【ネタバレ有り】ロボット・イン・ザ・ガーデン のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:デボラ・インストール 2016年6月に小学館から出版
ロボット・イン・ザ・ガーデンの主要登場人物
ベン・チェンバーズ
家にこもりがちな迷える主人公
アクリッド・タング
ベンの庭に現れた旧式の箱型ロボット
エイミー・チェンバーズ
ベンの妻。法廷弁護士
ロボット・イン・ザ・ガーデン の簡単なあらすじ
ベン・チェンバーズは自宅の庭に、一台の古びた旧型ロボットが座っているのを発見します。タングと名乗ったロボットにベンは夢中になります。壊れかけたタングを修理するため、ベンはタングと共に製作者を探す旅が始まるのです。
ロボット・イン・ザ・ガーデン の起承転結
【起】ロボット・イン・ザ・ガーデン のあらすじ①
ある九月の朝、妻のエイミーは自宅の庭に一台のロボットがいるのを発見しました。
壊れた柵の扉のせいだと妻に小言を言われるベンは、仕方なく庭のロボットの様子を見にいきました。
アンドロイドが普及した現代で、そのロボットは塗装もされていない剥き出しの金属ボディにホースを繋げただけの腕と脚で、手はマジックハンドだったのです。
ロボットは自らのことをアクリッド・タングと名乗りました。
その日からベンはそのロボット—タングにばかりかまけるようになります。
旧型のロボットではなくアンドロイドを自宅に置いてほしいという妻よりも、タングにばかり向かっていました。
就職もせずに遺産を食いつぶしながら旧型ロボットの世話に熱中するベンに愛想をつかした妻は家を出て行きました。
ベンはタングに内蔵されたシリンダーが割れていて、中の液体が減っていることに気付きました。
タングの体に彫られ掠れた文字を検索して、製造元がアメリカにあると突き止めます。
タングを修理するために彼を連れて、アメリカへと旅立ちます。
【承】ロボット・イン・ザ・ガーデン のあらすじ②
タングを引き連れイギリスからマイクロシステムズのあるアメリカへとやってきたベンでしたが、タングの製造は当てが外れてしまいました。
しかし、マイクロシステムズのゲーム製作担当者の紹介でベンとタングはアリゾナ州ヒューストンへ車を走らせていました。
ヒューストンの博物館に勤めるリジー・キャッツという女性が何か知っているかもしれないと紹介してくれたのです。
ただ何もない荒野に伸びる道を走り、人気のない町へと迷い込んでしまったベンとタング。
生活感すらないその町で用を足すために店を探している時、「ワン、ワン」とタングが犬のモノマネをしました。
バックミラーで後方を確認すると、一匹の痩せた犬がレンタカーに追従していました。
車を停め歩いて店を探すと、扉に貼られた一枚の貼り紙が目に留まりました。
“帰宅許可が出るまで閉店”と書かれた貼り紙のほかに、ゴミ箱やベニヤ板に“放射線注意”と貼られた黄色いテープが貼られていたのです。
ベンは駆け足で車に戻ると戯れていたタングと犬を車内へ押し込み、車を発進させました。
【転】ロボット・イン・ザ・ガーデン のあらすじ③
タングは地下鉄で乗った電車の中で上機嫌でした。
タングが面白がったのは地下鉄の歌う電車だったからです。
駅に到着する度に軽快なメロディーが流れ、それは駅ごとに違っていました。
それに足をぶらぶらさせ声を上げてタングは喜びました。
他の乗客に迷惑が掛かるとベンの心配を余所に、タングはしっかりとスーツを着たサラリーマンや制服姿の女子高生グループに人気でした。
彼らは代わる代わるタングとの写真を撮っていました。
リジー・キャッツの紹介で東京に在住する技術者のカトウ・オーバジンを尋ねて東京へと来ていました。
ホテルにチェックインしたベンとタングは35階の部屋へと案内されました。
窓辺から車の行き交う道を見下ろすベンは、両親が旅立った日のことを思い出していました。
父の書斎で鳴った固定電話の音をベンは今でも鮮明に覚えています。
東京の街の刺激を求めてカラオケバーに行ったベンでしたが、思いのほかアルコールが回りました。
酷く酔っ払ったベンに、タングに興味を持ったという男性に話しかけられます。
どうして日本へという男性に呂律の回らないベンはある男性を探してと説明します。
すると男性は「僕がカトウ・オーバジンです」と言いました。
【結】ロボット・イン・ザ・ガーデン のあらすじ④
パラオの太陽光にやられたタングは、寝込んでいました。
シリンダーから冷却液が漏れたことにより、体を冷やす冷却機能が低下していたのです。
滞在するホテルのアンドロイド技術者が定期的に部屋を訪れ、タングの状態と冷却スプレーによる処置をしてくれました。
タングがベッドで寝込んでいる間、タングの開発者である“ボリンジャー”を捜してベンはパラオの街を奔走します。
奔走しているとき、外を出歩けないタングのためにパラオの風景を写真に収めました。
写真を見せるとタングは嬉しそうに眺めていました。
アンドロイド技術者や街の店員などさまざまな人に聞き込みを行いましたが、誰も“ボリンジャー”を知りませんでした。
三週間ほど経つとタングの状態は動けるほどに良くなっていました。
残り時間が少ないことを感じていたベンは、タングを元気づけようとボートツアーに誘います。
それまでぐったりと元気のなかったタングも、海の中を泳ぐたくさん魚に目を輝かせて喜びました。
かわいいロボットだと言った船長に“ボリンジャー”のことを訊ねると、知っていると答えました。
ロボット・イン・ザ・ガーデン を読んだ読書感想
アンドロイドが主要な登場人物として人間と接する物語は多く存在します。
しかし、アンドロイドの普及した世界で、錆びつき壊れかけたロボットと旅をする物語は少ないです。
両親の残した遺産を食いつぶし何もしてこなかったベンがタングとの旅行で、エイミーの気持ちや両親を失った事実へ向き合うきっかけとなりました。
人間の子供の様にまだ成長途中のタングですが、彼の存在がベンやその周りの人たちを変えいきます。
最初は疎まれ、けれど人と人を繋げたタングは、本当に子供のように見えます。
ハラハラする様なシーンは少ないけれど、読んでいてタングを応援したくなります。
コメント