志賀晃「スマホを落としただけなのに」のあらすじと結末をネタバレ

スマホを落としただけなのに

【ネタバレ有り】スマホを落としただけなのに のあらすじを起承転結で解説!

著者:志賀晃 2017年4月に宝島社から出版

スマホを落としただけなのにの主要登場人物

稲葉麻美
一般商社の派遣に勤めるOL。30歳の女性。黒いロングヘアの美貌の持ち主。サバサバとした性格でSの気質がある。実家とはうまくいっていない。

富田誠
麻美の彼氏。33歳。サラリーマン。抜けた性格でうっかり携帯を落とし、事件を招く。

毒島徹
都内で起こる、連続女性殺人事件を追う刑事。経験を積んだ刑事であるが、難事件に頭を悩ませる。

加賀谷学
毒島の後輩刑事。共に連続女性殺人事件を追う。

浦野善治
インターネットセキュリティの専門家。実は連続殺人事件の犯人で、スマホを拾った張本人であり、麻美を次のターゲットにしている。

スマホを落としただけなのに の簡単なあらすじ

「スマホを落としただけなのに」のタイトル通り、彼氏がタクシーにスマホを落としたことで、女性が事件に巻き込まれる。拾い主がハッカーであり連続女性殺人事件の犯人であったことで、SNSなどから個人情報が全て奪われ、命すら狙われるという現代を象徴するようなミステリー作品であり映画化もされた話題作である。

スマホを落としただけなのに の起承転結

【起】スマホを落としただけなのに のあらすじ①

物語のきっかけは、スマホ

冒頭は犯人がスマホを拾ったところから始まります。

たまたま座ったタクシーの座席に、前のお客であった富田誠のスマホが取り残され、それを拾った男が運悪くハッカーであり、連続女性殺人事件の犯人でありました。

主人公・稲葉麻美は自分の携帯を使い、落とした彼氏の携帯に確認の電話を掛けることで、男と接触してしまい、彼氏と自分の名前を教えてしまいます。

男は手早くパソコンからフェイスブックにログインし、それぞれの個人情報を検索しスマホのパスワード番号を解析し、携帯の情報を抜き取ります。

画像アルバムの中に、ツーショットなどで映る主人公・稲葉麻美の姿に性的関心を持ち、次のターゲットとして彼女を付け狙い、接触を試みます。

以降は犯人の視点、麻美の視点、そして同時に発生している連続殺人を追う刑事の毒島たち、三つの視点でパートが描かれます。

【承】スマホを落としただけなのに のあらすじ②

もろいセキュリティと人間関係

麻美は男から富山の携帯を返してもらいますが、その個人情報は既に抜き取られており、今度は自分自身の個人情報などもフェイスブックを通じて狙われていました。

また、ラインのデーターを抜き取られ、会話の履歴から二人の住まい、家族関係、会話のやりとり、プライバシーを知られ、画像アルバムからは他愛のないデートの写真から二人の情事の時にふざけて撮ったあられもないヌード写真までもが奪われてしまい、それにより、麻美は男に執着されるようになります。

また、情報を抜き取られただけでなく、フェイスブックなどの友人になりすまし、浮気を偽造したり、元カレと接触させるなど、あらゆる方法でそれぞれの生活にじわじわと影響を与えていきます。

しかし、二人ともまさかスマホを落としたことが原因とは気づかず、ボタンの掛け違いのような不快感を感じながら過ごしていきます。

【転】スマホを落としただけなのに のあらすじ③

とまらないネット被害

刑事二人は、連続発生する、女性を狙った殺人事件の真相を追います。

しかし、捜査は進まず、都内近郊の山中に一人、また一人と女性の埋められた遺体が見つかり、被害は全て「黒髪の若い女性」という共通点しか見つからず、難色を示していました。

その頃、麻美はフェイスブックを通じて再会した元カレ・武井との接近や、フェイスブックのコメントでやり取りをしている男・小柳と交流していきます。

この二人の男とのやりとりの描写が、誰が犯人かを想像させます。

その後、富山の携帯の情報が抜き取られるというハプニングになりますが、フェイスブックを通じて再会した友人のシステムエンジニアから紹介された男性・浦野の手助けで、富山のスマホは無事に助かり、麻美は浦野に信頼感を寄せます。

しかし、今度はなぜか小柳から、自分のヌード写真を暴露すると画像を見せつけられて脅されたり、フェイスブックを乗っ取られ武井との密会の写真を自分のページに投稿されられたりと、大変な目に遭い、浦野に相談し解決してもらいます。

【結】スマホを落としただけなのに のあらすじ④

ふたつのなりすまし

刑事二人は被害者はいずれも地方出身の単身で暮らす水商売や風俗嬢の女性と突き止め、「波多野敦史」という男を容疑者として探し始めます。

一方麻美は、浦野とバーで飲んでいたが、お酒に催眠薬盛られてしまい、攫われてしまいます。

山中の物置に麻美は裸で拘束され、浦野が富田の携帯を拾ったこと、フェイスブックを利用し、友人のエンジニアや小柳になりすましたこと、そして世間を騒がす連続殺人犯だったことを知らされます。

そしてもう一つ、自身の秘密が暴かれてしまいます。

稲葉麻美は偽名でであり、かつて一緒にシェアハウスをして暮らしていた友人の名前で、自分はAV女優・渚さゆりであったこと。

彼女が自殺をし、その戸籍や立場が欲しくて、整形し稲葉麻美として生きていたことが明かされてしまいます。

他の被害者と同じように殺されそうなった寸でのところで、富山と刑事に助けられ、浦野は逮捕され事件は解決します。

なりすましたのは犯人だけでなく、自分もであったことを富山に知られてしまい失意の麻美でしたが、事件後に富山から「新しい戸籍で人生をやり直そう」いうメッセージを受け取り、涙したところで話が終わります。

スマホを落としただけなのに を読んだ読書感想

主人公・犯人・刑事と三つの視点が巧みに描かれながらも、シンプルで読みやすい構造でどんどんページが止まりませんでした。

誰にでもありえる事件のきっかけが物語の現実性を膨らませて、終始緊張感をもって進みます。

ミステリー要素もさることながら、主人公の麻美はどこにでもいそうなアラサーの女性で、仕事、結婚に悩む姿は等身大の女性の共感を与えます。

たまに描写される恋愛のシーンも艶めかしく、犯人の性的な嗜好を覗く文章は読んでいて本当に鳥肌が立ってしまいます。

セキュリティ面では、パスワードやロックの必要性を再認識することが出来、自分のスマホの扱い方を見直す機会にもなります。

劇場版では、北川景子をはじめ、有名な俳優が出てきてストーリー展開も違うようなので合わせて楽しんでいただけたらなと思います。

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