「悪と仮面のルール」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|中村文則

「悪と仮面のルール」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|中村文則

【ネタバレ有り】悪と仮面のルール のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:中村文則 2010年6月に講談社から出版

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悪と仮面のルールの主要登場人物

久喜文宏(くきふみひろ)
本作の主人公。香織を守るため整形手術を受け、他人の身分を手に入れる。

久喜香織(くきかおり)
久喜家の養女。久喜家を出た後はホステスとして働いている。

久喜捷三(くきしょうぞう)
主人公の父。邪を文宏に継がせようとしている。

久喜幹彦(くきみきひこ)
文宏の兄。

探偵の男
香織の調査を文宏から依頼される。

小西あずさ(こにしあずさ)
探偵の男の部下。香織の働くクラブにホステスとして潜入する。

吉岡恭子(よしおかきょうこ)
文宏が暇つぶしに声をかける女性。文宏を気遣う。

悪と仮面のルール の簡単なあらすじ

文宏は11歳の時、年老いた父、久喜捷三から『邪(じゃ)』の存在を告げられます。『邪』として育てられる運命の文宏と『邪』に『損なわれる』運命の香織。香織を救うために顔を変え、別人になりすますことで香織の幸せを守ろうとする文宏ですが、様々な人間の悪意が彼らだけでなく世界を巻き込んで大きくなっていきます。香織を守るために悪を働き、香織を守るために悪を断ち切ろうともがく文宏の運命が書かれています。

