【ネタバレ有り】優しい死神の飼い方 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:知念実希人 2016年5月に光文社文庫から出版
優しい死神の飼い方の主要登場人物
レオ(れお)
ゴールデンレトリバーの姿をした死神。成績の不振により、上司から人間界のホスピス「丘の上病院」に左遷される。地縛霊となりそうな人間の匂いを嗅ぎとる。相手の脳内に「言霊」を飛ばし話しかけることができる。
朝比奈菜穂(あさひななほ)
丘の上病院で働く看護師で、病院長の娘。雪の中倒れていたレオを救い、病院で飼い始める。
南竜夫(みなみたつお)
丘の上病院に入院している患者。70年前、戦争で亡くした女性を助けられなかったことを後悔している。
金村安司(かねむらやすじ)
丘の上病院に入院している患者。丘の上病院が個人の持ち家だった頃、そこに住む家族を殺し中国へ逃亡したことを後悔している。
内海直樹(うつみなおき)
丘の上病院に入院している患者。画家を志していたが、売った絵が大切にされていないことを知り、絵がかけなくなる。
優しい死神の飼い方 の簡単なあらすじ
仕事成績の不振により、人間界のホスピス「丘の上病院」に左遷された死神のレオ。戦時中の悲恋、丘の上病院で起きた殺人事件、絵が書けなくなった画家など、死に直面している入院患者の過去を解き明かし未練を解決していきますが、レオの仕事はホスピスの危機に関わることとなります。心温まる作品です。
優しい死神の飼い方 の起承転結
【起】優しい死神の飼い方 のあらすじ①
レオはゴールデンレトリバーの姿をした死神です。
死神として死んだ人間を天国へと導く仕事をしていましたが、仕事の成績不振に言い訳をしてしまったことを理由に人間界に左遷されてしまいます。
ある日、雪の中倒れていたレオを助けたのは、丘の上病院で働く看護師・菜穂でした。
菜穂はレオにドックフードを与え、病院で飼えるよう病院長を説得します。
レオは地縛霊となりそうな者から発せられる「腐臭」を嗅ぎ取る能力と、夢の中に入りこみ言霊を使って人の脳内に語りかける能力を使うことができます。
晴れて病院で菜穂に飼われることになったレオは、汚名を返上して上司に認めてもらい元の死神の姿に戻るべく、病院に入院する患者たちの未練を解決していきます。
【承】優しい死神の飼い方 のあらすじ②
レオは最初に南竜夫の腐臭を嗅ぎとり、南の未練を探り解決に導くため南の夢の中に入り込みます。
南は戦争時代、金持ちとの結婚をやめて自分と駆け落ちしようとしていた葉子が最終的には婚約者を選び、自分は裏切られたと思っていました。
レオは南の夢の中で、葉子は本当に南を選んでおり、運の悪いタイミングで戦争に巻き込まれ命を落としていたことを伝えます。
葉子が自分との生活を考えて、家にあったダイヤモンドを取りに戻ったときに戦火に巻き込まれたことを理解し、南の未練は解決されました。
同じように金村の夢の中にも入り込み、未練の原因を探します。
金村は昔この病院が金持ちの家族の家だった頃、金が欲しかったために事件に巻き込まれ、結果的に一家を殺してしまったと思っていました。
レオは金村に殺人犯は別にいることに気づかせることで金村の未練を解決します。
また内海は、この家に住んでいた金持ちの子どもに絵を売っていましたが、殺人事件の後この家から自分の絵が出てこなかったために自分の絵が大切にされていなかったと思い、絵が描けなくなったことを後悔していました。
レオは内海の夢の情報から、その子供が皮膚の病気のために地下室での生活をしていたことを見抜きます。
警察の捜査では見つけられなかった地下室を探したところ、内海の売った絵が出てきました。
絵が大切にされていたと分かった内海は再び絵を描き始めることができます。
