【ネタバレ有り】レイクサイド のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:東野圭吾 2002年3月に実業之日本社から出版
レイクサイドの主要登場人物
並木俊介(なみきしゅんすけ)
アートディレクター。 妻の美菜子とは再婚で息子・章太と血縁はない。
藤間(ふじま)
藤間病院の院長。 姫神湖に別荘を所有する。
高階英理子(たかしなえりこ)
俊介の部下。
坂崎洋太郎(さかざきようたろう)
妻・君子と息子の卓也の3人家族。
関谷靖子(せきたにやすこ)
美菜子の大学時代の友人。 息子の名前は春樹。
レイクサイド の簡単なあらすじ
有名私立中学校の合格を目指す4組の親子が泊まり掛けで合宿を行っているのは、都内から中央自動車で2〜3時間程度かかる姫神湖別荘地です。並木俊介は妻・美菜子の浮気相手がこの別荘に来ていると調べ始めましたが、逆に自分の愛人・高階英理子を何者かに殺害されてしまいます。美菜子はあっさりと犯行を認めますが、世間体を気にする他のメンバーによって予想外の事態へと発展していくのでした。
レイクサイド の起承転結
【起】レイクサイド のあらすじ①
並木俊介の息子・章太は私立中学校への入試を控えていて、姫神湖の畔で行われている合同合宿に参加していました。
保護者が滞在する本館とは別の貸別荘で、子供たちは講師の津久見の授業を受けます。
この別荘の持ち主は藤間で、彼の息子の直人も章太と同じ修文館中学校の受験生です。
俊介の妻・美菜子と関谷靖子は大学時代から付き合いがあり、建築家の夫と息子・春樹を紹介されました。
坂崎洋太郎は来て早々にテニスコートで汗を流していましたが、妻の君子は病弱なために部屋で休んでいます。
俊介の真の目的は息子の勉強を見守ることではなく、藤間たちと交流を深めることでもありません。
愛人でもあり調査会社に勤めていた経験もある高階英理子を使って、妻の浮気の証拠を掴むことです。
俊介は近くのレイクサイド・ホテルで英理子と待ち合わせをしていましたが、いつまでたっても現れません。
別荘に引き返すと、俊介と美菜子の客室に英理子が血を流して倒れていました。
【承】レイクサイド のあらすじ②
高階英理子から離婚を迫られたショックから電気スタンドで撲殺してしまったと、美菜子は涙ながらに告白しました。
騒ぎを聞きつけて他の3組の夫婦も現場にやって来ましたが、誰ひとりとして警察に通報しようとしません。
自分たちの周りから殺人犯を出すことによって、子供の入試に影響が出たり社会的なダメージを受けることを心配しています。
その場に居合わせた8人が議論の末に選択したのは、英理子の遺体を姫神湖に遺棄することです。
医者の藤間の指示に従って、英理子の指紋をライターで焼いて顔面と歯をつぶしました。
死体をビニールシートで包んでロープで縛ると、関谷のワゴン車で外に運び出します。
湖の貸しボートは夜間には放置してあるために、無断で使用可能です。
ボートに乗り込んだ俊介は、藤間から手渡されたドッジボールほどの大きさの石を重しにして英理子を湖の底に沈めました。
俊介は美菜子の罪を隠すために皆が一致団結していることと、藤間が手際よく大きな石を用意していたことに疑問を抱いていきます。
【転】レイクサイド のあらすじ③
別荘に戻る頃には女性陣が電気スタンドの破片と血痕を始末し終えていて、子供たちは津久見と貸別荘で勉強しているために気付くことはありません。
次の日の朝になると高階英理子が泊まっていたホテルを、背格好が似ている美菜子が彼女の代わりにチェックアウトしました。
俊介は高井戸にある英理子の自宅へ車で向かい、彼女が姫神湖に行ったことを示すものがないか確認します。
クローゼットの中から出てきたのは、美菜子が住宅街にある1軒の家に入っていく瞬間を捉えた写真です。
藤間が封筒のようなものを渡している写真や、津久見がファミリーレストランで2人の男性と同席している写真もあります。
藤間たちは津久見から修文館中学校の職員を紹介してもらい、試験に出題される問題を教えてもらっていました。
ある者は多額の現金を手渡して、またある者は自らの体を差し出して。
俊介が美菜子が浮気をしていると勘違いしてしまったのは、彼女が学校関係者から肉体関係を迫られていたからです。
【結】レイクサイド のあらすじ④
子供たちを先に貸別荘に帰してカギをかけた俊介は、本館のリビングに全員を集めました。
真相を話してもらえない場合は不正入試を通報すると脅して、高階英理子の死の真相を聞き出します。
写真をネタにして津久見を脅した英理子が殺害された場所は、並木夫妻の客室ではなく貸別荘の側の小さな空地です。
彼女の死体の横には「頭がよくなる靴」として有名な、子供たちがおそろいで履いている運動靴の足跡がありました。
側にはドッジボールほどの血のついた石が落ちていて、4人の子供たちの誰かに殺害されたことを物語っています。
4分の1の確率で自分の子供が殺人犯になってしまうために、親たちは結束して事件を隠匿しようとした次第です。
話を聞いた俊介は警察に行こう車に乗り込みましたが、 運転席に肩こりがひどい父親のために章太が手作りしてくれたマッサージ機を見つけます。
愛人の手から父を取り戻すために息子が罪を犯したことを確信した俊介は、全てが湖の底から消え去るまで秘密を守り抜くことを誓うのでした。
レイクサイド を読んだ読書感想
自分の子供を名門の私立中学校に入学させるためには手段を選ぶことのない、 親たちの異様なほどの入れ込みようにはあきれてしまいました。
現実の世界で次から次へと明らかになっている、 入試問題の漏えいや裏口入学といったタイムリーな社会問題を思い浮かべてしまうはずです。
主人公の並木俊介が英才教育の権化のような藤間に対して言い放つ、 「子供はもっとのびのびと育てるべき」というセリフには考えさせられます。
理想を並べ立てて正義感から真実を追い求めていく俊介に、クライマックスで待ち受けている思わぬ落とし穴には驚かされました。
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