悪と仮面のルール の起承転結

【起】悪と仮面のルール のあらすじ①

第一部 過去

文宏は11歳の時、年老いた父、久喜捷三から『邪(じゃ)』の存在を告げられます。

『邪』とはこの世を不幸にする悪の欠片のことで、久喜家の人間は以前から余興として度々この世界に『邪』を生みだしていました。

父は、この世界を壊したいと思うような地獄を文宏に体験させることで、文宏を『邪』として育てるつもりなのです。

久喜捷三は文宏に地獄を見せるために、児童養護施設にいた香織という少女を養女として久喜家に迎え入れます。

父は文宏に『邪』について告げるつもりはありませんでしたが、香織が久喜家にやってきた日、泥酔していました。

文宏を子供だと侮り、どうせすぐ忘れるだろうと酒の勢いに任せ気まぐれに文宏に話をしたのです。

14歳で地獄を見せると告げられた文宏は、その日から父を消すことについて考えるようになりました。

久喜家の兄弟は私立の学校に通っていましたが、文宏は『邪』として育てるために公立の小学校に通わされています。

裕福な家庭を持つ自分がクラスメイトから警戒されないよう、文宏は明るく不真面目な少年のように演技をしていました。

香織の前でも明るい少年の演技をしていましたが、ある日香織は文宏の部屋で、髪の毛や爪の入った箱を見つけます。

それは文宏が、屋敷に落ちている髪の毛や爪を集めたものでした。

早くに亡くなった母のものではないかと考えると文宏はどうしても辞められないのです。

香織はそんな文宏を否定することはありませんでした。

中学校も一緒に通うことになった2人の距離は日に日に近くなり、文宏は香織に告白します。

そして、香織は毎晩のように文宏の部屋を訪れることになりました。

しかし14歳になる半年前、文宏は香織の様子がおかしいことに気が付きます。

ある晩後を付けてみると、父の部屋で裸になって立っている香織がいました。

いつかもっと酷いことをされるかもしれないと怯える香織を見て、文宏は14歳になる前に父を殺すと決めました。

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【承】悪と仮面のルール のあらすじ②

第二部 過去/現在

ーー現在ーー非正規の形成クリニックで、20代の文宏は新谷弘一という30代の人物の顔を手に入れました。

海外ブローカーから新谷弘一の身分を買った文宏は、久喜正三と深いつながりのある探偵の男を雇い、久喜香織の消息と、彼女の望みを調べてほしいと依頼します。

ーー過去ーー父の殺害を計画していた文宏は、父が地下室に入る所を追いました。

文宏が自分を殺そうとしていると気づいても父は抵抗しませんでした。

久喜捷三は、自分の手で地獄を見せる事はできなくても、父を殺す事で文宏が『邪』となることに変わりはないと言い切ります。

死を前にしても表情を変えることなくそう予言する父に耐えきれず、文宏は地下室のドアを閉めました。

父を閉じ込めたその日に、2人は初めて体を重ねます。

ーー現在ーー探偵の男の調査で、香織は六本木の高級クラブでホステスとして働いていることがわかりました。

そして、香織の望みを調べるために、小西あずさを香織の監視役としてクラブに潜入させます。

しかし、調査の過程で、香織の動向を調べている人物が文宏達以外にもいることがわかったのです。

ーー過去ーー文宏が父を地下室に閉じ込めてから3ヶ月ほどたちました。

屋敷の中が騒がしくなるにつれて、文宏は体調を崩していきました。

酷く痩せた文宏の顔には父の面影が呪いのように張り付いていました。

香織は父にそっくりな文宏を受け入れることができなくなってしまいます。

香織は屋敷から離れることになりました。

香織を襲って自分も死のうと考えていた文宏でしたが、久喜家から自由になりすっかり明るくなった香織を見て、文宏は思いとどまります。

父を殺した文宏ですが、香織を『損なう』ほど自分の中の悪意は育っていなかったことに気が付きます。

だからといって香織とはもう一緒にいることはできません。

文宏は、自分の人生の重要な何かが終わってしまったことを感じながら歩きだします。

【転】悪と仮面のルール のあらすじ③

第三部 現在

ーー現在ーー探偵は香織に近づく矢島と言う男が、覚せい剤の常習者であることを突き止めます。

文宏は矢島に近づき、覚せい剤と偽りシアン化化合物を渡し殺害しました。

矢島を殺害してしばらくすると、会田という男が文宏の家を訪ねて来ます。

会田は刑事で、新谷弘一が過去に関わった事件に執着しているようです。

会田に疑惑の目を向けられていては動きずらいため、文宏は探偵に連絡を取ります。

新谷弘一と矢島は直接接点はないため、文宏が新谷弘一を演じ続けることで会田の目をごまかすことができると探偵はアドバイスします。

文宏は以前矢島とあったクラブに行きました。

行きつけの店という印象を会田に与えることで、矢島との接点をごまかすためです。

そこで文宏は吉岡恭子に声をかけます。

金に困っているという恭子に金を払いホテルに行きます。

ホテルで見たテレビでは、JLというテログループが総理大臣にふざけた要求をしていると放送しています。

その時、「久喜文宏さんですね。」

知らない男からの電話でした。

男から再度電話があり、文宏が邪の家系だということ、そして明日指定した場所にこなければ香織に危害が及ぶと告げられます。

待ち合わせ場所に行くと若い男が待っていました。

伊藤というその男は、やってきた人物が文宏ではないことに混乱しているようでした。

伊藤は文宏の存在は知っているものの、整形のことまでは知らないようです。

そこで、文宏が自殺してしまったので原因を探るため香織を調査していると嘘をつきました。

伊藤はJLのメンバーであり、久喜家の一族である『邪』の血を引いていました。

JLのメンバーである彼は、テロ行為を継続するため久喜家の財産に目を付けたのです。

金を持ってくるよう告げ、伊藤は去っていきます。

探偵から連絡があり、香織を調べていた人間が久喜幹彦だと分かります。

久喜幹彦は久喜捷三の次男であり文宏の腹違いの兄でした。

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【結】悪と仮面のルール のあらすじ④

第四部 現在

文宏の部屋に久喜幹彦の秘書が訪ねて来ます。

幹彦は父にそっくりな男で、新谷弘一の顔をした目の前の人物を文宏だと見抜いています。

そして、自分を殺さなければ自分が香織を『損なう』と告げます。

文宏は伊藤から預かっていた爆弾を久喜幹彦の前に置きます。

私はあなたを殺さない、爆発する30分間のうちに自分で死ぬか生きるか選べ、そう言って、爆弾のスイッチを押して部屋を立ち去ります。

翌日、久喜幹彦が亡くなったことが判明します。

JLのメンバーの公開捜査が始まり、幹彦も死亡したことによって香織を狙う人物はいなくなりました。

その後香織から連絡があり、2人でドライブをすることになりました。

香織は少しずつ自分の生い立ちを話し始めます。

幹彦が自殺の可能性があるとニュースで報じられているのを知り、もしかしたら捷三も自殺だったのかもしれないと香織は思います。

自分を責める香織に、文宏は捷三は暴力団に殺されたんだと嘘をつきます。

そして自分は久喜文宏の友達だと続けます。

文宏は今は結婚して子供もいて、香織と過ごした日々と同じように幸せに暮らしていると泣きながら嘘をつき続けます。

やっとのことでバックミラー越しに香織を見ると、香織も泣いています。

私も元気でいると、ありがとうと伝えてください。

その言葉を聞いて、文宏はもう二度と訪れないと思っていた暖かさを体の内部に感じました。

日本を離れるため搭乗口に向かうと、そこに恭子がいました。

探偵が恭子に飛行機の時間を教えたのです。

一人で遠くに行くのは辛いからと文宏を気遣う恭子と共に、2人は飛行機に乗ります。

席に座り、恭子は自分の事を話したいから、まず文宏の事を教えてほしいと頼みます。

文宏が11歳のころ父の書斎に呼ばれたことを話しはじめると、窓から入る太陽の光が恭子の目に映ります。

その小さな光が自分を照らしたことを、いつまでも覚えておこうと文宏は思いました。

悪と仮面のルール を読んだ読書感想

玉木宏が主演した映画の原作です。

『邪』や『損なう』という表現が多く、とっつきにくく感じる方もいるかもしれません。

実際映画では皆じゃーじゃー言ってるので、口頭ではしっくりこないなぁと残念に思いました。

しかし原作ではこの『邪』という表現によって、主人公である文宏の苦しみをより強く感じることができます。

過去→現在→過去と時間が進んでは戻る構成で、文宏が過去も現在も香織を大切に思っていることが痛いほどわかります。

だからこそ、香織を守るために何度も犯罪に手を染め続ける文宏を見てられなくなります。

人間はなんて残酷で無常なんでしょう。

久喜家の人間が絶望し『邪』を生み出す心境を追体験させられる気分になっちゃいます。

読んでるこっちも荒んだ気持ちになってきて、あれ?私ちょっと『邪』になっちゃってない?てかもう文宏も『邪』になっちゃったほうが楽になれるんじゃね?って感じですが、必ず最後には文宏と同じように前を向いて歩いていこうと思える素晴らしい作品です。

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