「小公子」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|フランシス・エリザ・バーネット

「小公子」フランシス・エリザ・バーネット

【ネタバレ有り】小公子 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:フランシス・エリザ・バーネット 昭和28年12月24日に新潮社から出版

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小公子の主要登場人物

セドリック(せどりっく)
主人公。絵のように美しい7歳の少年。朗らかで、人を疑うことを知らず、自分と同じように人を愉快にしようとする優しい心の持ち主。

エロル夫人(えろるふじん)
セドリックの母親。孤児で身寄りがない。清らかな声、憂いのこもった大きな茶色い瞳の美しく賢い女性。

ドリンコート伯爵(どりんこーと伯爵)
セドリックの祖父。痛風と孤独に悩む老伯爵。お気に入りの末息子がアメリカ人と結婚したことを知り絶縁する。酷い癇癪持ち。

ホッブス氏(ほっぶすし)
セドリックの友だち。ニューヨーク ブランク街の角で食料品店を営んでいる。この世にこれほど人付き合いの悪いものはないだろうと噂される。

ディック(でぃっく)
セドリックの友だち。靴磨き。臨機応変の機転をきかす、目端の利く子。

小公子 の簡単なあらすじ

誰からも愛される少年セドリックは、アメリカの下町で母と二人で暮らしていました。ある日、イギリスから祖父の使いが訪ねてきて、セドリックが伯爵家の跡継ぎだと告げます。母と共にイギリスに渡り、祖父とお城で暮らし始めますが、伯爵は息子をたぶらかしたアメリカ女を憎んでいたため、母子は離れ離れで暮らします。セドリックの持ち前の愛嬌と優しい心は伯爵の心を溶かし、やがて三人仲良くお城で暮らせるようになるのでした。

小公子 の起承転結

【起】小公子 のあらすじ①

アメリカの下町に住む少年

 アメリカのニューヨークで、お母さまと二人仲良く暮らしていた7歳のセドリックのもとに、お客様がありました。

背の高い、やせた、ひきしまった顔をしたその人は、ドリンコート伯爵家の顧問弁護士、ハヴィシャム氏でした。

 彼から、まだ会ったこともないお祖父さまが伯爵であること。

お祖父さまの3人の息子はみな死んでしまい、セドリックが伯爵の跡継ぎになることを聞かされます。

 はじめ「伯爵なんかになりたくない、どうしてもならなくちゃいけないの」と言っていたセドリックですが、大好きなお母さまから「お父さまもそうするのがいいとお思いになる」から行かなきゃならないと言われます。

また、お祖父さまはとてもお金持ちで、欲しいものはなんでも与えてやりたいと、たくさんのお金をハヴィシャム氏に預けたこと。

そのお金を使って自分の大好きな人に親切にできることを知ります。

そして「伯爵になるって、僕が考えていたよりもいいものなんですね」と言うようになります。

 イギリスに出発するまでの1週間、セドリックは様々な望みを叶えました。

それは困っている人を助けること、自分に親切にしてくれた人にお返しすることでした。

そのことを単純に喜ぶので、冷静で厳格、実務的な弁護士のハヴィシャム氏も面白く思い、伯爵が本当は「わしには欲しいものは何でも与える力があるということを、その子に見せつけろ」と言ったとは言えませんでした。

 いよいよニューヨークから出港し、リバプールに向かう船旅の途中、セドリックはイギリスではお母さまと別々の場所で暮らさなければならないことを聞かされます。

お祖父さまがお母さまを酷く嫌っているという事実は、お母さまの考えで伏せられました。

セドリックは酷く悲しく思いましたが、自分に色々親切にしてくれ、欲しいものをなんでもくれるお祖父さまを好きになろう、お母さまと離れて暮らすこともがまんしよう、とハヴィシャム氏に話すのでした。

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【承】小公子 のあらすじ②

ドリンコート城で

 報告のためドリンコート城を訪れたハヴィシャム氏に伯爵は尋ねます。

「どんな子だ、馬鹿か、ろくでなしか。

達者で、よく発達しているか。

手足などすらりとして、様子はいい方か。

アメリカの子供という奴は、どいつもこいつも礼儀知らずの乞食ばかりだ。」

しかしハヴィシャム氏は、事前に情報を与えず、伯爵自身に判断させた方がよいと考え、詳しいことは伝えませんでした。

ただエロル夫人はセドリックに、伯爵が自分を嫌っているとは言っていないこと、セドリックは伯爵を慈愛深いお祖父さまだと信じていることのみを伝えました。

 翌日、初めて伯爵はセドリックに会いました。

今回セドリックを呼び寄せたのは、外聞を考えてのことだけでした。

セドリックが気に入るなどとは、夢にも考えていませんでした。

しかし、孫がこんなに立派な、美しい子供だと知り、物怖じせず、眼をそらさず顔をあげているのを見て、急に誇りと喜びの気持ちがいっぱいになりました。

 セドリックと一緒に過ごすうちに、彼が伯爵を実際よりもずっといい人間のように信じ込み、手本として学ぼうと願っているのを聞いて、自分は本当に手本とするに足る人物だろうかという、今までにない疑問が浮かんできました。

