【ネタバレ有り】十二人の死にたい子どもたち のあらすじを起承転結で解説!
著者:冲方丁 2016年10月に文藝春秋から出版
十二人の死にたい子どもたちの主要登場人物
1番 サトシ(サトシ)
本作の主人公にあたる自殺志願者のサイト管理人の少年。母が兄を刺し父が自殺した過去を持ち、それ以降「死」に囚われている。
2番 ケンイチ(ケンイチ)
最初に部屋に入ってきた少年、人生にすでに絶望していて自殺することを考えている。孤立することをとても嫌がる。
3番 ミツエ(ミツエ)
ロリータファッションの少女、自殺を考えている理由は、死んでしまったアイドルのあとを負うため。積極的で感情的な性格をしている。
4番 リョウコ(リョウコ)
女優の娘で天才子役だった過去がある。マスクで素顔を隠している少女。母親たちの束縛から逃がれるために自殺を考えている。
十二人の死にたい子どもたち の簡単なあらすじ
場所:廃病院。
ミッション:集団安楽死。
ルール:死に方が12人全員一致すること。
メンバー:見知らぬ12人の子どもたち。
自殺志願者のサイト管理人の少年と、自殺を望む子ども達十一人の合計十二人は、集団安楽死をするために廃病院に集まった。
廃病院にある金庫を開けると、そこには一から十二の人数分の数字が並べられている。
この数字を手に取り、それぞれに番号が与えられる。
十二の数字を持つ子ども達が集まった時、部屋のベッドに十三人目の少年の生温かい死体が横たわっていたことで、すべてが変わっていく…。
十二人の死にたい子どもたち の起承転結
【起】十二人の死にたい子どもたち のあらすじ①
集団安楽死をするために、十二人が集まった廃病院のベッドの上で、すでに1人の少年が死んでいた。
集団安楽死のルールは、12人の死に方が全員一致すること。
そこに、もう1人がいることは、ルールを違反した誰かが彼を殺したということ。
ルールを違反したのは誰なのか、そこで死んでいる十三人目の少年の死体は、まだ生あたたかくそれほど時間が経過していないことを意味していた。
見知らぬ少年少女12人が廃病院に集まり、全員一致する死に方で集団安楽死をするというミッションが、崩壊してしまった。
ミッションを決行するべきか、やめるべきか、犯人を探し出すべきか…彼らは悩み、全員一致というルールに従って、十二人の子どもたちは多数決を取ることにした。
【承】十二人の死にたい子どもたち のあらすじ②
集まった、十二人の子どもたちは、集団安楽死の主催者1番のサトシの進行でそれぞれが死にたい理由を話しだす。
サトシの定めたルールは多数決による投票制度。
全員一致で死ぬという集団安楽死は、投票でひとりでも賛成しない場合は実行されない。
その場合は、30分の話し合い「議論」が行われる。
話し合いが終わると、再度投票が行われるが、それは全員が賛成するまで続けられるというルールだ。
最初の投票ではケンイチが反対したことで、話し合いがスタートした。
2番は学校でいじめられているケンイチ
3番はゴスロリの少女ミツエ
4番はマスクをした少女リョウコ
5番は思考することが得意な探偵役のシンジロウ
6番は多数派に所属して安心感を覚えるメイコ
7番は議長タイプのアンリ
8番はたどたどしい口調をしたタカヒロ
9番は学校でいじめにあっていたがとある事件に関係しているノブオ
10番は見るからに怖そうな雰囲気のセイゴ
11番は援助交際をしているギャルのマイ
12番は最年少のユキ
そして、0番目の死体の少年が誰なのか、白熱の話し合いが始まる。
【転】十二人の死にたい子どもたち のあらすじ③
最初に話し合う議題は、死んでいる少年の正体を明らかにすることでした。
しかし、議論はすぐに「誰が十三人目0番を殺したのか?」に変わっていきます。
どうやら、ゼロ番の少年は車イスを使用していたようで、死体の近くには車いすが残されていた。
車イスで、この廃病院の中に入ることはできないため、殺したあとにゼロ番は連れてこられた可能性が高い。
一番怪しいのは、もっとも最初にきた人物だ。
しかし、彼らの持つ数字は、ここに来た順番ではないためはっきりと何番めに誰が来たのかがわからなかった。
主催者であるサトシは、集合場所の鍵を9時に開けて中を見回っているが、そのときには少年の遺体はなかった。
そのあとに参加者が集まり、気づいたときには死体はそこにあったのです。
誰が犯人なのか、サトシより早く来た人物が誰なのか、話し合いが進みます。
【結】十二人の死にたい子どもたち のあらすじ④
それぞれが死にたい理由、そしてそれぞれが持つ数字、1番最初にここに来たのがサトシ、13番目の少年は車イスを使用していて1人でくることはできない。
これらわかったことをもとに、さらに議論は白熱していく。
しかし、ここで話したことがすべて事実とは限らない。
サトシよりも先にきた人物は誰ひとり名乗りでることはなく、誰が何番目に来たのかを明らかにするためには、誰かがついている嘘を見つけなくてはいけないのだ。
ここにいるのは、顔もしらない十二人の子どもたち。
そして、話し合いは進んでいき、全員一致のないまま集団安楽死が果たせないまま、真実が明らかになっていく。
そこに死んでいる少年は、それぞれが自殺したい理由と順番を見ることで謎が解けていくのだ。
その真実を実際に読んで見てほしい。
十二人の死にたい子どもたち を読んだ読書感想
衝撃的な小説だと感じました。
十二人の子どもたちが、それぞれ自殺を望み、集まり、集団で死のうとしているという現代に本当にあるのではないかという内容が、リアルでした。
読むきっかけは、映画化されることが決まったからですが、映画を見る前に読んでおくことができて良かったです。
それだけ、本の中ではたくみに読者や登場人物に思い込ませるトリックを使っており、最後にはすっきりと読み終えることができました。
それぞれの死にたい理由が、大人から見るとあまり大したことないと感じることですが、だからこそあり得るのではないでしょうか。
本作を友だちや家族と読み、真実にどこで気が付くのか比べるのも面白いと思います。
それくらい推理小説としても読みごたえがある本でした。
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