「平家物語 犬王の巻」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|古川日出男

平家物語 犬王の巻

著者:古川日出男 2017年5月に河出書房新社から出版

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平家物語 犬王の巻の主要登場人物

友魚(ともな)
本作の主人公。壇ノ浦という海で海人として暮らしていましたが、ある事件を境に視力を失います。犬王と分かりあえたたった一人の人物。

犬王(いぬおう)
本作のもう一人の主人公。室町時代の第3代征夷大将軍・足利義満の寵愛を受けたとも言われる猿楽の役者です。ある呪いにより、生んだ母すら目を背けるような異形で誕生します。

友魚の父
息子が視力を失った事件の際に絶命しますが、霊となって息子に寄り添い、視力のない息子を導きます。

犬王の父
猿楽の「美」をすべて自身の手中におさめるため、多くのものを殺しあまつさえこれから生まれるわが子をも捧げてしまう人物です。

平家物語 犬王の巻 の簡単なあらすじ

壇ノ浦の海人一族のもとにきた貴族たちが指示して海から引き上げさせた宝刀。

その刀は引き上げた海人を絶命させ、そこにいた彼の息子の視力を奪います。

視力を奪われた息子・友魚は成長後、なぜ自分たちがそんなめにあったのかを知るため京へ行きます。

壇ノ浦で事件が起きた頃、京都の猿楽一座に生んだ母さえ直視できない程醜い子が生まれます。

「犬王」と名付けられたその子は、あまりの醜さに、全身に防具をつけられながら育っていくのです。

交わることのなさそうな二人の出会いは霊となった友魚の父の導きにより突然訪れました。

面で顔をかくした犬王と、目の見えない友魚。

二人は共鳴し、他にはない「平家物語」を作り上げました。

平家物語 犬王の巻 の起承転結

【起】平家物語 犬王の巻 のあらすじ①

友魚のはじまり

 壇ノ浦では潜水能力を高く評価されているイオの一族のもとに、都から人がやってきます。

彼らは友魚の父に地図を渡し、記された場所に眠っている物を取ってきてほしいと頼むのです。

友魚の父はそれを承諾し、息子の友魚と一緒に海に潜りました。

深く深く潜った先にある物体。

父が海に沈んだ物を手にすると、突然それが光り輝き、その影響で父は亡くなります。

友魚は一命は取りとめましたが、視力を失いました。

友魚と父が海から引き揚げようとしたのは皇位の象徴である三種の神器の一つ・草薙の剣という宝剣。

友魚は、自分たち家族をこんな目に合わせた者を知るために京の都へと向かうことにしました。

そしてその旅の途中で師匠と出会い、都でも有名な琵琶法師として名を馳せていくのです。

この時友魚には死んで霊となった彼の父が付き添っています。

いつでも答えてくれるわけではありませんが、友魚の父は時折あらわれては、彼に的確なアドバイスを施して去っていくのです。

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【承】平家物語 犬王の巻 のあらすじ②

犬王のはじまり

都の猿楽一族に生まれた子は、産んだ母さえ直視できない程の醜さでした。

性別もなかなか判断できず、毛が生えないところに毛が生え、爪があるはずの指先には爪ではなく歯のような白い物がついているような姿でした。

乳の与え方もわからず、乳を入れたお椀をおいておくと犬王は自分で寄ってきてすすりました。

そうしてなんとか3歳まで成長した彼は、面を被り体の全てを人前に晒さない格好をさせられます。

しかし、犬王はそんな自分を嘆かず、むしろ自分の素顔を晒して周囲を脅かしてみて遊んだり、兄たちが学んでいる「猿楽」を独学で身につけるのです。

そして、その独学が犬王の身体をかえていきました。

「猿楽」の手法で上手く歩けた時は、「足」が美しくなりました。

指の数も定かではなかった犬王の足は、「猿楽」の歩き方を獲得した瞬間に、人間らしい美しい足になるのです。

犬王はそれにはじめは気づかずに、楽しみながらいくつかの「猿楽」の動きを獲得しました。

【転】平家物語 犬王の巻 のあらすじ③

犬王と友魚の出会い

いくつかの「猿楽」の動きを取得し、足や膝が美しくなった犬王は、近所を駆け回っては、面を外し、自身の醜い顔を人に見せてびっくりさせる遊びにはまっています。

そこに、父の導きでやってきた友魚は、語りのうまさを武器に琵琶法師になっています。

友魚にむかって面をとる犬王。

しかし、視力を失っている友魚には犬王の顔が見えず、友魚は全く驚かないのです。

そんな友魚を不思議に思い、話しかける犬王は、友魚の琵琶音曲にひかれていきます。

友魚は犬王の生きざまに魅せられ、互いに影響を与え合うように。

そして、そんな中で犬王は、自身にかけられた呪いの元に近づき、呪いの影響を受けた怨霊たちに導かれて「平家」の死んでいった武者たちを舞いはじめます。

そしてその物語を語るのはもちろん友魚。

犬王も友魚も、ともに生み出した作品とともに有名になり、称賛されるようになっていきました。

友魚は新しい琵琶法師の一門の頭となり、犬王は兄たちを退けて、父亡き後の猿楽一座で頭となるのです。

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【結】平家物語 犬王の巻 のあらすじ④

友魚と犬王のおわり

猿楽一座の頭となった時、犬王は全ての部分が美しくなっており、面を外した時には「美しすぎて」異形だとささやかれるほどの姿となっていました。

時の権力者、室町時代の第三代征夷大将軍・足利義満の寵愛を受けるほどにもなった犬王ですが、将軍としての権威を確立したい義満に、他の人が舞うことのできない「平家物語」の上演を禁じられてしまいます。

義満は、足利家が手にしていない宝刀の存在を隠したいのです。

そのため、そこに触れている犬王の物語は、他の目に触れさせたくないのでした。

同じ理由で、友魚の語る琵琶音曲も禁止され、彼の一門は解散させられます。

友魚の語る「平家物語」は、「犬王の人生」を語るものでもあり、かなりの人気を博していたのですが、「犬王の名誉を傷つける」という点からも批判の憂き目にあいました。

友魚は、また権力者によって左右される自らの運命に反抗し、禁止された音曲を外で語り、罰されることになりました。

犬王は黙って、自身の「平家物語」を封印して他の猿楽を上演し続けますが、死に際に友魚を迎えに行くことを所望します。

平家物語 犬王の巻 を読んだ読書感想

音や、いろどりや声が浮かび上がってきそうな語り口が作品全体を貫いており、引き込まれるように読み終えてしまえる作品です。

もともと存在している「平家物語」や「犬王」という猿楽師をかくも魅力的に、そして奇想天外なはじまりに持ってくる作家の力に脱帽の思いを抱きました。

文体にスピード感があり、映像や舞台化された状態が思い浮かんでとまりません。

はじめの衝撃的な章段が、どのように展開していくのかを考えるだけでわくわくするし、途中で読みやめるという選択肢はあり得ないような作品です。

芸術に身を捧げることや、「生きる」ということについても考えてしまいました。

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