映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|ウディ・アレン

映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」

監督:ウディ・アレン 2020年7月にロングライドから配給

レイニーデイ・イン・ニューヨークの主要登場人物

ギャツビー・ウェルズ(ティモシー・シャラメ)
主人公。高い知能指数に恵まれた大学生だが就職には無関心。オッズ計算が得意で2万ドル以上荒稼ぎしている。

アシュレー・エンライト(エル・ファニング)
ギャツビーのガールフレンド。学内新聞の記者として精力的でフィルム・ノワールや黒澤作品にも詳しい。

ローランド・ポラード(リーヴ・シュレイバー)
「冬の思い出」で世界的な評価を得た映画監督。プレッシャーに弱くお酒に逃げる。

フランシスコ・ヴェガ(ディエゴ・ルナ)
気取ったジェスチャーで女性ファンを引き付ける俳優。リベラルな発言も多い。

チャン・タイレル(セレーナ・ゴメス)
服装が派手でませているためファッション工科大学に進学する。姉のエイミーがギャツビーと交際していた。

レイニーデイ・イン・ニューヨーク の簡単なあらすじ

ギャンブラーでもあり学生でもある21歳のギャツビー・ウェルズは、交際中のアシュレー・エンライトのお供でニューヨークまでやって来ます。

マスコミ志望のアシュレーはデートの約束をすっぽかしてしまい、映画業界の大物ローランド・ポラードやフランシスコ・ヴェガに夢中です。

空いた時間に兄の本音と母の過去を聞いたギャツビーは、自分自身を見つめ直すためにひとりこの街に残るのでした。

レイニーデイ・イン・ニューヨーク の起承転結

【起】レイニーデイ・イン・ニューヨーク のあらすじ①

雲行きが怪しい兄弟

教育ママに育てられたギャツビー・ウェルズは、上品で評判のよいペンシルベニア州北部ヤードレー大学に通っていました。

ヤードレー・アーガス紙の製作で意気投合したのがアシュレー・エンライト、父親は銀行のオーナーで母は聖公会信者と家柄も申し分はありません。

付き合って数カ月ですっかり夢中になってしまったギャツビーは、競馬やカードゲームで得たお金をすべてデートに費やすほどです。

ある時アシュレーにインタビューするチャンスが舞い込んできたのは、国内外の映画祭で毎年のようにノミネートされているローランド・ポラード監督。

マンハッタンまでギャツビーも付いていくことになり、奮発して5つ星のザ・ピエール・アタージを予約します。

待ち合わせ場所に現れたローランドはアシュレーを試写会に招待してくれましたが、ギャツビーは呼ばれず楽しみにしていたランチもキャンセルに。

暇をもて余していたために兄・ハンターのもとへ顔を出してみると、こちらも婚約者のリリーとはうまくいっていないようです。

【承】レイニーデイ・イン・ニューヨーク のあらすじ②

災いが降り注ぐ予感

頭も良く優しいリリーの唯一の欠点は笑い声だそうで、特にベッドの上であの声を聞いた途端に不能になってしまいます。

真っ当な夫婦生活を送ることは難しいでしょうが、すでに200人以上に招待状を送っているために今さら式を中止にする訳にはいきません。

夜にみんなでポーカーをする約束をして家を出る頃には、わずかに霧雨が降り始めていました。

アシュレーからはスマートフォンにメッセージがありましたが、上映が遅れているそうでまだ試写室を出ていないとのこと。

ニューヨーク大学の学生たちがショートムービーを撮っている現場を通りかかると、ギャツビーはエキストラを頼まれます。

相手役はチャン・タイレル、彼女の姉エイミーとは短期間だけカップルだった仲。

演技とはいえタイレルとのキスシーンには、アシュレーを裏切っているような罪悪感が拭えません。

どしゃ降りになってきためにタイレルの家で雨宿りをしていると、ラウンジ・ピアノを見つけためにマット・デニス作曲「いつも何かが降りかかる」を弾いてみました。

【転】レイニーデイ・イン・ニューヨーク のあらすじ③

アマチュア記者に熱愛報道

試写を見ていたローランドは失敗作だと席を立ち、ひとりになりたいとどこかへ行ってしまい記者会見にも出席しません。

7000万ドルもかけているために今さら公開を中止する訳にもいかず、アシュレーは脚本家と協力して探し回ります。

撮影所にもローランドの姿はありませんでしたが女優やモデルと浮名を流している映画スター、フランシスコ・ヴェガに声をかけられました。

映画で見るよりもステキだとアシュレー、今まで取材を受けたどんな記者よりも美しいとささやくフランシスコ。

その現場をパパラッチに激写されてしまい、夕方のニュースでも流れてホテルでテレビを見ていたギャツビーはショックです。

エンパイア・ステート・ビルやニューヨーク近代美術館に案内してあげる計画は丸つぶれ、母には彼女を紹介すると宣言していたために引っ込みがつきません。

ホテルのバーでひとりで飲んでいると、5000ドルで相手をしてくれるというのはコールガールのテリー。

軍資金はハンターとのポーカーで勝ったために十分で、彼女をアシュレーに仕立てて母に会わせるつもりです。

【結】レイニーデイ・イン・ニューヨーク のあらすじ④

くもり空に光が射し込むと信じて

ギャツビーのウソがあっさりとばれたのは、かつて両親も孤独な男女を引き合わせるエスコートサービスを利用していたからです。

行きずりの男性客の相手をして生活費を工面していた若き日の母、ニューヨークでひと旗を揚げるために中西部の田舎から出てきた父。

心から愛し合うようになったふたりが授かったのがギャツビーで、今の恵まれた生活があるのもその時の苦労があったからです。

過小評価をしていた母を初めて見直し親近感が湧いてきたギャツビーは、ずぶぬれで客室に帰ってきたアシュレーを優しく迎え入れます。

新作のアイデアがほしかっただけのポラード、アシュレーの体だけが目当てだったフランシスコ。

ふたりとは何もなかったというアシュレーを次の日の朝早くにバスに乗せますが、ギャツビーはもう少しニューヨークで人生について考えてみるつもりです。

せっかくの旅立ちの日は曇天ですが、ギャツビーはセントラルパークで鉢合わせをしたタイレルと抱き合うのでした。

レイニーデイ・イン・ニューヨーク を観た感想

物語の幕開けは架空のヤードレー大学からで、豊かな緑に包まれたキャンパスと歴史と風格のある建物のバランスが美しいです。

「森の中の田舎大学」とは主人公のギャツビー・ウェルズがつぶやく皮肉なひと言で、都会で育った青年には物足りないのでしょう。

アリゾナ州ツーソンの出身で銀行家の令嬢、アシュレー・エンライトとも微妙な距離感が伝わってきました。

上昇志向が強すぎるアシュレーが憧れの地・ニューヨークに1歩足を踏み入れた途端の、別人のような暴走にはハラハラさせられるばかり。

その一方ではちょっぴりほろ苦い過去の恋愛を思い出し、家族との関係にも向き合い始めるギャツビーの成長が清々しいです。

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