「セミオーシス」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|スー・バーク

セミオーシス(スー・バーク)

【ネタバレ有り】セミオーシス のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:スー・バーク 2019年1月に早川書房から出版

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セミオーシスの主要登場人物

オクタボ・パスター(おくたぼ・ぱすたー)
主人公。第一世代の植物学者。妻・ポーラとの間にジュリアンを授かる。

シルビア(しるびあ)
ジュリアンの恋人。第二世代のリーダー。

タチアナ(たちあな)
シルビアの曾孫。第四世代の平和委員。

ルシル(るしる)
第七世代の教師。

セミオーシス の簡単なあらすじ

植物学者のオクタボ・パスターは、遠く離れた惑星に入植するプロジェクト「ネクスト・アース」に参加します。未知の惑星で自給自足の生活を始めた彼らに待ち受けていたのは、自らの意志を持って襲いかかる植物や人体に寄生する生物など幾多の困難です。さらには人間同士の争いも巻き起こる中でも、平和の実現を目指して奮闘していくのでした。

セミオーシス の起承転結

【起】セミオーシス のあらすじ①

新たな居住地を求めて

環境破壊や紛争の絶えない地球にうんざりしていたオクタボ・パスターは、50人の同志と共に移住可能な惑星を求めて宇宙船で旅立ちます。158年間の冬眠から目覚めた一向がたどり着いたのは、ふたご座の踵の辺りに位置する小さな星です。オクタボたちは戦争のない世界を目指して、この星を「パックス(平和)」と名付けます。

食糧を探していたメンバーの1人が、雪のように白い蔓が縺れ合った不思議な植物を発見しました。

植物学者としても優秀なオクタボはこれらを「スノーヴァイン」と命名して食用に改良しましたが、果実を食べた3人は死亡してしまいます。スノーヴァインが自分自身の意志を持って入植者を攻撃したことを知り、オクタボが選んだのは彼らとの意志の疎通です。

地球上では人類こそが支配者でしたが、故郷から遠く離れたパックスで生き抜くためには植物と共存共栄するしかありません。

スノーヴァインの外敵を駆除する代わりに、彼らの実を分けて貰う協定を結ぶのでした。

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【承】セミオーシス のあらすじ②

第一世代と第二世代の覇権争い

地球からやって来たオクタボたちは「第一世代」と呼ばれてパックスを支配していましたが、彼の子供であるジュリアンたちは「第二世代」と名乗り日に日に対立が深まっていました。第一世代がひた隠しにしている遺跡を目指して、ジュリアンは恋人のシルビアを誘って旅に出ます。そこは美しいガラスや豊富な資源で満ち溢れていて、チューリップやじゃがいもなどの園芸作物にも恵まれている都市・「レインボーシティー」です。同世代の仲間たちに真実を伝えようとしたジュリアンは、口封じのために毒殺されてしまいました。

ひとり残されたシルビアも脱走犯の汚名を着せられて拘束されそうになりますが、第二世代の結束を高めて反撃に転じます。

第一世代のカリスマであるオクタボも、近頃では脳卒中を患っているために余命いくばくもありません。

パックスの議長に立候補したシルビアは断トツの得票数で当選し、新体制を築き上げてレインボーシティーへの移住を敢行するのでした。

【転】セミオーシス のあらすじ③

平和な星の忌まわしき殺人

タチアナが曾祖母のシルビアから密かに1本のナイフを手渡されたのは、まだ10代の頃でした。

その時からタチアナはシルビアを含めて、5代に渡るパックスの議長をサポートする平和委員の役職を務めています。今の議長であるローズはタチアナからすると孫くらい若いため、まだまだ目が離せません。

そんなある日発生したのは、パックスでは珍しい殺人事件です。場所はレインボーシティーから2時間程度離れた渓谷で、被害者はハリーという装飾品を作る職人でした。

タチアナが単独捜査の末に突き止めた意外な犯人の正体は、勉強熱心で心優しい数学者のジャージーです。彼女は未知の寄生虫に操られているために、タチアナによる投降の呼び掛けにも応じません。

襲いかかってくるジャージーからタチアナの生命を救ったのは、曾祖母から受け継いだナイフです。事件解決にひと安心するものの、タチアナは自身の老いを実感しつつそろそろこのナイフを他の誰かに託すことを考えるのでした。

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【結】セミオーシス のあらすじ④

パックス100年七世代の想い

第一世代のオクタボがパックスに降りたってから、100年が過ぎようとしていました。

新たに議長となったルシルは第七世代の最初の子供であり、幼稚園で教師をしているごく普通の年若い女性になります。平和委員のタチアナが立ち上げた制度、共同議長選が思いの外上手くいっているようです。人間ばかりではなく「ガラスメーカー」と呼ばれるこの惑星の先住民族や、「スティーブランド」という名の知的植物からも議長が選出されるようになっています。

これまでの和平への道のりは、決して平坦なものではありません。

幾度となく異なる種族間の対立や分断を繰り返しながらも、何とか今日の安定にまでたどり着きました。不安でいっぱいの新人議長たちに数多くのアドバイスを残してくれたタチアナも、既にこの世にはいません。

彼女の葬儀が行われた会場には、種族を越えた人間・動物・植物が詰めかけました。

彼女のナイフは博物館に展示されることが決まったために、もう秘密になることはないのでした。

セミオーシス を読んだ読書感想

環境破壊や戦争が続く地球を見捨てた人類が、宇宙へと旅立っていくオープニングが皮肉たっぷりでした。

未知の惑星を舞台にして数々の冒険が繰り広げられる、SFアドベンチャーとしての魅力が満載です。

世代交代交代を描いたヒューマンドラマや、推理小説風のエピソードも盛り込まれていて楽しめます。

第一世代のオクタボや第四世代のタチアナが、「支配」から「共存」へと方針転換するシーンが印象深かったです。

一見すると荒唐無稽なストーリーながらも、分断と対立が深まっていく今の時代への鋭いメッセージが込められていて考えさせられました。

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