「氷舞 新宿鮫VI」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|大沢在昌

氷舞 新宿鮫VI(大沢在昌)

【ネタバレ有り】氷舞 新宿鮫VI のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:大沢在昌 2014年7月10日(新装版)に光文社から出版

氷舞 新宿鮫VIの主要登場人物

鮫島(さめじま)
新宿鮫シリーズ通しての主人公。新宿警察署の警部で署内でトップの検挙率をあげており正義感が強い。新宿近辺のヤクザなどからは新宿鮫と呼ばれて恐れられている。

青木晶(あおき しょう)
鮫島の恋人でロックバンドのボーカリスト。バンドに人気が出てきたため、鮫島との関係が疎遠になりつつある。

桃井正克(ももい まさかつ)
鮫島の上司の課長。見た目は冴えない中年男だが、鮫島と同じく正義感が強い優秀な刑事で、鮫島が信頼して相談できる数少ない人物の1人。

藪英次(やぶ ひでじ)
新宿警察署鑑識課員で鮫島の親友。変わり者だが鑑識官としてとても優秀で事件解決に大きな役割を果たすことがある。

氷舞 新宿鮫VI の簡単なあらすじ

人気の刑事シリーズ小説の第6作。今作ではアメリカのCIAや公安警察がストーリーに絡み、スケールの大きな展開がされる。さらに、シリーズのヒロインである晶とは別に孤独な美女である杉田江見里が登場し、鮫島は彼女に惹かれていく。

氷舞 新宿鮫VI の起承転結

【起】氷舞 新宿鮫VI のあらすじ①

元CIAの殺害事件と公安警察

西新宿のホテルで、元CIAのアメリカ人が殺される事件が起こり、新宿警察署と鮫島は捜査を始めます。

鮫島はそれとは別に日系コロンビア人・ハギモリを探す捜査もしていましたが、どちらも途中で公安警察から邪魔が入ります。

鮫島は元は優秀なキャリアとして警視庁公安部に在籍していており、現在は公安とは微妙な関係です。

さらに鮫島と同期のキャリアで官僚である香田も登場し鮫島の行動を妨害します。

鮫島はそうした周りの妨害を振り切るようにして、事件の捜査を進めます。

すると暴力団平出組の前岡という男が重要人物として浮上しますが、この調査も公安警察から妨害が入ります。

こうした展開の背後には、元公安秘密刑事の立花という人物が絡んでいることがで示唆されています。

今回の事件には暗部で警察内部と公安警察が関わっており、鮫島の捜査は困難なものになっていきます。

そして、鮫島は女優の杉田江見里という女性と知り合い親しくなっていき、彼女に惹かれる鮫島ですが、彼女も今回の殺人事件に関わっていることが徐々に分かってきます。

【承】氷舞 新宿鮫VI のあらすじ②

鮫島と晶と杉田江見里の関係

鮫島はロックバンドのボーカリストである青木晶と長く恋人の関係でありましたが、彼女のロックバンドが有名になるに連れて、鮫島は晶と会う機会が徐々に少なくなっていきます。

晶も鮫島もお互いの恋人関係が終わることを望んではいないのですが、徐々に終わりへと進んでいることも感じています。

そんな中、鮫島は女優の杉田江見里と出会い徐々に親しい関係になりました。

そしてついには、江見里と肉体関係を持ってしまいます。

晶も愛している鮫島は浮気をした自分に深い罪悪感を抱くことになります。

その一方では、杉田江見里が今回の一連の事件や公安警察と関わりがありそうであることも分かってきます。

事件の背後にあるものが徐々に見えてきそうですが、公安警察は身内にも外部にも秘密主義のところであり、なかなか鮫島は事件の核心には迫れません。

だが、公安警察だけではなく他にも大きな黒幕が存在していることも、核心には迫れないながらも分かってきます。

鮫島は浮気をした罪悪感を抱えながらも、なんとか捜査を進めます。

【転】氷舞 新宿鮫VI のあらすじ③

同期でライバルの香田と協力

鮫島は捜査の中で、元空挺部隊で拳銃とナイフの使い方が上手い男と戦うことになります。

相手は手強く危うく殺されそうになりますが、なんとか警棒で撃退します。

事件捜査も進みますが、これ以上進むには公安警察の存在はとても厄介です。

そこで、事件の核心に迫るために思わぬ人物と協力します。

鮫島は同期でライバルである、香田と捜査情報の交換をすることにします。

鮫島と香田は考え方が対照的な刑事であり、お互いが意見を言っても水と油のように対立してしまいますが、香田の方としても事情があり、鮫島と自分の情報を交換することになります。

鮫島と香田は周りの目を避けるために、新宿のカラオケ屋の室内で会います。

そしてさらには、鮫島が良く利用するママフォースというゲイバーでも、香田と接触します。

ママフォースのママは香田が気に入ったようですが、香田はそのことにギョッとします。

そんなやり取りがあり、杉田江見里の母親はCIAのスパイであったが、それがバレて同じCIAのブライドに殺されたことが分かります。

江見里はその後、後見人の嶋という人物に育てられますが、嶋は平出組の前岡に殺されてしまいます。

事件の核心が見えてきました。

【結】氷舞 新宿鮫VI のあらすじ④

国会議員の京口と元公安の立花と対決する鮫島

今回の事件では西新宿のホテルで元CIAのブライドが殺され、その後、平出組の前岡も拳銃で殺されますが、この殺人は杉田江見里がやっていたことが分かります。

前岡は元公安の立花に操られており、江見里は恨みから立花も殺そうとします。

そして、国会議員で次期総理大臣の候補である元公安の京口という大物が登場します。

立花は京口の元部下であり、彼は京口の利益のためにヤクザも利用していました。

そこで鮫島は京口と会い、立花のことについて話をすることにします。

しかし相手は大物国会議員であり、鮫島は課長の桃井に相談しますが、桃井には相手が大きすぎることを心配されます。

結果的にはなんとか鮫島は京口と高級ホテルで話をすることができます。

そして京口は桜井にこれまでのお礼を言い、自分のことは心配せずにもう自分の手は汚さないでいいと話します。

鮫島は過去に罪を犯した桜井のところに向かい逮捕しようとします。

事件はこれで結末に向かうかと思われましたが、その時、杉田江見里が現れて桜井は殺されてしまいます。

桜井が殺され、江見里が逮捕されるという結末になってしまいました。

氷舞 新宿鮫VI を読んだ読書感想

大沢在昌の直木賞も受賞した人気刑事シリーズです。

シリーズ4作目で直木賞を取ったのですが、そのあたりの話は無理にスケールを大きくして冗長な印象もありました。

しかし、6作目の今作ではスケールが大きいながらも、よくまとまっていて話のテンポが良くなっています。

4作目あたりで飽きて、新宿鮫を読まなくなってしまった人は多いかもしれませんが、今回の6作目で本来のスリリングさが戻ってきているので、好きな人には是非読んでほしいです。

ただ、話のスケールが大きいので、人間関係などがかなり複雑です。

読んでいる途中はあまり細かい部分は気にせずに、一気に最後まで読み進むのがオススメでしょう。

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