「絞首商會」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|夕木晴央

「絞首商會」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|夕木晴央

著者:夕木晴央 2019年9月に講談社から出版

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絞首商會の主要登場人物

蓮野(はすの)
本作の探偵役。元泥棒であり、独特の人生観を持つ。

井口(いぐち)
画家。本作の語り部役。ワトソン役的なポジション

村山鼓堂(むらやまこどう)
殺人事件の被害者。医学博士であり、警察捜査に多大な貢献をした血液研究の権威。

水上淑子(みなかみとしこ)
容疑者の一人。被害者の親族。

宇津木(うつき)
容疑者の一人。妻は村山博士の妹。

絞首商會 の簡単なあらすじ

 大正時代。

著名な医学博士が何者かに殺害されました。

警察捜査が難航する中、事件関係者が呼び寄せたのは、元泥棒、蓮野でした。

友人の画家・井口たちと一緒に調査を開始した蓮野は、事件の裏に「絞首商會」と呼ばれる無政府組織の存在を嗅ぎ付けます。

絞首商會は博士を危険人物とみなし、殺害指令を下していたのです。

蓮野の前に現れたのは、事件解決にやたら熱心な姿勢を示す四人の容疑者たちでした。

彼らと絞首商會のねじれた関係を看破した蓮野は、真犯人、宇津木の目論見と動機を見事言い当てるのでした。

絞首商會 の起承転結

【起】絞首商會 のあらすじ①

泥棒探偵

 時は大正時代。

高名な医学博士・村山鼓堂が自宅付近で何者かに殺害されました。

彼は警察捜査に多大な貢献を及ぼした血液学の権威でもあり、事件の裏には大規模な陰謀が存在するのではないかと思われましたが、めぼしい手がかりが見つからず、警察の捜査は難航します。

業を煮やした被害者の親族、水上婦人は蓮野という男に捜査を依頼します。

蓮野は以前、村山邸に忍び込んだ経験のある元・泥棒であり、明晰な頭脳の持ち主でした。

 友人の画家・井口やその知り合いと一緒に調査に乗り出した蓮野は、一見、単純な刺殺と思われていた事件の不可解な点に気付きます。

博士を殺害した凶器は犯行現場から少し離れた場所で見つかったのですが、血に濡れた状態のまま、ブリキ缶に密封されていたのです。

凶器を水で洗い流してしまえば事件との関係は隠してしまえるはずなのに、非常に不可解な処理でした。

さらに被害者の持ち物を調べた蓮野たちは、博士が過去に怪しげな団体と交流を持っていたという事実をつかみます。

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【承】絞首商會 のあらすじ②

熱心すぎる容疑者たち

 事件の関係者に事情を聞いた蓮野たちは困惑させられます。

村山博士と交友関係にあった人物は親族の水上婦人・友人の会社重役、生島(いくしま)・義弟の宇津木・ゴム会社に勤める白城(しらき)の四人で、彼らの中に犯人がいると思われましたが、彼らの態度が、殺人事件に巻き込まれているにしてはあまりに不自然なものだったからです。

彼らは殺人事件の容疑者としては信じられないくらい、事件を解決させることに熱心な態度を見せていました。

それでいて、自分が犯人であると匂わせるような怪しい振る舞いをあからさまに示していたのです。

犯人であれば、このまま捜査が進行することを歓迎するはずはないのに、理解に苦しむ態度です。

蓮野たちは容疑者達の近辺を徹底的に洗うことを決めます。

白木が社内で横領を働いているらしいこと、生島が借金を抱えているらしいこと、水上婦人の息子が海外にいるらしいこと等が判明しましたが、それが殺害の動機や、捜査に熱心な態度にどう関わっているかまでは検討がつきませんでした。