【転】優しい死神の飼い方 のあらすじ③
3人の患者の腐臭は消えましたが、レオは菜穂から腐臭がすることに気づきます。
実は菜穂も難病を抱えており余命わずかという状態でした。
菜穂の未練は、丘の上病院に外勤として勤務している名城先生に告白しないまま死んでしまうことでした。
菜穂に告白のチャンスを作り、菜穂を救えたとほっとしたレオですが、同業の死神から二週間後にこの病院で7〜8人が殺されることを伝えられます。
この病院で何かが起こると察知したレオは犯人をつきとめて丘の上病院を救うため、言霊を発して菜穂にこの事実を伝えます。
菜穂は最初、レオが話せることに驚きますが、犯人に心当たりがあると言い出します。
病院の院長でもある菜穂の父に病院を売却するようもちかける怪しい者がいましたが、菜穂の父は条件を飲まず断っていたのです。
菜穂はこの話を持ちかけた工藤は病院を恨んでいるだろうと予想し、事件を解決するためにレオと一緒に犯人に会いに行きます。
【結】優しい死神の飼い方 のあらすじ④
父が持っていた名刺を頼りに街に工藤を探しに行ったレオと菜穂ですが、工藤に会ってみると病院に売却の話を持ちかけた者とは別人でした。
工藤は自分の身元がバレないよう、他人の名刺を使って工作していたのです。
図書館で手がかりを探していたレオと菜穂は興味深い記事を見つけます。
それは、7年前非合法の高利貸しをしていた3人の男、水木、近藤、佐山が警察に捕まった時の写真が載った記事で、病院に来ていた怪しい男は近藤容疑者でした。
この3人が病院に隠されたダイヤモンドを奪うため、みんなを殺そうとしていると予想したレオと菜穂は、入院している南、金村、内海に協力してもらい、先にダイヤモンドを探しますが見つかりません。
本当はダイヤモンドなんてなかったのではないかと考え直していたとき、夜勤の看護師から倒木が原因で病院に来られないとの連絡が入ります。
携帯電話もつながらなくなり何かがおかしいと思い始めた頃、外勤に出ようとした院長が近藤に銃で打たれます。
レオと菜穂の不安は的中し近藤が病院に乗り込んできます。
ダイヤモンドを出さなければ全員殺すと脅されますが、ダイヤモンドの在り処がわかりません。
レオは近藤を地下室に閉じ込めてしまおうと考え、言霊で菜穂に作戦を伝えます。
うまくいったかと思われた作戦ですが、レオも近藤と一緒に地下室に閉じ込められてしまいます。
そして近藤に暴行されるレオを助けるため、菜穂達は閉じ込めた近藤を地下室から出してしまいます。
近藤は怒りのあまりガソリンを被った状態で発泡し、自分に引火し、焼け死んでしまいました。
事件後、病院ではクリスマス会が行われます。
菜穂とレオが屋根裏部屋からクリスマスツリーを出してみると、きらきらと輝く飾りが付いています。
ずっと探していたダイヤモンドはここにあったのです。
ダイヤモンドは病院の経営に苦しんでいた菜穂の父親に託され、今後の病院の役に立てることになりました。
優しい死神の飼い方 を読んだ読書感想
死神のレオが巻き起こしたハートフルなミステリー。
最後まで読んでみて、感動しました。
「死神」と聞くとなんだか怖いイメージを抱きますが、レオのような優しくて少し天然な死神なら、飼ってみても良いのではないかと思ってしまいます。
この世に未練を残した患者の助けとなるのなら、死神ではなく天使?に近いような気もしました。
菜穂も最後は病気のため亡くなってしまいます。
菜穂だけではなく他の入院患者も、レオと出会えたことで素晴らしい人生になったことと思います。
作者の知念実希人さんは実際にお医者さんということで、このようなホスピスを舞台とした、命の大切さにも触れるようなお話が書けるのだろうと思いました。
続編が出ればいいなと思うような作品でした。
コメント