映画「老後の資金がありません!」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|前田哲

映画「老後の資金がありません!

監督:前田哲 2021年10月に東映から配給

老後の資金がありません!の主要登場人物

後藤篤子(天海祐希)
本作の主人公。節約をモットーとするごく普通の主婦。老後は夫・章とのんびりと過ごすことを目標にしている。

後藤章(松重豊)
篤子の夫。建設業のサラリーマンをしているが、家庭の中では影が薄い。娘のまゆみを溺愛している。

後藤芳乃(草笛光子)
篤子の姑。かつては老舗和菓子屋の女将だったが、現在は高級ケアマンションで暮らしている。食べ物は高級志向で浪費癖がある。

神田サツキ(柴田理恵)
篤子の友人でヨガ仲間。夫とパン屋を経営している。

桜井志津子(若村麻由美)
章の妹。親の介護費用のことで、いつも篤子と揉めている。

老後の資金がありません! の簡単なあらすじ

この作品は、垣谷美雨さんの人気小説が原作の実写化で、節約志向の主婦・後藤篤子が、舅の葬式、娘の結婚、夫・章のリストラと自身の派遣切り、姑・芳乃との同居で豪遊っぷりに悩まされるなど、次々にお金のトラブルに遭遇する様子をコミカルに描いています。

コメディではありますが、嫁姑問題や老後の生活資金の件、あれこれと予定外の出費が発生していく様はとてもリアリティがあり、ハラハラしながらも心温まるストーリーになっています。

老後の資金がありません! の起承転結

【起】老後の資金がありません! のあらすじ①

崩れ行く篤子の人生設計

節約第一の主婦・後藤篤子は、街中のショーウィンドウを眺め、高級なブランドバッグに目を奪われていましたが、とても買えないとそのままその場を立ち去りました。

街頭のモニターでは、経済ジャーナリストが老後はひとり4000万円が必要だと力説していて、篤子は益々気分が落ち込みました。

そんな中、夫・章から舅の昭一が危篤だと知らされ、篤子が病院に駆けつけると、章の妹・志津子はこれまでは自分が両親の面倒を見ていたので、喪主は章が務め、葬儀費用も全額負担して欲しいと頼んできました。

篤子は自分達も姑・芳乃の生活費を月9万払っていると食い下がりましたが、章はあっさり了承し、芳乃からも「老舗和菓子屋に恥じない葬式にして欲しい」と念押しされてしまいました。

昭一はその後すぐに息を引き取り、多忙な章に代わって、篤子が葬式の打ち合わせに行くことになりました。

篤子は担当者から高額な棺桶や祭壇を勧められ、悩みましたが、香典で元が取れると言いくるめられ、330万円という高額な契約をしてしまいました。

ですが、実際は参列者は予想より少なく、300万円超えの大赤字になってしまいました。

篤子はヨガ教室で友人の神田サツキにそのことを愚痴ると、サツキは自分の母親の時は30万円で済んだと驚き、篤子は心底後悔するのでした。

【承】老後の資金がありません! のあらすじ②

一難去ってまた一難

篤子が預金残高を心配し始めた矢先、家電量販店から派遣契約終了を言い渡されてしまいます。

そんな中、娘・まゆみが彼氏の松平琢磨を紹介し、突然結婚すると言い出しました。

琢磨はヘビメタ系のバンドマンで、収入が安定していないようでしたが、結婚式は両親の希望もあり、600万円の派手婚を希望していました。

篤子は呆れましたが、まゆみはすでに妊娠しており、彼女を溺愛する章は生活費を援助することも快諾してしまいました。

まゆみはすぐに家を出ていってしまい、篤子は毎月の高額な出費に頭を抱えました。

その直後、章から会社が倒産して退職金も出ないと告げられた篤子は愕然とし、近所のコンビニでアルバイトを始めることにしました。

さらに食費を削ったり、車を売ったりして、何とか家計をやりくりしていましたが、芳乃への仕送り9万円は難しいと章に訴えました。

志津子にも事情を説明しましたが、章は子供の頃から優遇されていたと難癖をつけ、聞く耳を持ちませんでした。

困った篤子は、芳乃を引き取ることを提案し、代わりに志津子に9万円を負担してもらうことになりました。

引っ越し当日、トラック2台分もの荷物を持って現れた芳乃に篤子は驚きましたが、「自分の年金6万円を全て渡す」という言葉に気分を良くしました。

ですが、高級志向が抜けない芳乃は、自分は知覧茶しか飲まないと言い、高級牛肉ですき焼きをしたり、勝手にカードで買い物を繰り返し、年金を使い込んでしまいました。

篤子はヨガ教室でサツキに愚痴りますが、ここにも突然芳乃が現れます。

しかも自分より上手な芳乃に篤子は悔しさをにじませますが、さらに高級な喫茶店にインストラクターの城ケ崎とサツキを誘い、おごると言い出して、篤子は芳乃を引き取ったことを激しく後悔しました。