【転】絞首商會 のあらすじ③

無政府主義組織「絞首商會」

 調査を進める蓮野たちは、事件の裏側に、無政府主義組織の存在を嗅ぎ付けました。

その組織は『絞首商會』と呼ばれる団体で、世界中の大戦や犯罪行為に関わり、自分たちの理想を実現させようとしていることが判ります。

殺害された村山博士も組織に関わっていましたが、組織は博士を危険人物であるとみなし、彼を排除するよう指令を下していたのです。

すると、犯人は組織の意志に従う人物である可能性が高くなってきます。

なおも調査を進める蓮野は、井口の妻やその妹も巻き込んで、関係者達の過去をしらみつぶしに採集します。

真犯人への光明が見えたかと思われたそのとき、蓮野たちの前に、絞首商會の一員と思われる謎めいた男、ハルカワが姿を現します。

ハルカワは、探偵とは基本的に政府を無視して犯罪を糾弾するものであり、優れた探偵である蓮野には本質的に無政府主義者の素質があると誘いますが、蓮野は理想のために全てを犠牲にするハルカワの生き方は醜悪だとして拒絶するのでした。

ハルカワは去り、彼との問答から事件の真相を掴んだ蓮野は、関係者の前で真相を告げると宣言しました。

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【結】絞首商會 のあらすじ④

明らかになった真相

 蓮野によって明らかにされた事件の真相、それは、「容疑者達全員が真犯人になりたがっていた」というものでした。

絞首商會は活動の邪魔をする村山博士を排除しようと躍起になっており、彼を殺した人物は組織に認められ、組織独自のルートで海外へ脱出させてもらえる手はずが整っていたからです。

 真犯人が海外へ逃亡するつもりだったのは当然として、残りの容疑者三名にも、それぞれ海外へ逃れなければならない事情がありました。

生島は借金取りから逃れるために、白城は横領の罪から逃げるために、水上婦人は海外にいる息子に再会するために、犯人扱いしてもらって絞首商會の力を借りようとしていたのです。

大正時代の世界情勢を考えると個人の力では亡命など難しい状況にあり、容疑者たちは組織の手を借りる必要があったのでした。

 最終的に真犯人として名指しされたのは宇津木でした。

彼は被害者の妹を娶っていましたが、被害者との間に、嬰児期の取り違え疑惑が持ち上がっていたのです。

疑惑が正しかった場合、宇津木は自分の実の妹と結婚したことになってしまいます。

十年ほど前に血液型で親族関係を推定する手法が発表されていたことから、宇津木は、村山博士の血液型を知ることによって血縁関係を確かめようとしますが、博士は頑として首を縦に振りませんでした。

精神的に追い詰められた宇津木は、博士の血液を鑑定させる手段として、殺人を選択したのでした。

博士の血が染み付いたナイフをわざと遠くに捨てれば、警察が鑑定してくれるからです。

結果、宇津木は自分の妹と結婚してしまっていたことが明らかになったのです。

 自分の進退を決められずに入る宇津木に対して、水上婦人は言い放ちます。

あなたが博士を殺めた理由には止むを得ないものがあったかもしれないが、ここにいたっては公正さを重んじるべきだと。

婦人に頷いた宇津木は自首を決意します。

こうして村山鼓堂博士殺害事件は解決したのでした。

絞首商會 を読んだ読書感想

 非常に端正な推理小説、というのが読後の第一印象でした。

本作は問題作・名作の書き手を輩出しているメフィスト賞を受賞した作品ですが、同賞を冠した多くのミステリーが過激で型破りなミステリであったことに比べると、非常にまっとうな推理小説だなという感想を抱きました。

ミステリーや推理小説と呼ばれるジャンルの小説は、大抵の場合、旅情ミステリー、とか科学捜査ミステリー、というように、何か別の要素をプラスした作品が数多く出版されているように思われます。

それらと比較すると、本作は不純物のない真っ白なミステリーであるといえるでしょう。

●●ミステリーもいいけれど、たまには純粋な謎解きを楽しめるミステリーが読みたい、と思っておられる方に、とくにお薦めできる一冊です。

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