「ストロベリーライフ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|萩原浩

「ストロベリーライフ」

【ネタバレ有り】ストロベリーライフ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:萩原浩 2016年10月に毎日新聞出版から出版

ストロベリーライフの主要登場人物

望月恵介(もちづきけいすけ)
フリーのグラフィックデザイナー 父が倒れたことを機に実家の農業を手伝う

望月美月(もちづきみつき)
 恵介の嫁 実家に入り浸り農業に精を出す恵介に戸惑いを覚える

望月銀河(もちづきぎんが)
恵介と美月の子供


恵介の父 静岡県で農業を業にしているが、脳梗塞で倒れてしまう


恵介の母 帰ってきた息子と共に農業を行う

ストロベリーライフ の簡単なあらすじ

静岡の父が脳梗塞で倒れ、ひょんなことから実家の農家を手伝うことになった恵介..農業に対しては素人の恵介は作物を作る過酷な生活に振り回されながらも、農業に対してやりがいと愛情を感じるようになります。夫が農業にのめり込んで少しずつ変わっていくことに妻は戸惑いと不安を感じるようになります。農業と家族との間に板挟みになりながらも、恵介は作物の栽培に真摯な姿勢と愛情を持って取り組むのでした。作物を作るやりがいと現実との間に葛藤を描いたお話で、読み終わった後は誰でも幸せな気分になることができます。

ストロベリーライフ の起承転結

【起】ストロベリーライフ のあらすじ①

農業なんてやりたくない

恵介は東京の事務所でフリーのグラフィックデザイナーをしています。

仕事が中々入って来ず悩ましい日々を送っていました。

そんな恵介のもとに実家の母から父が脳こうそくで倒れて入院したという電話が入ります。

妻と子供を連れて病院に駆けつけると、父は一命は取り留めたモノのリハビリが必要な体になってしまいました。

恵介の実家は農家をやっており大黒柱の父が倒れたことで母が全ての負担を背負うことになってしまい、見かねた恵介は実家の農業をしばらく手伝うことにします。

実家ではイチゴを育てておりイチゴの栽培に対して、無知な恵介は四苦八苦しながらイチゴの栽培に取り掛かります。

東京の家と静岡の実家を行き来する生活が続き、恵介はイチゴの栽培にのめり込んでゆき、東京にはほとんど帰ってこなくなりました。

美月は東京育ちのため、農業に対して理解がなく、実家に入り浸る恵介に対して不満を募らせてゆきます。

農業を行うウチに恵介はいかに農業が大変で、苦労の割に対価が見合わない商売なのだということを痛感します。

農業の収入だけでは収入面に不安があるため、恵介はパソコンを実家に持ち込んで、本業のグラフィックデザイナーの仕事とイチゴ農家の仕事を兼業することにしました。

【承】ストロベリーライフ のあらすじ②

農業の現実

恵介は同級生のガスに再会します。

実家の農家を継いだガスは、イチゴ農家で生計を立てていました。

ガスが運営するハウスに案内された恵介は自分の家とはまた違った栽培形態に目を丸くします。

いかに自分が素人なのかと痛感した恵介はプライドを捨てて、自分の先を行くガスに恵介は教えを乞うようになります。

恵介は自分で調べたことや、ガスに教わったことを取り入れてイチゴの栽培に取り組むのでした。

徐々にイチゴの栽培の技術が向上してきた恵介は、自分で作った美味しいイチゴの味に感激を覚え、ますます農業にのめり込んでゆきます。

地元の子供たちにハウスを見学させて、自分の作ったイチゴをおいしそうに食べる子供たちの顔を見た恵介は自分が作ったイチゴを美味しそうに食べる人の顔をもっと見たいと思うようになるのでした。

農業にのめり込んでゆく恵介を快く思わない美月との間に溝が生まれるようになり、夫婦関係は次第にギクシャクとしてゆきます。

恵介は農業と家族との間に板挟みになりながらも、懸命にイチゴのために汗水流して働くのでした。

【転】ストロベリーライフ のあらすじ③

農家の幸せ

農業にのめり込む恵介に業を煮やした美月は、家事を支えるために行っていたパートをやめて、結婚前に就いていた手のモデルの仕事に復帰します。

モデルの仕事は収入も良く、恵介がいなくても息子の銀河と2人で生きていけるという思いを美月は抱きます。

美月が仕事の時は、銀河の面倒は美月の母に見てもらうことが多かったのですが、予定が合わなくなったため、銀河を静岡の恵介の元に預けて美月はしばらく遠くで働くことになりました。

イチゴ栽培とグラフィックデザイナーの仕事に忙殺されながらも恵介は銀河と共に静岡で生活できることを喜びます。

自分の栽培したイチゴや野菜を美味しそうに食べる息子たちの顔を見て恵介の胸に幸福が宿るのでした。

恵介と銀河から離れて、いかに2人の存在が自分にとって大きい物だったのかというものを美月は実感することになります。

恵介との出会った頃を思い出し、美月は家族全員で一緒に暮らしたいと思うようになるのでした。

【結】ストロベリーライフ のあらすじ④

ようこそ!望月〇農園へ

恵介の父も脳梗塞から快方し、農業に四苦八苦する恵介に教えを与えるようになります。

持ち前のグラフィックデザイナーとしてのスキルを活かして、恵介はホームページを立ち上げます。

イチゴの取引相手を世界に広げた結果..香港から大口の買い注文を貰えるくらいに評価がされるようになりました。

イチゴの栽培を行いながら、恵介は新しい農業形態に思いを馳せるようになります。

恵介の思い描く農業形態は、自分の作った作物を目の前でお客さんに美味しく食べてもらう事でした。

ハウスを解放しお客さん達に直接イチゴを食べてもらうと言う経営手法に挑戦してみた結果、お客さん達の反応は上々で、ストロベリーライフという名前の恵介が運営するブログを見た美月は、愛する夫の奮闘する日々を見て夫と子供と一緒に静岡県で暮らすことを決意します。

恵介に自分の運営する農場に遊びに来てほしいと便りを受け取った美月は喜んで、静岡の農場へと向かいます。

最後は美月と恵介が無事再会し、一家は静岡県で幸せに暮らすのでした。

ストロベリーライフ を読んだ読書感想

この小説を読んでいて私は久しぶりに心が暖かくなるのを感じました。

東京で働いている今時の都会人の恵介が土にまみれながら農業に奮闘する日々を描いた作品で、作物を育てる苦労や苦難が丁寧に描かれています。

恵介のイチゴに対する愛情が伝わってきて、イチゴが無事成長した時には恵介と共に喜びを分かち合ったような気がします。

農家を経営する苦しみや、都会人の夫が突然土まみれの農夫になってしまい、妻美月の葛藤も非常に細かく描かれています。

価値観の違いから少しずつ冷え込んでゆく夫婦関係にもリアリティがあり、このまま二人は別れてしまうのかな?と途中は思いました。

しかし、家族の絆を取り戻した一家が最後に再会した時は、これこそ家族のあるべき幸せの形だな..と思いました。

農業にまったく関わった事のない人でも、先が気になり最後まで読んでしまう本です。

ほっこりした気分になりたい人に読んでもらいたいおすすめの一冊です。

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