監督:水田伸生 2016年4月に松竹から配給
あやしい彼女の主要登場人物
大島節子(多部未華子)
20歳に若返った瀬山カツ。抜群の歌唱力を持つ。
瀬山カツ(倍賞美津子)
73歳の勝気な老人。大島節子の元の姿。
瀬山幸恵(小林聡美)
瀬山カツの一人娘。雑誌編集者。
瀬山翼(北村匠海)
瀬山幸恵の一人息子。大島節子とバンドを組む。
小林拓人(要潤)
音楽プロデューサー。大島節子の歌声に魅了される。
あやしい彼女 の簡単なあらすじ
瀬山カツは歌が大好きなお婆さん。
ある日娘の幸恵と喧嘩し家を飛び出したカツは、不思議な雰囲気の写真館に立ち寄り写真を撮ってもらいます。
写真館から出てきたカツはなんと20歳に若返っていました。
カツは大島節子と名乗り、ひょんな出来事から孫の翼のバンドでボーカルをすることに。
失われた青春を取り戻すかのように、音楽の世界に足を踏み入れるのでした。
あやしい彼女 の起承転結
【起】あやしい彼女 のあらすじ①
勝気な性格から、商店街の厄介者と思われている瀬山カツは、一人娘の幸恵と孫の翼との3人暮らし。
自分が女手ひとつで苦労して育てた幸恵が雑誌編集長として活躍していることがカツの誇りで、度々そのことを周囲に自慢して聞かせるのでした。
しかし実情は雑誌の売り上げが下がり、幸恵は世代交代を余儀なくされていました。
そんなことをつゆ知らず、カツは幸恵の気持ちを逆なでしてしまい、二人は言い争ってしまいます。
家を飛び出したカツは、ある写真館に飾られているオードリー・ヘップバーンの写真に目を奪われ、足をとめます。
不思議な雰囲気の写真館に入り、穏やかな店主に思い出話を語りながら写真を撮ってもらうカツ。
写真館を後にしたカツの足取りはどこか軽やかでした。
すると突然後ろからバイクに乗った男に引ったくりに合い、怒ったカツは走って追いかけ飛びついて捕まえます。
ひったっくり犯に説教するカツですが、ヘルメットに映る自分の姿に違和感を覚え、バイクのミラーを覗き込みます。
そこに映ったのは73歳の自分ではなく、なんと20歳に若返った自分でした。
【承】あやしい彼女 のあらすじ②
若返ったことに驚き戸惑っていたカツですが、軽やかな自分の体に感動し「これは神様がくれたチャンス!」と考えて思いっきり満喫することにします。
家族にはメールでしばらく帰らないことを伝え、銀行で降ろしてきたお金で憧れのオードリー・ヘップバーンのように変身するのでした。
何をしようか悩んだカツは、取りあえず幼馴染の次郎が経営する銭湯に行くことにしますが、色々考えるうちにのぼせてしまい次郎に助け出されるのでした。
カツは「大鳥節子」と名乗り、人の良い次郎を泣き落としで騙し、家に居候させてもらうことに。
所変わって、音楽プロデューサーの小林は中々自分の琴線に触れるアーティストに出会えず、悶々としていました。
しかし偶然耳にした歌声に心惹かれて見に行ってみると、そこには商店街のど自慢大会で歌っている節子の姿。
小林が声を掛けたいと思っていた矢先、節子は孫の翼の姿を見つけ、慌てて逃げてしまいます。
翼に捕まってしまった節子は、バンドのボーカルになってほしいという翼の熱意に押され、バンドの練習を聴きに行くことにします。
そこで聴いたのはとんでもない雑音。
節子は歌とはどんなものかを熱弁して歌いだし、翼含むバンドメンバーは節子を中心に音楽を楽しむようになります。
路上ライブが手掛かりとなり節子を見つけた小林は、バンドのプロデュースをすることに。
小林のおかげで決まったテレビの歌番組で、節子は「悲しくてやりきれない」を切なく力強く歌い上げます。
歌いながら思い浮かべるのは、今の自分の姿と同じ年齢だった頃、娘の幸恵を育てながら涙を堪えていた日々のこと。
涙を流し歌う姿や歌声に、スタジオにいる小林もテレビ越しに見ている人々も惹きつけられ、そして娘の幸恵の心にも響いたのでした。
【転】あやしい彼女 のあらすじ③
節子の持ち物からカツの通帳や口紅を見つけ、節子を怪しんだ次郎はついに節子の正体に気づきます。
感激して喜ぶ一方、節子と小林の雰囲気にやきもき。
ある日、足を怪我した節子は怪我の部分が老化していることに気づきます。
血を抜けば元に戻れると次郎に言われるも、節子は複雑な気持ちになります。
瀬山カツに戻るということは、大鳥節子として歌うこと、そして若い時に経験できなかったときめくような時間を手放すことなのです。
悩みつつも小林と過ごす時間はやはり楽しく、大切な時間をかみしめるように節子は過ごします。
メジャーデビューがかかったロックフェスに向けて、オリジナル曲を作る翼ですが、何度作っても小林からOKは出ず、節子に八つ当たりをしてしまいます。
そんな翼に喝を入れる節子。
その姿が祖母と重なり困惑するも、そのおかげもありようやくオリジナル曲が完成します。
いよいよロックフェス当日、控え室で中々到着しない翼を待っている節子たちの目に飛び込んできたのは、交通事故に遭い怪我を負った翼でした。
【結】あやしい彼女 のあらすじ④
とてもステージに立てる状態ではない翼は、すぐに病院に運ばれます。
出演を中止にするか迷っている小林やメンバーに対して、節子は翼のために歌うことを決意します。
そして同時に決意したあることを胸に、翼の作った曲を見事歌い切ります。
節子はすぐに病院へ行きますが、節子が翼のために輸血しようとしていることに気づいた次郎が止めに入ります。
自分の正体に気づいていた娘の幸恵にも、昔はできなかったことを取り戻してほしいと言われるも、節子の決意は変わりません。
節子にとって20歳の自分は束の間の休日、娘や孫が何より大切だったのです。
育ててくれた母に感謝する幸恵と、生まれてきてくれた娘に感謝する節子の姿がそこにはありました。
無事回復した翼は、以前のボーカルを加えたバンドメンバーでメジャーデビューを果たし、ステージに立っています。
リハーサル風景を眺めるカツと幸恵。
カツはインタビューを受けている小林を少し見つめてから会場を後にするのでした。
あやしい彼女 を観た感想
親や子どもの有難さを変わった形で再確認する、笑えて泣ける素敵な映画です。
劇中で歌われる、「見上げてごらん夜の星を」「真っ赤な太陽」「悲しくてやりきれない」といった昭和の名曲を、時には軽やかに、時には切なげに歌い上げる多部未華子さん。
自然と涙が流れてしまうような、素敵な歌声です。
こちらの映画は韓国で大ヒットした「怪しい彼女」のリメイクですが、韓国版との相違点もたくさんあり、両方観るとより味わい深く感じると思います。
親子の愛情を取り上げた映画を親子で観るのが恥ずかしいと感じる方でも、コメディー調でとても観やすいので、ぜひ一緒に観てほしいと思える一本です。
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