「アミダサマ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|沼田まほかる

「アミダサマ」

著者:沼田まほかる 2009年7月に新潮社から出版

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アミダサマの主要登場人物

工藤悠人(くどうゆうと)
主人公。10代で両親と死別。東京都内のオフィスで会社勤めをしている。

筒井浄鑑(つついじょうがん)
地方のお寺の住職。

綿本ミハル(わたもとみはる)
発見当時は5歳。離れた場所から人に呼び掛ける能力を持つ。

筒井千賀子(つついちちかこ)
浄鑑の母。 ミハルの育ての親となる。

綿本浩次(わたもとこうじ)
元工務店の経営者。 今は現場作業員。

アミダサマ の簡単なあらすじ

どこからともなく助けを求める声を聞いて、工藤悠人と筒井浄鑑は綿本ミハルを救出します。

お寺に引き取られたミハルは浄鑑の母・千賀子に育てられますが、放浪癖のあるミハルの父・綿本浩次がひょっこりと帰ってきたのは5年後のことです。

千賀子は浩次を殺害した後に自殺して、ミハルは千賀子を追いかけて遠い世界へと旅立っていくのでした。

アミダサマ の起承転結

【起】アミダサマ のあらすじ①

声に引き寄せられた2人

11月の終わりの雨の午後に工藤悠人がオフィスでパソコンに向かっていると、どこからか助けを求める声が聞こえてきました。

導かれるままに車を走らせると丘の上の修理工場に着き、同じ声を聞いた近くの寺の住職・筒井浄鑑と合流します。

廃車置き場に不法投棄されていた白い冷蔵庫の中に閉じ込められていたのは、辛うじて息をしていた3歳くらいの女の子です。

彼女が履いていた靴には鰐淵洋一と記名されていて、浄鑑は檀家から名簿を借りて持ち主を探し出しました。

鰐淵洋一の母親の話では少女の名前は綿本ミハルで、鰐淵一家の遠縁に当たります。

父親の綿本耕司は妻を亡くしてからは経営していた工務店も立ち行かなくなり、パチンコ店に通い詰める毎日です。

浩次の居場所を知らないという鰐淵夫婦は手狭な公団住宅に住んでいて、幼い子供をふたり抱えているためにミハルの面倒を見る余裕はありません。

お寺に引き取られたミハルは浄鑑の母親・千賀子の看病によって回復して、小学校にも通い始めます。

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【承】アミダサマ のあらすじ②

アパートの老人から浮かび上がるつながり

5年後に悠人が取引先との打ち合わせを終えて地下鉄に乗っていた時、ふたたび不思議な声を捉えました。

車内を見渡してみるとドアのすぐ脇の席には、悠人の祖父・工藤多摩雄が座っています。

大手の製薬会社に勤務していた悠人の父親が見知らぬ女性と、車の中でガス自殺したのは10年前のことです。

それから間もなく母親が電車に飛び込んで両親の保険金を受け取った悠人は家を出て、それ以来多摩雄に会っていません。

電車を降りた多摩雄を尾行してみると、裏通りの突き当たりにあるプレハブアパートが見えてきました。

足の踏み場もなかった多摩雄の部屋を悠人は片付けて、当面の生活費にお小遣いまで手渡します。

多摩雄の隣に住んでいるのは律子という女性で、お互いに名前も顔も知らない数人の男性たちが共同で囲っている愛人です。

悠人が律子の生活を支える男のうちのひとりとなるのに、それほど時間はかかりません。

週末ごとにアパートに通うようになった悠人は、ある時に多摩雄から父と心中した女について聞きました。

名前はナミ、父の名前は波留雄、5年前のあの時ミハルは10歳、父が事件を起こしたのも10年前。

「ミハル」はそれぞれの「ミ」と「ハル」という音を合わせた名前で、自分の妹であることを悠人は確信します。

【転】アミダサマ のあらすじ③

疑似母子に降りかかる悲劇

筒井千賀子は付きっきりでミハルの世話をしているうちに、我が子のような愛情を感じるようになっていました。

浄鑑のお寺には食べ物やお金を求めるホームレスや旅の僧侶がやって来ることがありますが、ここ数日の間に幾度となく目撃したのは粗末な身なりをした年配の男性です。

気になった浄鑑が鰐淵家の公営住宅を訪ねて確認してみると、人相風体が綿本浩次とぴったり一致します。

千賀子はミハルと会わせたくないばかりに、綿本に言われるまま衣類や食料に現金まで渡すようになりました。

軽度の認知症を患っていた千賀子は被害妄想に捉われるようになり、ミハルを守るために綿本を突発的に殺害してしまいます。

犯行の一部始終を告白した千賀子は夜の雑木林の中に消えていき、浄鑑が追い付いた時には既に自らの命を絶ったあとです。

千賀子を実の母親のように慕っていたミハルは、浄鑑が本堂のアミダ如来の前で弔いの声明を唱えている間にいなくなってしまいました。

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【結】アミダサマ のあらすじ④

あちら側に消えた者とこちら側に残った者

3度目にミハルの声に呼ばれたとき、悠人は律子と救急車に乗っていました。

酸素マスクを装着してストレッチャーの上に寝かされている多摩雄は、肝硬変の末期状態ですでに意識はありません。

病院を飛び出した悠人は導かれるままに浄鑑との再会を果たして、ふたりで千賀子が亡くなった林の中をさ迷い歩きます。

アミダサマになった千賀子に会いに行くというミハルを悠人は懸命に呼び戻そうとしましたが、ついには交信が途絶えてしまいました。

悠人自身もあちら側の世界へと引き込まれそうになりましたが、病院を抜け出して様子を見に来た律子の声で意識を取り戻します。

搬送先で多摩雄が息を引き取って遺体を霊安室に置いているために、なるべく早めに火葬をしなければなりません。

葬儀のことや今後のいろいろな問題については浄鑑が相談に乗ってくれるために、悠人と律子はひと安心です。

不思議な力を使い果たした悠人を律子と浄鑑が左右から支える形で、3人は寺に続く坂をのろのろと下っていくのでした。

アミダサマ を読んだ読書感想

無機質なオフィスの片隅でパソコンのディスプレイとにらめっこしながら、ルーチンワークに明け暮れる主人公・工藤悠人の無表情がオープニングを飾ります。

遠くから送られてきたテレパシーを悠人が受けとることによって、雰囲気がガラリと変わっていくのが面白いです。

血のつながった父親から愛されることがなかった綿本ミハルが、血縁のない筒井千賀子と築き上げていく疑似的な親子関係には心温まりました。

千賀子を愛するあまりに2度と帰ることはなかったミハルと、辛うじてこの世界に踏み止まることができた悠人ととのコントラストが忘れ難いです。

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