のチャンスとなってしまったので、ガス漏れも構わず、全ての関係者を巻き込んで佐脇は入江の額に最後の銃弾を撃ち込む事で決着をつけると共に全ての関係者と共に業火に包まれるのです。

悪漢刑事 最後の銃弾 を読んだ読書感想

大人気シリーズ野悪漢刑事の完結編らしく、過去の気になる犯人やキャラクターがきちんと事件解決に協力しつつ、その後の人生も理解出来る形になっていてとてもスッキリ出来ました。

現代の問題ともきちんとリンクしていて、主人公の時代遅れだけども男気のある生き様はとても共感出来ます。

コンプライアンスなんて何のそので、弱い人間を組織の規則を無視してでもきちんと守ろうとする主人公の生き様が伝わりました。

男として、楽しめるシーンも捨てがたいものですが、こんな無骨で実は純粋な男としての生き様は、現代の若者達の見習って欲しいドラマに仕上がっていると思います。

政治や社会の様々な観点でもきちんと考察されていて、人の心とは何かを考えさせてくれる面白く良い作品だと思います。

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