【転】老後の資金がありません! のあらすじ③

さらに続く篤子の受難

まゆみの結納も済み、篤子は結納金100万円を受け取りました。

その数日後、芳乃がひとりで留守番をしている時に章の息子・勇人になりすましたオレオレ詐欺の電話がかかってきました。

不審に思った芳乃は勇人に確認し、詐欺だとわかりましたが、その直後に刑事が訪ねて来て、「オレオレ詐欺に引っかかったふりをして犯人逮捕に協力して欲しい」と言われました。

現金が必要だと言われた芳乃は結納金100万円を持ち出しましたが、約束の場所に向かう途中で新聞紙の入った封筒とすり替えられてしまいました。

本物の刑事にお金をだまし取られたことを聞かされた篤子は、「さっさと貯金するべきだった」と憤りました。

その後、篤子は両親に援助を頼もうと実家を訪れましたが、両親は畑を売ったお金でサーフショップを経営しており、逆に篤子に借金を立て替えて欲しいと頼んできました。

両親が当てにならないと悟った篤子は、章のかつての同僚・天馬に就職の相談を持ち掛けることを提案しますが、彼を毛嫌いしている章は全力で拒否し、仕方なくハローワークに通うことにしました。

章は警備会社を紹介され、慣れない肉体労働に四苦八苦しますが、同僚の山崎に飲みに誘われ、意気投合して自宅に遊びに行きました。

そこはシェアハウスで、すっかり酔い潰れた章は朝帰りになってしまいました。

章がそこに住むシングルマザー・レイナとその娘と一緒に歩いているところを偶然目撃してしまった篤子は、彼の浮気を疑い、離婚すると憤慨しましたが、章の誤解が解けると、シェアハウスの住人達ともすぐに仲良くなりました。

その後、サツキから父親・健三の身代わりを探していると相談された芳乃は、10万円で自分が引き受けると張り切って男装しました。

ですが、その直後に健三が戻って来て、日本刀で襲われてしまいました。

篤子と芳乃は大慌てで逃げましたが、「楽しかった」と笑い合いました。

【結】老後の資金がありません! のあらすじ④

明かされる芳乃の本心

ある日、篤子がパートに行こうとすると、芳乃が自室で倒れていました。

彼女は狭心症と診断され、薬を持ち歩くよう言われました。

自分がいつ死んでもおかしくないと悟った芳乃は生前葬をしたいと言い出しますが、高額な出費を心配する篤子は猛反対し、「絶対に出ない」と宣言しました。

当日、城ケ崎のヨガ教室を会場にして、芳乃の生前葬が行われました。

琢磨の両親や篤子の両親までも参列していましたが、篤子はアルバイトに励んでいました。

ですが、家に芳乃のピルケースが置き忘れられていたことに気づき、慌てて会場に駆けつけました。

芳乃はスピーチで「生きている間にお世話になった人達にお礼が言いたかった。

一番感謝しているのは、一緒に住もうと言ってくれた篤子さんです」と話し、隠れて聞いていた篤子は、驚いて立ち上がってしまいました。

篤子は「ピルケースを届けに来ただけ」とごまかしましたが、芳乃は「ピルケースはもっと可愛いものに変えた。

あなたは本当に優しい人ね」と笑いました。

この雰囲気に感動したまゆみは、自分達の式もこんな手作りのものにしたいと提案し、琢磨も両親も同意しました。

その後、志津子と夫・秀典が後藤家を訪れ、芳乃を引き取りたいと申し出ました。

志津子は芳乃と楽しそうに暮らしている篤子を密かに羨んでいたのでした。

いざ離れるとなると、篤子は少し寂しくなりましたが、芳乃は生前葬で黒字になったからと、「自分自身のために使いなさい」と10万円を手渡しました。

篤子はありがたく受け取り、ずっと欲しかったバッグを買いました。

その後、偶然天馬と再会した章は、「自分の会社で一緒に働いて欲しい」と頼まれました。

彼と和解した章は誘いを受け、勇人が家を出たのを機に、ふたりはマンションを売り、山崎のシェアハウスで暮らし始めました。

章は父親の命日にぼた餅を作って、住人達に振る舞い、篤子も笑顔で手伝うのでした。

老後の資金がありません! を観た感想

次々と振りかかるお金の問題や、姑との確執にどうなるのかとヒヤヒヤしましたが、最終的にはみんなが笑顔になれる結末でホッとしました。

全体的にコミカルに描かれているけど、かなりリアリティもあり、自分も他人事じゃないなとぎくりとさせられる場面も多々ありました。

嫁姑問題はギスギスした関係を想像しがちですが、ちゃんと腹を割って話し合えば意外と分かり合えるんだなと、篤子と芳乃の関係が少し羨ましかったです。

終始天海祐希さんの振り切った演技が素晴らしく、笑いあり、涙ありで予想以上に最後まで楽しめる作品だと思いました。

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