映画「焼肉ドラゴン」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|チョンウィシン

映画「焼肉ドラゴン」

監督:チョンウィシン 2018年6月にKADOKAWA=ファント・フィルムから配給

焼肉ドラゴンの主要登場人物

静香 真木よう子焼肉店ドラゴンの3人娘の長女 昔あった不幸な事故により片足が不自由。哲男とは幼馴染梨花 井上真央次女 気性の激しい性格で哲男の妻哲男 大泉洋静香の幼馴染で梨花を嫁に持つが心の奥では静香に思いを寄せている。

焼肉ドラゴン の簡単なあらすじ

時代は1970年代高度経済成長期、大阪の小さな集落。

家族6人で焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む在日韓国人である龍吉は、戦争で故郷と左手を失いながらも前向きに生きていました。

貧しい暮らしながらも常連客を巻き込み毎日怒ったり笑ったり。

家族で力を合わせて心豊かに生活していたのですが、時代のうねりにより差別や理不尽な立ち退き命令により家族にとって辛い試練が待ち受けていました。

焼肉ドラゴン の起承転結

【起】焼肉ドラゴン のあらすじ①

結婚と思い

焼肉ドラゴンではとあるパーティーの準備が始まっていました。

焼肉ドラゴンを営む在日韓国人の龍吉には、戦争で左手を失いながらも労ってくれる妻の英順、3人の娘である長女静香、次女梨花、三女美花、息子の時男が生活していました。

この日は次女梨花と常連客の哲男の結婚パーティーが開かれる予定でしたが、哲男が役所の職員と口論になったことにより入籍できずに帰ってきました。

梨花は哲男に激怒し、哲男は謝罪をして梨花はその謝罪を受け入れましたが彼女には不安に思うことがありました。

それは哲男と長女静香が幼馴染であり、子供のころから哲男は静香に思いを寄せていることを知っていたからです。

2人は相思相愛でありながら静香は梨花の思いを優先し、哲男は幼い頃静香に負わせてしまった大けがにより足が不自由にになってしまい、自責の念から自分では静香にはふさわしくないと身を引いていたのです。

そんな梨花の不安を汲み取った静香はひょんなことで出会った全く日本語の話せないユン・テスという韓国人と交際を始めました。

【承】焼肉ドラゴン のあらすじ②

すれちがい

無事結婚した哲男と梨花でしたが、哲男は入籍後も毎日焼肉ドラゴンで常連客と飲んだくれては在日であることの不遇を理由に働こうとはせず夫婦関係は悪くなる一方でした。

そんな梨花は哲男への怒りや悲しみを断ち切るかように、偶然知り合ったオ・イルベクと関係を持ち離婚を考えるようになりました。

三女の美花も勤め先のクラブのオーナー長谷川と不倫関係になり、家族はそんな2人の関係に猛反対していました。

一方静香はユン・テスとデートを重ね順調に交際をしていましたが、その様子をどうしても受け入れられない哲男は強烈な対抗意識をもちます。

3人の娘たちに頭を悩ませる龍吉と英順でしたがそれと同時に国から立ち退き命令が下ります。

ここは正当に手に入れた土地だと龍吉は役所の人間を追い返し、応じようとしません。

そして追い打ちをかけるかのように私立中学校に通う長男時男が酷いいじめによって失語症を患い不登校のまま留年が決定してしまいました。

【転】焼肉ドラゴン のあらすじ③

葛藤

そんな時男の様子を見て英順は無理に辛い思いをして私立中学に通わせる必要はないと龍吉を説得しますが、龍吉は断固としてそれを許しません。

在日韓国人が日本で生きていくためにはどんな理不尽も痛みも乗り越えない。

在日である分学力とステータスが必要だと考え哲男を留年させる決意します。

英順は龍吉の意見を尊重しますが心の中では時男が心配でしょうがありません。

静香はユン・テスからのプロポーズを受け家族全員で食事をしているところに哲男が現れ、とうとう梨花のいる目の前で静香への思いをぶちまけました。

なぜ静香が今更そんなことを言い出すのかと問うと、哲男は北朝鮮での帰国事業を申し込み日本を離れる覚悟を決めていました。

しかし静香がいないとダメなのだと我も忘れ静香にすがります。

そんな哲男を静香は受け入れます。

その様子を梨花は呆れるようにみていました。

美花も妊娠が発覚しそれぞれが前向きに生きようとしてるさなか事件は起きました。

【結】焼肉ドラゴン のあらすじ④

それぞれの道

酷い差別によるいじめに耐えられなくなった時男が自殺したのです。

そして悲しみくれることもできずに立ち退き命令が強制執行されようとしていました。

今までどんな痛みにも苦しみにも耐え忍んできた龍吉の感情が爆発しました。

大声で時男を、左手を返せと泣き叫ぶ龍吉の姿にまた家族も涙を流しました。

しかし現実は救いようがなく泣き叫ぼうとも何も変わりません。

そして時は立ち家族はバラバラになろうとしていました。

静香と哲男は北朝鮮へ、梨花はオ・イルベクと共に韓国へ帰国することに、美花は新たな地で生まれてくる子供と妻と離婚した長谷川と一緒に暮らすため。

そして春。

立ち退き強制執行の日、これからはそれぞれの道で幸せを築こうと抱き合い家族の絆を確かめあいながら新たな土地へと旅立ちました。

家族はバラバラになろうとも絆はなくならない、きっと明日はいい日になると願いながら桜の花びらが舞う中、龍吉と英順も新たな土地へ向かうのでした。

焼肉ドラゴン を観た感想

題名はコメディのようですがとても考えさせられる映画です。

見ていて笑えるところもあり、とても辛いところもあり。

在日韓国人という立場から見た当時の日本がとても冷たい土地に感じますが、きっと実際にこういう事もあったのだろうと思うと起こってしまった歴史は目を背けずありのままに受け入れなければならないと思いました。

今の北朝鮮を知っていると静香と哲夫の選択が切なくなります。

焼肉ドラゴンには韓国と日本の有名な役者さんが出演していますが、皆さんの演技がとても素晴らしく、鬼気迫る迫真の演技でとても見応えがありました。

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