【ネタバレ有り】殺人現場は雲の上 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:東野圭吾 1989年7月に実業之日本社から出版
殺人現場は雲の上の主要登場人物
早瀬英子(はやせえいこ)
ヒロイン。東京大学を中退して新日本航空へ入社する。愛称「エー子」。
藤真美子(ふじまみこ)
英子の同期入社のフライトアテンダント。愛称「ビー子」
本間(ほんま)
大学で心理学を教える助教授。
田辺秀一(たなべしゅういち)
本間の妻の甥っ子。
殺人現場は雲の上 の簡単なあらすじ
第一次試験から最終面接を全てトップの成績で突破して、早瀬英子は客室乗務員になります。入社試験をボーダーラインぎりぎりで通過した冴えない藤真美子とは不思議と気が合って、ふたりは「エー子」と「ビー子」のコンビ名で有名です。ある時に仕事で鹿児島市内のホテルに滞在していたふたりは、殺人事件へ巻き込まれていくのでした。
殺人現場は雲の上 の起承転結
【起】殺人現場は雲の上 のあらすじ①
新日本航空乗務員の鹿児島での宿泊先は、空港からタクシーで10分程度離れたKホテルと決まっていました。
9月2日、ホテル内のスナックには客室乗務員の早瀬英子と、同期の藤真美子がビールを豪快に飲み干しています。
ふたりが「エー子」と「ビー子」といった渾名を付けられのは、勤務時間が終わった後もずっと一緒にいるからです。
助教授の本間がエー子とビー子の席に近づいてきたのは、店内の時計が午後9時を差そうかという頃でした。
本間の顔・名前・職業を記憶していたのは、今日彼女たちが乗務した飛行機の中で腹痛騒ぎを起こしたからです。
一緒にこのホテルに滞在している妻のために、本間は通りかかったウェイターにサンドイッチを注文して客室まで運ばせています。
すっかり意気投合した3人はその後4時間くらいはお酒を片手に話し込んでしまい、時刻が午前1時を回りかけたところでようやくお開きです。
エー子たちが自室に引き上げた直後に、大きな叫び声が聞こえました。
【承】殺人現場は雲の上 のあらすじ②
声の主は本間で、夫婦の部屋はエー子とビー子が泊まっているツインルームからは4つ離れた場所にありました。
エー子が駆け付けた時に本間の妻は既に息がなく、フロントに電話をかけて地元の警察を呼びます。
遺体の第2発見者となってしまったエー子たちの事情聴取を行うのは、県警の望月刑事です。
望月の話では本間の妻の死因は窒息死で、解剖の結果胃の中から未消化のサンドイッチが残っていたために死亡推定時刻は午後9時半から10時と判明しました。
Kホテルの全客室はドアを閉めるだけでカギがかかるオートロック完備なために、そう簡単には部外者は侵入出来ません。
徐々に警察の疑いの目が被害者の夫に向けられていく中で、彼のアリバイはビー子の証言によって証明されます。
本間は9時前にエー子たちの席にやってきて、午前1時までは1度も席を立っていません。
ビー子は9時過ぎにトイレに行った時に、ウェイターからサンドイッチを受け取る本間の妻の姿を目撃していたからです。
【転】殺人現場は雲の上 のあらすじ③
エー子たちが本間夫人の甥・田辺秀一から話しかけられたのは、次の日の9月3日にホテルのレストランで遅めの朝食をとっている時です。
望月たちは相変わらずホテルの自動ロックにこだわっていて、中にいた被害者が警戒なくカギを開けるであろう顔見知りの犯行と睨んでいます。
秀一も取り調べを受けたようで、彼には犯行動機がありました。
秀一は父親が亡くなった際に多額の遺残を相続しましたが、その管理を任されたのが本間の妻です。
近頃では彼女は株式投資にハマっていて、秀一の遺産はみるみるうちに減っています。
秀一だけではなく本間も、金遣いの荒い妻には日頃から悩まされていたようです。
華奢で小柄な秀一はウィッグを被ってサングラスをかけると、叔母に成り済ますことが出来るでしょう。
昨日の9時過ぎにビー子が見たのは、本間の妻ではなく変装した秀一でした。
アリバイ工作は崩れましたが、物的証拠がないためにエー子たちの推理に望月は耳を傾けてくれません。
【結】殺人現場は雲の上 のあらすじ④
ディスパッチルームでのパイロットとの打ち合わせ、読書灯からシートベルトまで客席の点検整備、乗務員同士が2人1組になって行う身だしなみチェック。
9月4日、鹿児島空港に着いたエー子たちはフライト時刻が近づくにつれて大忙しでした。
望月はエー子とビー子が執拗に繰り返す「本間・秀一共犯説」に根負けして、本間が妻に食べさせたサンドイッチを鹿児島市内のお店を探し回っています。
出発まで残り15分を迎えると、搭乗客を案内しなければなりません。
東京へ帰るという本間は白い歯を見せてエー子に笑いかけるなど、余裕綽綽といった様子です。
機内の窓から外を眺めたエー子は、滑走路に猛スピードで侵入してきた1台のパトカーを見ました。
運転していたのは望月で、後ろの席には若い刑事と一緒に秀一も乗っています。
エー子は座席でくつろいでいる本間に笑顔を返して、「お客様が御搭乗になられる機は、あちらでございます」とパトカーを手のひらで指し示すのでした。
殺人現場は雲の上 を読んだ読書感想
成績優秀にして容姿端麗なパーフェクトな「エー子」こと、早瀬英子は魅力的なヒロインでした。
ルックスも勤務実績も今ひとつながらも持ち前の天真爛漫さで困難を乗り越えていく、「ビー子」こと藤真美子も可愛らしかったです。
正反対の性格を持ちながら、お互いの足りない部分を補うかのような息の合ったふたりが楽しげに映ります。
機上での華やかな仕事ぶりだけではなく、地上での些末な業務も描かれていて興味深かったです。
急転直下の殺人事件に巻き込まれてながらも、警察顔負けの推理力を発揮して解決へと導いていく展開が痛快です。
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