いしいしんじ「ぶらんこ乗り」のあらすじネタバレと結末

ぶらんこ乗り

【ネタバレ有り】ぶらんこ乗りのあらすじを起承転結で解説!

著者:いしいしんじ 2004年8月に株式会社 新潮社から出版

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ぶらんこ乗りの簡単なあらすじ

高校生の「私」は、小学生の頃の弟が使っていたノートを見ながら、今はいない弟に思いを馳せる。

弟は幼い頃から天才だった。「私」はそんな弟が大好きで、よく二人で、弟の書いたお話を読んでいた。感受性が豊かな弟が書くお話は独創的だ。ある日サーカスで空中ブランコを見てから、弟は庭の木の高い場所に大きなブランコを作ってそこでお話を書くようになる。小学生になった頃、弟は誰よりもブランコを上手にこげるようになっていた。しかし、高くこいだブランコで水平になった喉に雹があたり、弟の声は聞くに堪えないものに変わってしまう。

弟は喋らず、筆談しかしなくなる。そして、ブランコで眠るようになっていた。弟は夜中に動物達がブランコを訪ねて来るという。動物の話したことを元に書いた物語は不思議な物で、弟も動物達がどこから来るかは知らないらしい。

画家の母は、父と共に有名画家であった祖父の生まれ故郷である異国へ旅行に行った。しかし、観光中に乗っていた飛行機が雹を受け墜落し、二人とも死んでしまう。衝撃に気力を失う「私」と弟の元へ母が書いた10通の葉書が届き、「私」は気力を取り戻す。

両親が死んでから弟はブランコに登らなくなった。弟は飛び級で高校生になり、お話を書くのもやめていた。高校生の「私」は弟のノートに書かれた最期のお話が、両親の死後届いた一通目の葉書と同じ文面だったと知る。高校生の「私」は祖母と暮らし、動物園でバイトしている。「私」は、大学一年生の12歳で祖父の故郷に旅立ち消息不明となった弟が、今もどこかで生きていると感じているのだった。

ぶらんこ乗りの起承転結

【起】ぶらんこ乗りのあらすじ①

今はいない弟

帰宅した高校生の「私」は、祖母が見つけたという麻袋の中身を見る。それは、幼い頃の弟が物語を書き溜めていたノートの束だった。

三つ年下の弟は、4歳にしてお話を書くほどの天才少年だったが、今はいない。

【承】ぶらんこ乗りのあらすじ②

弟のノート

器量良しの姉と天才の弟、そう言われるのが嫌だった小学生の「私」は、しかし、弟のことが大好きだった。弟は、サーカスの空中ブランコに魅了され、庭の木の高い場所に大きなブランコを作った。感受性に優れた弟は、そのブランコを隠れ家としてノートにたくさんのお話を書きためていく。その物語を弟は「私」にだけ、見せてくれた。

小学校1年生になった弟は誰よりも上手にブランコをこぎ、人気者になっていた。しかし、ある時、ブランコに揺られ上を向いた弟の喉に大きな雹がぶつかる。軽い怪我で済んだ弟だが、なぜか、喉から出る声はひどいものに変わっていた。聞く者を気絶させるほどひどい声に、弟はノートでの筆談しかしなくなる。

弟は夜もブランコの上で1人で寝るようになった。「私」は弟から「夜中に動物達がブランコを訪ねいろいろな話をして行く」と打ち明けられ、動物の話しをまとめたという荒唐無稽な物語を見せられる。「私」は、彼流の創作活動の一環だと捕らえるが、ふとした機会にその荒唐無稽な話が秘密にされている真実だと知り、孤独な弟のことが心配になる。

【転】ぶらんこ乗りのあらすじ③

両親の死と弟の思いつき

画家の母とパートナーの父は、高名な画家であった祖父の故郷である異国へと旅行に向かう。しかし二人の乗っていた飛行機を雹が襲い、父母は「私」と弟、祖母を残して死んでしまった。

父母の死を受け、「私」はショックのあまり引き籠もる。祖母が現地に駆けつけ、異国で葬儀をあげることに決まるが、「私」は飛行機に乗りたくない一心で参列を拒む。弟もまた、思うことがあり家に残るのだった。

気力を失った「私」の元に、弟が一枚の絵葉書を持ってくる。それは、二人に宛てた母からの手紙だった。その後、計10枚の葉書が二人の元へ送られてくる。二枚目以降には、父からのメッセージも書かれていた。「私」は、その手紙に支えられ、気力を少し取り戻す。

祖母が葬儀を終えて帰って来た。祖母には、弟が声を失うとほぼ同時に家族の一員となったみすぼらしい犬が同行していた。半分毛のないその犬の地肌は、以前からみんなに伝言板代わりにされている。祖母は弟の頼みで犬を連れて行っており、犬の地肌には現地の人が両親の思い出をたくさん書いてくれていた。「私」の気持ちは犬の弟のそのアイディアのおかげで救われた。

それ以降、弟は何を思ったのか、ブランコへ登らなくなった。そして新年度、「私」を置く抜いて飛び級で中学生になった弟は、今度はすぐに高校生になり、ノートにお話を書くこともなくなった。

【結】ぶらんこ乗りのあらすじ④

弟との絆

まだ子ども小学生だった弟のノートの最後のページに書かれたお話は、両親の死後に届いた一通目の手紙と同じ内容だった。「私」は、姉を思い筆跡を真似したその一枚目の手紙が呼び水となって、残りの本物9枚が届いたのだと知る。

弟は12歳で大学生になり、その年、父母の亡くなった異国へ旅行に出た。そしてそれきり、行方を絶っていた。祖母が手を尽くしたが見つけられず、しかし「私」は弟が生きていると信じている。

高校生の「私」はアルバイト先に動物園を選んだ。弟がブランコを訪れた動物の話しを聞く時につけていた赤くて丸い付け鼻をポケットに忍ばせ、「私」は自分が感じている夜の動物園の震える空気が弟の元に届くことを祈っていた。その帰り道、「私」は迎えに来た老齢の犬に引かれ小学校の校庭を訪れる。弟が怪我して10年経ったブランコに座り、「私」は弟を感じながらゆっくりと揺られるのだった。

ぶらんこ乗りを読んだ読書感想

子どもの視線から朴訥とした文体で書かれたこの作品には、弟の書いたたくさんのお話が出てきます。幼い弟の書くお話はひらがなだらけなのに、素晴らしい感性を感じさせる独創的な短編です。「ぶらんこ乗り」というお話を読んでいながら、弟の書いたたくさんの別のお話も読める、なんとも心に残る一冊でした。

「私」の家に住むのは天才の弟と、大物画家の娘である母、額縁職人の父、昔気質の祖母、そして犬の「指の音」です。作者のセンス際立つ「指の音」という名前には、「声ではなく指を鳴らして呼ぼう」と考えた弟の苦悩と優しさがこめられているのだと思います。

世界観としては、昭和の日本の片田舎という雰囲気です。けれど、登場する人名も地名も明確にされていないため、もしかしたら異世界が舞台なのかもしれません。その点一つ取っても、読んでいると想像力をかきたてられます。想像力溢れる弟の物語が、少しずつ読者の想像力を解き放ってくれているのかもしれません。あくまで「私」の視点から描かれているため弟の心情は推測するしかありませんが、それを考えるのは、自分自身の心を深く掘り下げて行く行為と似ていると感じました。純文学にジャンル分けされる作者の作品の中でも児童文学に近いこの作品は、大人にも子どもにも読んで欲しい一冊だと思います。

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