「バカが全裸でやってくる」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|入間人間

バカが全裸でやってくる(入間人間)

【ネタバレ有り】バカが全裸でやってくる のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:入間人間 2010年8月にアスキーメディアワークスから出版

バカが全裸でやってくるの主要登場人物

僕(ぼく)
物語の語り手。小学2年生から作家を目指し大学に進学する。

甲斐抄子(かいしょうこ)
現役女子高生作家としてデビューする。現在では僕と同じ大学の同学部に通う。

バカ(ばか)
僕や甲斐抄子と同じ学部に所属する大学生。

伊香亜紀(いかあき)
バカの母。「孤独のエデン」で文学賞を受賞。

芦原時計(あしはらとけい)
バカの従兄弟。選考委員奨励賞でデビューして現在26歳になる小説家。

バカが全裸でやってくる の簡単なあらすじ

小学生の頃に物語を作る喜びに目覚めて小説家になるために努力してきた「僕」でしたが、今はまだありふれた大学生のひとりです。入学早々に居酒屋の飲み会に全裸でやって来た男子大学生と出会い、奇妙な共同生活を送ることになります。更には現役女子大生の憧れの彼女との交流を通して、僕は夢を叶えるために突き進んでいくのでした。

バカが全裸でやってくる の起承転結

【起】バカが全裸でやってくる のあらすじ①

憧れの彼女と冴えない僕

小学2年生の国語の授業の一環として物語を作ってくる宿題を出された僕は、自分の頭の中で冒険することの楽しさを初めて知りました。

担任の先生にも思いの外褒められたために、成長するにつれて小説家を志すようになっていきます。

大学生になった僕は経営学部に所属していましたが、今でも幼い頃の夢を諦めてはいません。

居酒屋で開かれている新入生歓迎コンパではひとりの女子大学生が大勢の取り巻きに囲まれていましたが、僕は遠くから眺めるばかりです。

彼女の名前は甲斐抄子で、高校時代から売れっ子作家として脚光を浴びてきました。

デビュー当時からのシリーズ物の発行部数は10巻累計で90万部以上、新たに並行して刊行し始めたシリーズも5巻累計で45万部以上の売れ行きを誇ります。

テーブル越しに絶望的な差を見せつけられていた僕が聞いたのは、お店の扉が蹴り倒される音と甲高い女性客の悲鳴です。

突如として「そいつ」は、全裸姿で僕の前に現れたのでした。

【承】バカが全裸でやってくる のあらすじ②

バカとの奇妙な共同生活と甲斐抄子への弟子入り

1杯のビールをコップについであげたことがきっかけになり、僕は酔いつぶれたそいつを自宅まで連れて帰る羽目になりました。

同じ大学の同じ学部に所属していることまでは判明しましたが、名前は分からないために取り敢えず「バカ」というあだ名を付けます。

次の日になっても二日酔いで寝込んでいるために、バカは僕が独り暮らしをしているアパートから出ていこうとしません。

挙句の果てには僕が講義を受けている間に、勝手に部屋の中のノートやパソコンまで閲覧してしまうほどの厚かましさです。

その結果として僕が小説家になるために執筆活動に励んでいることが、すっかりばれてしまいました。

バカのアドバイスを受けて俄かにやる気を出し始めた僕は、大学構内で甲斐抄子に声をかけて弟子にしてもらいます。

あっさりと弟子入り志願を受け入れた甲斐抄子が出した条件は、次の投稿作品でデビューを決めることです。

もしも落選した場合は、僕は小説家を諦めなければなりません。

【転】バカが全裸でやってくる のあらすじ③

バカが全裸になった理由

バカの母親は「伊香亜紀」、従兄弟は「芦原時計」というペンネームで創作活動を続けている小説家でした。

当然のようにバカも、高校生の頃からライトノベルの新人賞に応募し始めます。

勉強にも部活動にも興味がないバカの話し相手は、同じクラスのお付き合いをしている女子生徒くらいしかいません。

その彼女も3年生になると受験勉強で忙しいために、すっかり疎遠になっていきます。

別れ話を保留にしたままのふたりが再会することとなったのは、それぞれの志望大学に無事に合格を果たした4月のことです。

この日はバカが去年の12月に投稿した小説の一次選考発表の日でもあり、バカの大学に程近い居酒屋で待ち合わせをします。

もしも落選した場合は、何でも彼女の言うことを聞くという約束をしていましたが、結果は惨敗で彼女の命令は外で全裸になることです。

全てを脱ぎ捨ててお酒もすっかり回ってきたバカは、この近くで甲斐抄子が親睦会をしていることを思い出し走り出すのでした。

【結】バカが全裸でやってくる のあらすじ④

小説を書くということは

「小説というのは読者に著者の全裸を見せつけるもの」という甲斐抄子のひと言を聞いた途端に、僕の頭の中には次の作品に纏わるアイデアがみるみるうちに湧いてきました。

家に帰るとバカは僕の服を勝手に身につけて出ていったらしく、お陰で思う存分に執筆活動に集中出来ます。

次第に大学の講義にも出席しなくなり、アパートに引き籠ったままノートパソコンに向き合いキーボードを叩く毎日です。

心配して様子を見に来たバカに一緒に小説家になることを提案してみましたが、まるで相手にされません。

応募する新人賞のフォーマットで130枚を、僅か14日間で完成させました。

じっくりと推敲を重ねて甲斐抄子に指摘された箇所を修正した後に、大学の坂の下にある郵便局で原稿を郵送します。

締め切り日は12月で今はまだ5月の2週でしたが、早いに越したことはありません。

応募した直後の達成感と不安に挟まれながら、僕は横断歩道の向こう側で手を振る甲斐抄子のもとへ向かうのでした。

バカが全裸でやってくる を読んだ読書感想

幼い頃から小説家への憧れを抱きながらも、自分自身の才能にいまいち自信が持てない主人公の葛藤には共感できました。

高校生にして華々しく文壇デビューを果たしているヒロインの甲斐抄子への、羨望と嫉妬が入り混じった眼差しも印象深かったです。

決して交わることのなかった対照的なふたりを結び付けていく、全裸男の闖入シーンには笑わされます。

自らを「バカ」と豪語しつつも、破天荒な振る舞いで主人公をサポートしていく姿には心温まるものがありました。

何者でもなかった青年が、何かに変わっていく期待感を残しつつ幕を閉じる物語が感動的です。

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