「ジーキル博士とハイド氏」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|スティーヴンソン

「ジーキル博士とハイド氏」

【ネタバレ有り】ジーキル博士とハイド氏 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:スティーヴンソン 1967年2月に新潮文庫から出版

ジーキル博士とハイド氏の主要登場人物

ジーキル博士
 本作の主人公。医者。穏やかな性格。

ハイド氏 謎の青年。
暴力事件を起こすなど、問題行動が多い。ジーキル博士と同居しているようだが、、、?

アタスン
弁護士。ジーキル博士の法律顧問を務める。

ジーキル博士とハイド氏 の簡単なあらすじ

高名な医者であり善良な紳士であるジーキル博士の家には、いつからか、乱暴な青年ハイド氏が出入りするようになっていた。周りはいぶかしむが、彼が何者でどこから来たのか、誰も知らない。ある日、上院議員が河畔で惨殺される。現場に残された凶器はジーキル博士のものだが、目撃された犯人はハイドだった。はたして二人の関係は?ハイドとは一体何者なのか?事件の謎が解けるとき、二人をめぐる衝撃の真実が明らかに。

ジーキル博士とハイド氏 の起承転結

【起】ジーキル博士とハイド氏 のあらすじ①

ハイド登場

時は19世紀。

とある繁華街の裏町で、少女が踏みつけにされる事件が起きました。

犯人は「エドワード・ハイド。」

民衆に取り押さえられたハイドは、慰謝料として300ポンドを要求されると、了承して路地裏の奥の家に消えて行きました。

民衆は、あんな普通の青年ふぜいに300ポンドも払えるがはずがないと笑っていましたが、家から出て来たハイドは、ちゃんと300ポンドの小切手を持って来ており、そこには「ヘンリー・ジーキル」のサインが書いてありました。

事件の顛末を人づてに聞いたアタスンは、部屋で一人ため息をついていました。

というのも、アタスンは、医者であるジーキル博士の顧問弁護士を務めており、遺言状もすでに預かっているのですが、その中に、自分が死んだときには“ハイド氏”なるものに遺産のすべてをゆずる、と、こう書いてあります。

アタスンはハイド氏がどんな人物かまでは知りません。

会ったこともありません。

ですから、自分が法律顧問を務める医者が財産のすべてを譲っても良いと思えるほどの人物“ハイド氏”が、子供を踏みつけにするようなひどい男であったとわかって、大変なショックを受けたのです。

【承】ジーキル博士とハイド氏 のあらすじ②

カルー殺害事件

一年後、濃い霧がかかった夜のテムズ河畔で、一人の男の死体が発見されます。

男の名はサア・カルー。

イギリスの上院議員を務めていました。

そして、犯人はあのエドワード・ハイドです。

道でたまたま出くわしたカルーを、つまらない口論からステッキで殴り殺したのです。

現場に残されていたステッキはジーキル博士のもので、事件の噂を聞いたアタスンはあわててジーキル博士の家を訪ねますが、ハイドはいません。

ジーキル博士はショックを受けている様子でしたが、「僕は二度とあいつには会わないつもりだ」とアタスンに宣言します。

ハイドはそのまま行方知れずになります。

その二ヶ月後、ジーキル博士とアタスンの共通の友人であるラニヨン博士から、アタスン宛に遺書が届きます。

しかし、その手紙の表書きには、なぜか「ジーキルが死亡または失踪するまで開封するべからず」との但し書きがあったため、アタスンはその遺書を開封せずにそのまま置いておきました。

【転】ジーキル博士とハイド氏 のあらすじ③

ジーキル博士死亡

ジーキル博士の死ある日アタスンの元に、どうやらジーキル博士がハイドに殺されたらしいといううわさが舞い込みます。

アタスンは事の真偽を確かめにジーキル博士の家に向かいます。

そこでアタスンが見たものは、ジーキル博士の服を着て、実験室の真ん中で倒れているハイド氏の姿でした。

身体はまだけいれんしていましたが、毒を飲んだらしく、助からない事は誰の目にも明らかでした。

アタスンはジーキル博士を探して家の中を歩き回ります。

博士は見当たりませんでしたが、事務室の机に積まれた書類の上に、アタスンは、自分の名前が書かれた封筒を発見します。

中を見ると、それは遺言状で、そこには、アタスンを相続人とする旨が記されていました。

さらにもう一通、同封されていた手紙はまるで遺書ともとれる内容で、アタスン宛に、“今から自分はある告白をするが、その前に、ラニヨンから君が預かっている手紙を読んでほしい”ということが書いてありました。

アタスンは、言う事を聞いて、ラニヨンの手紙を読みに家に帰ります。

【結】ジーキル博士とハイド氏 のあらすじ④

ジーキル博士とハイド氏

アタスンはまずラニヨンの手紙を読みます。

そこには、カルー殺害の二ヶ月後に、ジーキル博士から、“実験室の机の三段目の引き出しを抜き取って君の自宅に運んでくれ”という奇怪な依頼があったこと、依頼の通りに引き出しを持ち帰った当日の夜中、自宅にハイドが現れたこと、そのハイドが引き出しの薬を飲むと背が伸びてジーキル博士の姿になったこと、つまり二人は同一人物だったのだ、、、といったことが書かれていました。

ラニヨンはこの時の出来事にショックを受け、不眠症にとりつかれ、徐々に身体を悪くして死んでしまったのです。

アタスンは、つづけて、ジーキル博士の手記も読みます。

ジーキル博士は、善良な医者としての自分と、ふいに悪を為したい衝動にかられる自分との二重生活に苦しんでいました。

そうして、研究の末、自分の中の悪の部分を独立の人間「ハイド」として薬で分離させることに成功しました。

しかしやがて身体の制御が効かなくなり、ジーキル博士は、薬なしでも、たびたびハイド氏に変身してしまいます。

その頃には、ジーキル博士からハイドへの変身には薬がいらないが、ハイドからジーキル博士に戻るには倍量の薬を必要とする、という状態になっていました。

手記の最後には、薬が手に入らなくなった今、死の道を選ぶしか方法がない、ということが述べてありました。

ジーキル博士とハイド氏 を読んだ読書感想

二重人格ものの先駆としてあまりにも有名な作品であるせいか、実は、「ジーキル博士とハイド氏が同一人物であることが物語最大の大オチである」ということは意外と知られていません。

私も、小説を読んでみて初めて、「あ、二人は最初別々の人物のようにして登場するんだな」と、新鮮な驚きを味わいました。

性格も立場も対極にあるような二人が、いったいどうして同居しているのか、二人はどういう関係なのか、すべてが謎のまま話は進みます。

そのうち殺人事件が起こり、ラニヨンが変死し、ハイドが失踪し、、、と、事件が立て続けに起こって読者の興味が最高潮に達したところでようやくネタばらしです。

隙のない構成で、上質のミステリーの味わいがあります。

これが、どうして“二重人格もの”という、そのまんまネタバレになってしまうような評価が定着してしまったのか、、、きっと、この作品がそれだけ名作ということなのでしょう。

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