 セドリックは欲しいと思うものは何でも与えられ、したいことはなんでもできました。

そこでセドリックのお母さまは、いつも用心深く、優しく彼を見守り、ほかの人が自分ほど幸福じゃないということを忘れさせないようにしていました。

 伯爵は自分の跡継ぎの母親が、若くて美しく、貴婦人らしく見えることを知って悪い気はしませんでした。

また貧しい人の間で評判がよく、慕われているということも不愉快ではありませんでした。

しかし、セドリックの心の中は母親のことでいっぱいで、一番好きな人として母親にすがりつくのを見ると妬ましさを覚えるのでした。

【転】小公子 のあらすじ③

悪い知らせ

 ドリンコート城では、伯爵の跡継ぎであるフォントルロイ卿(セドリック)のお披露目の晩餐会が盛大に開かれました。

しかしその晩、ハヴィシャム氏が悪い知らせを持ってきました。

 一人の女性がハヴィシャム氏の事務所を訪れ、自分の子供の権利を認めて欲しいと申し立てているというのです。

6年前に伯爵の長男ビーヴィスと結婚したこの女性には、5歳の子供がいました。

結婚後、1年ほどで喧嘩別れしたので、最近まで自分の息子がどんな権利を持っているか、よく知らなかったと言います。

弁護士に相談し、正統なドリンコート伯爵家の跡継ぎは自分の息子であると訪ねて来たのでした。

 伯爵は「そうした下劣で恥知らずな仕業も、ビーヴィスなら実にあり得そうなことだ」と言いました。

「その女は無学下賤の者だと言ったな。

それなのにわしは、この子の母親を許さなかった。

認めようともしなかった。

これがその報いなのだろう。」

 ドリンコート伯爵家の相続争いは、人々の口にのぼり、新聞に書き立てられ、大変な評判となりました。

しかしこの騒ぎの中で一人落着いていたのがセドリックでした。

はじめ話を聞いた時は、まずお母さまの家や馬車が取り上げられてしまうことを心配し、自分もお祖父さまの子供ではなくなってしまうのかと心配しました。

しかし、どちらも伯爵が強く否定したので「じゃあ僕、伯爵のほうはどうなったって、ちっともかまやしないや」と言うのでした。

 そんな中、伯爵が突然エロル夫人を訪ねました。

今度の不愉快な事件ですっかり打ちのめされ、エロル夫人に会ったら心が安らぐのではないかと思ったのでした。

「わしは、頑固な馬鹿だった。

そしてお前には済まないことをしてきたと思う。」

と言った伯爵は、エロル夫人と話すうちに憂鬱さが消え、慰められていきました。

そして、また訪ねて来てよいかと夫人に聞くのでした。

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【結】小公子 のあらすじ④

本物のフォントルロイ卿

 セドリックが行ってしまった後、すっかり寂しくなったホッブス氏は、話に聞いていたディックを訪ねます。

二人は意気投合し、よく会うようになりました。

そんな時、自分はフォントルロイ卿ではなく、将来伯爵にならなくてもよくなった、というセドリックからの手紙を受け取ります。

 ドリンコート伯爵家の話はアメリカの新聞にも取り上げられました。

ある朝、ディックは新聞に載っていた「権利請求者の母」という写真を見て驚きます。

それは兄のかつての妻、子供を連れて逃げ出したミンナでした。

慌ててホッブス氏の店に駆け込み、兄のベンとセドリック、そして伯爵に手紙を出します。

 手紙を受け取った伯爵とハヴィシャム氏は一計を案じました。

申し立てを行っている女性には何も知らせず、ベンとディックを呼び寄せ、いきなり3人を合わせました。

兄弟は女性がミンナであると認め、いつでも証言すると言い、彼女は怒り狂いました。

しかし伯爵とハヴィシャム氏の冷ややかな態度に、その夜のうちにロンドン行きの汽車に乗り込み二度と現れませんでした。

 この騒ぎが済むとすぐに、伯爵はエロル夫人が住む家に向かい、セドリックが本当のフォントルロイ卿であることを伝えます。

そしてお母さまにお城に来て一緒に住むよう頼んだのです。

 ドリンコート城ではセドリックの8歳の誕生日の祝賀会が開かれました。

小作人全部が招待され、庭園では宴会、踊り、余興などが催され、夜には花火が打ち上げられました。

伯爵がセドリックとお母さまとともに領地の主だった人たちが集まっているテントに向かうと、人々は今までよりも熱意をこめて、伯爵の健康のために乾杯したあと、セドリックの健康のために盛大な拍手と歓声とともに杯を上げました。

セドリックは輝くばかりに幸福でした。

そしてまだ一度も心から幸福だと感じたことのなかった老伯爵も、幸福に感じていました。

小公子 を読んだ読書感想

初めてこのお話を読んだのは、小学生の頃、世界の名作を集めた子供向けのシリーズ物の一冊でした。

大人向けの翻訳本もあることを知り、今回手に取ってみましたが、児童書の時と印象はほぼ変わらず、掲載されていた挿絵を思い出したりなどしながら読み進めていきました。

それにしても何故この物語がこれほど読み継がれているのか考えると、これは一種の勧善懲悪物だからではないかと思います。

この場合、悪役はお祖父さまで、我儘、傲慢、短気な老人が可愛い孫にメロメロになってどんどん人が変わっていく。

最後にはお母さまのことも認めてハッピーエンド。

後半の主人公は、伯爵だと言っても過言ではありません。

児童書の場合は最後の誕生会で終わるのですが、大人向けではこの後の附則として、ディックやホッブスさんのその後にも触れられています。

ミンナが連れていた男の子は、お父さんと一緒にアメリカに帰り、伯爵の後押しで牧場主になったので、ホッとしました。

ディックも伯爵が後見人となってイギリスで教育を受けますが、何よりも笑わせてくれたのはホッブス氏でした。

作中では、セドリックの手を借りなければ、その日の帳簿つけもままならないような、うすのろとして描写されていますが、アメリカのお店を売ってイギリスに移住します。

今度は、毎朝宮廷新聞を読み貴族院のことに精通し、最後には「アメリカには住みたくない。

あそこには伯爵もないからなぁ」と言うのです。

なんとも楽しくなるラストでした。

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